大阪府にお住いの20歳男性(大学生)が2022年6月頃に「紙の本」で読んだ小説『むらさきのスカートの女』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『むらさきのスカートの女』を読もうと思ったきっかけ
僕は普段から小説を読んでいるので、暇があったり、読む本がなくなったりすると本屋へ立ち寄ることがよくあります。
そしてこの本は、読む本がなくなり、何気なく本屋に立ち寄ったときに購入しました。
たくさんある本の中でこの本の表紙はひと際、異彩を放っていて、何とも言えない奇妙な表紙に興味を惹かれました。
さらにキャッチフレーズとして「何も起こらないのに面白いとTikTokで話題」と書かれており、なんと芥川賞を受賞していたのです。
これは絶対に面白いと確信して、すぐにレジへもっていきました。
小説『むらさきのスカートの女』の内容
この小説の主人公は題名の通り、むらさきのスカートをはいた女です。
仕事がなく日々様々な仕事に応募していたむらさきのスカートの女は、面接に行くがすべて不採用となっていました。
それもそのはず、むらさきのスカートの女の見た目はだらしなく、不潔だったからです。
しかし、そんなむらさきのスカートの女はホテルの清掃員として採用されやっとの思いで手に職を得ました。
女は仕事をバリバリこなし、ついにはみんなから好かれる存在となりますが、妻子持ちの社長との交際が社内の人たちにばれ、女の好感度は一気に下がります。
この交際の漏洩をきっかけに女は孤立していき、ある事件を起こしてしまい、そしてこの後女の消息が消えて話は終わります。
小説『むらさきのスカートの女』の作品情報
作品情報
- 出版社:朝日新聞出版
- 著者:今村夏子
- 定価:本体1,300円+税
- 発行年月:2019年06月07日
- ページ数:160ページ
- ISBN:9784022516121
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21033
小説『むらさきのスカートの女』のあらすじ
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない<わたし>は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。
小説『むらさきのスカートの女』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『むらさきのスカートの女』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- むらさきの女の奇妙さ
- 話の語り手がむらさきのスカートの女ではなく、仕事場のチーフ
- 淡々と進んでいくストーリー
むらさきの女の奇妙さ
むらさきのスカートの女はとても奇妙な人物のように語られています。
毎日同じパン屋さんで同じクリームパンを買い、同じ公園の同じベンチでそれを食べます。
そして、毎日同じむらさきのスカートをはいています。
地元の子供たちにも目をつけられていて、じゃんけんで負けたらむらさきのスカートの女をタッチするという遊びを企てたりもします。
見た目はお世辞にも綺麗とは言えず、まったく清潔感のない不思議な女として描かれており、どんな人物なのだろうと考えているうちに時間を忘れて読んでしまいました。
話の語り手がむらさきのスカートの女ではなく、仕事場のチーフ
小説の語り手は主人公であることが多いと思いますが、この本の語り手はむらさきのスカートの女ではなく、女がやっと見つけた仕事場のチーフです。
しかも、この語り手の正体は話の結構後半の部分で明らかになり、それまでは誰が女を観察して語っているのかが全く分からない状態で話が進んでいきます。
その語り手の正体が分かったときはとても衝撃で、話が一気に展開していきました。
しかし、正体がわからなくても十分話が理解でき、面白かったので、著者の文学的センスに驚かされました。
淡々と進んでいくストーリー
この話の大部分は、ただ淡々とむらさきのスカートの女の日常が仕事場のチーフの視点で語られていくだけの話です。
それなのにとても面白いし、話に吸い込まれていくように夢中になって読んでいました。
この話はファンタジーの要素はなく、現実世界でも普通に起こりうるような内容ばかりで話が進んでいきます。
それでも芥川賞を受賞するという偉業を修めています。
キャッチフレーズに書かれていたように「何も起こらないのに面白いとTikTokで話題」の意味は読めばすぐにわかるでしょう。
小説『むらさきのスカートの女』を読み終わった感想
この本は小説の醍醐味を教えてくれる一冊だと感じました。
小説を普段読まない人は活字だけでは面白くないとか、映像があった方が理解しやすいと考えているかもしれません。
しかし、この小説は字だけでも場面の情景や登場人物の気持ち表情が容易に頭に浮かび上がってきて、小説のすばらしさを実感しました。
それにファンタジー要素がなく、淡々とストーリーが進んでいくだけなのにこれだけ話に引き込まれたことはあまりありませんでした。
この話は小説初心者の方でも読める一冊だと考えています。
小説『むらさきのスカートの女』で印象に残った名言
私が小説『むらさきのスカートの女』を読んで特に印象に残った名言です。
「女を観察するチーフ」のセリフ
むらさきのスカートの女と呼ばれている。
小説『むらさきのスカートの女』の評価や口コミ
他の方が小説『むらさきのスカートの女』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
『むらさきのスカートの女』
著者:今村 夏子
出版:朝日新聞社自分と同じ職場で働くように誘導するというとこで「なんか怖い」って感覚になりましたが、やっぱり怖かった😂ただ物語を客観的に見ているように見せかけて、その視点が違和感を生み、怖さを増大させていました。面白い! pic.twitter.com/TekYlj1Q7a
— がじゅまるパパ|毎日読書 (@gajumarupapa) February 14, 2023
📚『むらさきのスカートの女』今村夏子
近所に住む「むらさいのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方がない〈わたし〉。彼女と友達になる為に、同じ職場で働くよう誘導し…
なんか不思議な感覚のまま、気づいたらラストでした。
〈わたし〉の恋の物語かなと思いました|ω・) pic.twitter.com/78gaVFcdYj— さくら@読書 (@sakura_dokusho9) February 13, 2023
むらさきのスカートの女
今村夏子さん読了。
とんでもなく面白い作品でした!読み始めてすぐからずっと薄気味悪いのですが、どうやら全てに別の意味がありそうです。考察を色々覗く前にすぐさま読み返すべきでした。今から2周目に入ります。
— 釘宮理恵 (@rie_k_0530) December 14, 2022
おわりに
私が小説『むらさきのスカートの女』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『人間失格』です。
恥の多い人生を送った人間失格同然の男の人生を描いた物語です。