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【書評】『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』のレビュー!書籍を読んだ感想は「頭がよいとはどういう事か。実例を挙げながらその本質に迫る良書」

神奈川県にお住いの36歳男性(福祉作業所農作業員)が2022年8月頃に読んだ『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』のレビューをご紹介します。

本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この本から学べるポイント

  • 論理に必要なひらめき
  • 人々は歩きはじめた
  • 世界を分類したり統合したりする技術

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』を購入したきっかけ

私自身、頭が良いとはどういう事だろうか、と考える事があり、気になったので本書を読んでみる事にしました。

社会で様々な人に会うと、頭が良いのに単純労働をしている方や、記憶力が段違いに優れているのにそれと全く関係のない仕事をしている方、ひらめきの才能があるのにそれを活かしきれていない方などに出会う事があり、現状の学校教育では、こういった方々を適切な職業に就かせる事はできないのだろうか、何が原因で適材適所を実現できないのだろうか、と考えた事がありました。

そもそも現在の尺度からいって、頭が良いというのはどのようなことを言うのか?

IQ、発想力、記憶力、発話力、芸術性、など色々な要素があると思うのですが、それらを一人一人うまく活かすにはどうしたらいいのかと疑問に思う事もありました。

その答えの一端を探り、本書を紐解いてみたのが、この本を読んだきっかけです。

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』の概要

例えば、頭の良さを規定する方法として、各国の学校教育の違いが紹介されていて、それを見ても頭の良さというのは、色々な尺度があるなという事が分かりました。

例えば、作家の米原万里さんは、次のように話しています。

インドのカースト制度を勉強するとき、ロシアの学校では「インドのどういう社会状況からカースト制度が生まれたのか考察せよ」という課題が出ます。

生徒は、1週間くらいかけてその関連資料を調べ、発表したりレポートを書いたりするんです。

しかし、日本では、「カースト制度の最高位にあたるものを次の4つから選べ」という課題でした。

ロシアの教育では、物事を自分で調べて総合的に判断する質の高い教育が行われていて、いかにも頭のよさそうな勉強ができ、教育の質も高いと思います。

それに対する日本の勉強は、単純な暗記問題であり、自分の頭で考えられる頭のよい思考を育てていく教育法ではない、と言えるかもしれませんが、それでいてなお、日本社会はGDPで世界3位を誇るほど社会的に強く、優秀な人材が数多くいます。

個人的にこの違いは何なのか気になりました。

暗記に強くなるために集中して勉強する姿勢が人を育てたと言えるのかもしれませんが、はっきりせず、この問題の本質は、かなり難しい部分があると思います。

このように、勉強法の違いから頭の良さを探るという方法も紹介されていて、とても面白いと思いました。

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』の基本情報

基本情報

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』の目次

目次

  • 01 はじめに
  • 02 あなたは次の問題が解けますか?(1)
  • 03 世界一知能の高い女性
  • 04 モントリオール会議
  • 05 何が測られるべきか、何が不必要か?
  • 06 知能指数(IQ)
  • 07 問題点
  • 08 デボノの水平思考
  • 09 なぞなぞ
  • 10 トリックかいかさまか
  • 11 考えられないことを考える
  • 12 科学は何も証明しない
  • 13 発想の転換
  • 14 頭の体操
  • 15 天才は学校ギライ
  • 16 天才は計測できるか
  • 17 あなたは次の問題が解けますか(2)
  • 18 MENSA(メンサ)
  • 19 視覚的思考(1)
  • 20 視覚的思考(2)
  • 21 カスパロフvs.ディープブルー
  • 22 <間違える>って何?
  • 23 チューリングテスト
  • 24 フォークト・カンプフ検査
  • 25 偶然の力
  • 26 いったい誰が正しいのか?
  • 27 すべての人に可能性あれ!
  • 28 おわりに~巻末回答篇

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』のYouTube(ユーチューブ)

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。

いくつか紹介しているYouTubeチャンネルはありましたが、残念ながら内容がおすすめできるものではなくあまり参考にならなそうでした。
そのため、本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』から学んだことの要約とまとめ

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。

私が学んだこと

  • 論理に必要なひらめき
  • 人々は歩きはじめた
  • 世界を分類したり統合したりする技術

本書では、頭の良さを機械の問題から探っていく場面もあるのですが、最近特に顕著なのが機械の頭の良さです。

ここでも紹介されていますが、人間と簡単な会話をするロボットやチェスで人間に勝つロボットなど、最近のロボットはかなり人間に近い事ができるようになっています。

そして、これはいかにして機械を人間へ近づける事が可能か、という問題設定から生まれたものだと著者は言います。

このように、人間を規範としてロボットを生み出す行為は、やがて新たな生命のようなものを生み出す可能性もあるかもしれません。

特に、チェスをするロボットはチェスの次の一手を実際に考え、悩んだり、自分のミスに気付く事もあるそうです。

人間に近いロボットを生み出すという行為には、倫理的に大きな問題が付随するのでしょうが、このような記述を読んで、最近の技術はすごいものがあるな、と思いました。

論理に必要なひらめき

数学者の中でも天才と言われるラマヌジャン氏は、我々の百倍頭が良いという天才ではないそうです。

ただ、なぜそんな公式を思い付けるのか見当がつかない、というタイプの天才であるそうです。

早稲田大学の入試問題でも、いかに問題を解くかではなく、いかに問題を立てるかが重要な時がある、という記述がありますが、これは、ラマヌジャン氏のようなタイプの数学者について語っていると言っても良さそうです。

