神奈川県にお住いの22歳女性(流通・小売系:出版)が2022年12月頃に読んだ『蛇にピアス』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
『蛇にピアス』を購入したきっかけ
著者の金原ひとみさんに注目しています。
金原ひとみさんの小説をいくつも続けて読んでみたいと思い、そのうちの1冊に選びました。
読んだことのない金原さん作品を全て読んでみるつもりでした。
芥川賞作家でありながら、まだとてもお若いお綺麗な女性作家さんです。
金原ひとみさんの小説の中でもジャンルがあると思っています。
そのジャンルわけを自分の中でもっと明確にできたらいいな、そういう思いがあってもっと掘り下げてみたいと思いました。
『蛇にピアス』の概要
金原ひとみさんが芥川賞を受賞した小説です。
中篇「蛇にピアス」はある男性に知り合ったことで、舌にピアスを開けて、先端をカットすることに魅せられた主人公の女性の話です。
この小説の中に出てくる人はわたしとはかなりパンクでぶっ飛んでいて、唯一主人公だけは少し違った考えを持っています。
そこが終盤にはまさに逆転するようで、ぶっ飛んだ中に一貫される考え方と、ピアスが自傷行為になりかわった主人公との対比が書かれています。
『蛇にピアス』の基本情報
基本情報
- 出版社:集英社
- 著者:金原 ひとみ
- 定価:本体480円+税
- 発行年月:2006年06月28日
- ページ数:128ページ
- ISBN:978-4087460483
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4087460483
『蛇にピアス』の目次
目次
- 蛇にピアス
『蛇にピアス』のYouTube(ユーチューブ)
『蛇にピアス』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
残念ながら本書を紹介しているYouTubeチャンネルはなかったため、本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。
『蛇にピアス』から学んだことの要約とまとめ
『蛇にピアス』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- ピアスのサイズ
- ピアスの目的について
- 人付き合いについて
主に主人公と、それ以外の登場人物にわけて読むことができると思います。
主人公の少女は、なんだか怪しい世界に足を踏み入れつつもきちんと自分を持っている人です。
変な思想まで染められてしまうことはなく、ただいいと興味持ったものに突き進みます。
対して他の登場人物たちはかなりいかつくパンクであり、少し反社会的な思想も垣間見えます。
攻撃的な面もあり、ルッキズムに固められたようです。
それらが終盤に逆転します。
主人公は彼を失ったショックでスプリットタン目的だったはずのピアスが自傷行為に変化します。
周辺の人物は主人公を思う気持ちに変化はなく、むしろ親切な一面を見せるのです。
ピアスのサイズ
わたしはピアスを体のどこにも開けたことがありません。
売り場で可愛いなと思って眺めるくらいで、買ったこともありませんでした。
作中にはピアスはほとんど常に登場します。
そしてピアスのホールをどんどん広げていくことで、大きなサイズのピアスがつけられるようになる、ということが書いてあります。
重さではなく、穴に通す部分が太くなっていくのでしょう。
それは一体なんのためにあるのかなと思いました。
彼らは見た目のためにしているようでした。
ピアスの目的について
わたしは体のどこにもピアスを開けたことがありませんが、それは正直、耳たぶですら穴を通すのが怖いからです。
痛そうだなと思っています。
自分の体を大切にしている、というのとは少し違う自覚があるのですが、ではピアスを開ける人が体を大切にしているのかと問われるとどうなのかなと考えてもしまいます。
おしゃれである場合もあるでしょう。
ピアスホールがなにかの印や烙印になる場合もあるのでしょうか。
どちらにも、現代には様々なやり方があるとは思うのですが、皆さんがピアスを選ぶわけは何なのかなと思いました。
人付き合いについて
1冊を通して、ものすごい人付き合いの変化をみたような気がしてどきどきしています。
己がきちんとしているようで舌ピアスの目的が変化した主人公。
人目に煽られているようで主人公に対してとても倫理的に接してきた周囲の人たち。
そのグラフにした時にバツ印のように交わるストーリー性が、まさに芥川賞に選出されたわけなのではないかな、と勝手に思っています。
好きな人も嫌いな人も決めるのは自分です。
誰かがいなくなれば悲しいし、好きだからと言って単に大切にできるわけではありません。
その難しさを考えました。
『蛇にピアス』の感想
金原ひとみさんの凄まじい筆力の中で、人に依存する姿勢や人間のこころの弱さのようなものを読ませてもらったと思っています。
主人公のさまと、男性登場人物ふたりのさまと、それぞれの相反するような変化には、はっとさせられました。
自分の大切なものを守り抜いたり、自分の好きなものをそうと認識するのは存外難しいと思います。
それが理解できないうちは色々なものを失いながら生きていくことになるのだろうなと、そう思いました。
『蛇にピアス』の評価や口コミ
他の方が『蛇にピアス』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
どんなお話だったかなぁと軽い気持ちで本を開き、冒頭を読んでからはやはり止まれず一気読みでした。最初から最後まで魅力的。たった100数頁とは思えないくらいの圧倒的な質量感を感じる、痛みと愛と死生観に塗りつぶされるかのような物語。 pic.twitter.com/AKnIMNrzEg
— かず (@NoBookNoLife_kz) March 24, 2023
金原ひとみ『蛇にピアス』#読了
ルイはスプリットタンという舌を2つに割る人体改造に魅せられ、ピアスや刺青を入れるようになる。
そして彼氏のアマと彫り師のシバという2人の男を行き来して日々を過ごすが…。
暴力やSM的エロティシズムって虚無を抱いてる人こそハマる気がする。快楽こそ伽藍堂的な。 pic.twitter.com/oRdgTyqMgE— つかっちゃん読書垢@純文学ユーチューバー 2/22発売の「小説新潮」3月号であの人と座談会してます! (@book_tsukatsu) December 26, 2022
金原ひとみ『蛇にピアス』#読了
私の中に住んどる19歳の私が身悶えとるんよ。
いいわー純文学いいわー、これよ、これこれ!って感じ。
『NANA』又は本作を読んでピアス空いてない人おるんかな。
心の瘡蓋をベリッと剥いでタバコの煙をフーッてされてヒリヒリする甘さを思い出したい人は是非 pic.twitter.com/miCkDvLmaX— ヨーニーチョル (@KIiHKX8e8LIViIt) December 26, 2022
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
わたしは自分のこころの弱い面をかなり理解しているつもりです。
けれども立ち向かえてはいないと思います。
自分を正しく認識できたからと言って、逃げてばかりいていいわけではないと思います。
考え方によっては終盤の主人公の行為は自傷行為であり、逃げであるとも言えます。
わたしも同じ立場になったらきっと似たようなことをするだろうと思いながら読みました。
そのことに気がついた時に、何だかとても恐ろしいように思えました。
次に読みたいと思っている本は『ペーパー・リリイ』です。
佐原ひかりさんの小説の根底にあるものに久しぶりに向き合いたいです。