また、羽生善治さんも「決断力」という本において、数学は緻密なロジックによって構成された論理的な学問であると思われています。

しかし、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は、数学は高度に感覚的な学問であるといい、その感覚を「数覚」と名付けているそうです。

中学校の幾何学で、図形の問題は、まず補助線をひらめかないと解くのが難しいが、将棋も、この補助線のようなひらめきを得る事ができるかどうかが強さの決め手になる、と説明しています。

このように論理にもひらめきが必要という事実は面白い部分があり、このような記述は個人的に面白かったです。

また、学者のポアンカレ氏は、数学の持つ形式の中に美しさという感覚があると述べています。

このように、数学の中には、問題を解く時のひらめきという感覚と、学問としての美しさという感覚がある、と述べられており、そのあたりは面白いと思いました。

人々は歩きはじめた

頭が良いという事はどういう事なのか、様々な角度から検証を加えていく部分も面白い所です。

例えば、人の物の考え方の進化について、文字が生まれる前の古代における思考は、放射状に中心があって、そこから広がっていく小さな円形のような思考が繰り広げられていたと著者は言います。

しかし、著者は文字などの媒体の発生と共に、思考も次第に放射線状の形態から直線的な形態へと形を変えていった。

それによって、いわゆる科学は飛躍的な進歩を遂げた、と語っています。

単純な狩猟農耕生活を送っていた古代人が、文字によって情報を蓄える事によって、頭の良さが発展していき、それが約2000年の月日を経て、現代科学を生んだという著者の発想は、かなり面白いものであると思いました。

確かに、古代人は同じような単純な生活を送っていましたが、最近の技術の発展は直線的ですよね。

このようにして頭の良さを活かしていくという発想は、国力の増強や、さらなる技術の発展の捉え方として画期的だと思いました。

世界を分類したり統合したりする技術

また、著者は、コンピューター解析による世界の解明について大きな警鐘を鳴らしています。

コンピューターによって、ひたすら世界を解析し正確さを求めていくと、どんどん「生の現実」から離れざるを得ないと言います。

理解するという事は、対象を分類ごとの棚に投げ込んでいく事であり、それによって我々が現実からはるかに遠ざけられてしまう事こそ、大きな問題なのではないかと言います。

たしかに、著者のいう事には一理あるのですが、では我々を世界の現実に近づけるものはなんでしょうか。

対象を分類の棚から取り出して、ひとつの同じもののように扱う考え方としては、一即多多即一の考え方や、無我の思想、または梵我一如などもそうでしょうか。

世界をどこまでも分類していく科学的世界がある一方で、自分も世界も大きなひとつの集合体に過ぎない、同じものに過ぎない、という事を体感する事ができる反対の思想があると、ひたすら世界を分析していく作業に疲れた時に、大きな安らぎと癒しの効果を得る事ができるのではないか、と思います。

著者の発言を読みながら、そのような事を考え、世界を分類していくというのも、なかなか面白い捉え方だな、と思いました。

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』の感想

頭の良さの指標のひとつとしてIQがありますが、歴史上の人物にそれを当てはめて考えている箇所があり、それは面白かったです。

簡単に例示すると、

  • バッハ 125
  • ナポレオン 135
  • ガリレオ 145
  • モーツァルト 150
  • ゲーテ 185

などです。

作品からそこに表れている論理性や難易度を推定してIQを割り出すというのは面白いと思いましたし、それはそれですごい技術だなと思いました。

しかし、論理性をフルに使って製作した作品と、感性をフルに使って製作した作品では、そこで必要となるIQも異なりますし、IQ150の作家が、論理的に簡易で感情に訴え感動する物語を作ろうと思えば、必要なIQは低くなり、それを指標にしてしまうと、誤った判断になる恐れもあるのではないかと思いました。

いつもIQをフルに使う作品を製作しても、難しくて一般読者には受け入れられないような場合もあり、あえて作品を簡単にして理解しやすいものにする場合もありますので、上記の例も単純には受け入れられない部分もあるのではないかと思いました。

このように、IQをはじめとして、ひらめきの才能など、本書では頭が良いとはどういう事か、かなり面白い考察がなされており、とてもよくできていて面白いと思いました。

『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』の評価や口コミ

他の方が『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!

おわりに

この本を読んで、普段から頭を活性化させ、頭を良くするために必要な要素を学べたような気がします。

世界で一番頭のいいIQ230のマリリン・サバントさんが語るところによると、知能上達の方法は、物事を書き留めたり、計算機を使ったりせず、頭の中で処理する事だそうです。

なんでも断定せず、柔軟な心を保とう。

断定する事は、学ぶ事をやめる事を意味するので、成就したい事があれば、全て自分で行動せよ、という事です。

確かに、将棋の羽生善治さんは、頭の中だけで将棋を打ち、今まで打った対局の盤面も覚えておく事ができると話していますし、数学者のアーサー・ベンジャミン氏は、計算機より早く頭の中で掛け算をする事ができます。

このようにサバントさんが言うように、頭の中で全てを処理する訓練をすると、頭の活性化には良いのではないかと思いましたし、今後の頭の訓練の参考にしたいと思いました。

次に読みたいと思っている本は『MENSA「天才IQ」検定にチャレンジ!』です。

具体的に、自分のIQを知りたいと思いましたし、単純にパズルを解くのも面白そうであり、興味があったのでこの本を読みたいと思いました。

IQを計測するためにどのような問題があるのか興味がありますし、IQを測定できる問題を作ってしまう人たちもすごいな、と思います。







   

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