宮城県にお住いの59歳男性が2023年1月頃に「映画館」で見た映画『ケイコ 目を澄ませて』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『ケイコ 目を澄ませて』を見ようと思ったきっかけ
若手映画監督として評価が高かった三宅唱監督の最新作です。
『やくたたず』、『Playback』、『THE COCKPIT』、『きみの鳥はうたえる』、『ワイルドツアー』と同監督の作品を見てきたので、当然見なければいけないと思って映画館に行きました。
ただ、予告で、耳が聞こえないはずのケイコの独白が台詞として聞かれるので、これは変じゃないだろうかと思い多いに気になっていました。
ケイコの声が映画の中でどうなるのだろうかという関心をもって作品に臨みました。
映画『ケイコ 目を澄ませて』の内容
ケイコは聴覚障害のあるプロボクサー。
ホテルでベッドメイクの仕事をしながら、母親からはいつまでボクシングを続けるつもりなのかと心配されながらも、小さなボクシングジムで練習を続けて、コロナ禍のさなかプロボクシングの世界でも注目されるようになってきました。
しかし、よき理解者だったジム会長の病気、それに続くジムの解散の決定等のできごとがあり、ケイコ自身の心にも葛藤が起きます。
それらを乗り越えて彼女の試合は家族や関係者を一つにしていきます。
作品情報
- ジャンル:青春 ドラマ
- 製作国:日本
- 製作年:2022
- 公開年月日:2022年12月16日
- 上映時間:99分
- 製作会社:「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会(メ~テレ=朝日新聞社=ハピネットファントム・スタジオ=ザフール)(制作プロダクション:ザフール)
- 配給:ハピネットファントム・スタジオ
- 公式サイト:https://happinet-phantom.com/keiko-movie/
映画『ケイコ 目を澄ませて』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『ケイコ 目を澄ませて』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- ボクサーになった岸井ゆきの
- ケイコが声を出すのは一言
- 16mmフィルム
ボクサーになった岸井ゆきの
彼女の仕事を常に追ってきたわけではありませんが、元から演技力が高く評価されていた岸井ゆきのさんです。
でも、体、身のこなし、顔つきと、この映画の彼女は一人の女性ボクサーとしか見えないです。
もはや演技ではないと思えます。
事前に相当トレーニングを積んだに違いないです。
たとえば『空に住む』という映画で小説家の子供を宿したうえで別の男と婚約してしまう編集者をやっていた人と、同じ人と考えるのは、たとえ顔が同じでも難しいです。
しかし、ここまで改造した自分をカメラの前にさらすことができるというのは、俳優という職業ならではだろうとも思います。
そしてケイコの迷い等までも表現できるのは俳優ならではでしょう。
ケイコが声を出すのは一言
この映画でケイコが話すのは「はい」という一言だけです。
予告でケイコの独白に聞えたのは、彼女がトレーニングについて書いていたノートを、ジム会長の奥様が読み上げた声だったのです。
岸井ゆきのさんはボクサーになりきるという課題に加えて、聴覚障害者になりきるという課題も果たさなければなりませんでした。
ケイコのよき理解者である弟と手話で会話をするシーンがあります。
台詞は決まっているとはいえ、手話を自然に使えるようにするのは容易ではなかったと思います。
弟のガールフレンドが手話を勉強し始めて、手話でケイコに話しかけるシーンは感動的と言ってよいでしょう。
16mmフィルム
デジタルビデオカメラでなく、あえてフィルムの質感を愛してフィルムで撮影をする監督たちがいます。
しかし、4Kだ8Kだという時代にこの映画で利用しているのは、通常の劇映画で使われてきた35ミリフィルムよりも精彩でない16ミリフィルム。
日暮れに河原を走るケイコの姿や、ジムの中のトレーニングのシーン等、おそらく、スッキリとしたきれいな画質ではないことでいい効果が得られているのだと思います。
ただ目の前にあるものを撮影したものを見たのではなく、映画を観たのだと実感できる画質です。
映画『ケイコ 目を澄ませて』を見終わった感想
ケイコの存在に撃たれてそれで十分と思える映画。
手話で、あるいは文字をつかって、それ以上にジムで稽古相手のミットに拳を向けることでコミュニケーションをとるケイコの姿が圧倒的です。
また、映画の最後にケイコが、たまたま彼女の対戦相手だった女性と遭遇します。
彼女は野外で仕事中。
健康や娯楽のために気軽にスポーツをする人たちと、スターとして注目を浴びる人たちの中間で、スターと同じように情熱を傾けながらこつこつ競技を続ける人たちの存在に光を当てた映画でもあります。
物語が終わった後の無音のクレジットの余韻もよいです。
映画『ケイコ 目を澄ませて』で印象に残った名言
私が映画『ケイコ 目を澄ませて』を見て特に印象に残った名言です。
「もちろんケイコが言ったことばですその音を耳では聞いていない女性の発した音です」のセリフ
はい
映画『ケイコ 目を澄ませて』の評価や口コミ
他の方が映画『ケイコ 目を澄ませて』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
上白石萌音の新作映画は、「ケイコ 目を澄ませて」の監督か!これは必見ですね。
— かいちゃん・ジ・エンド (@takakaichan) January 23, 2024
では今更ですが私の2023年映画ベストです。
❶ aftersun/アフターサン
❷ エブエブ
❸ HUNT
④戦慄怪奇ワールドコワすぎ!
⑤ゴジラ-1.0
⑥ケイコ、目を澄ませて
⑦リバー流れないでよ
⑧終わらない週末
⑨pearl
⑩劇場版ほんとにあった!呪いのビデオ100
11.オオカミの家 pic.twitter.com/CU9lOV6egB— 両目洞窟人間 (@gachahori) January 28, 2024
『映画芸術』は、毎年ベスト10とワースト10を発表することで知られる辛口評に特色のある専門誌。
そこのレビューで傑作と評されるとは…
ちなみに2022年の同誌ベスト1は、
『ケイコ目を澄ませて』だった。#夜明けのすべて https://t.co/XAL16Wv5vv— 雪月花 (@sw_flw) January 25, 2024
『ケイコ 目を澄ませて』を再鑑賞
映画のリズム感って超大切だなって。
カット割りのタイミングや間の取り方、音のバランスなど。
今作は完璧なリズムで映画が進んでいるので観ていて心地良い。逆に最近のハリウッド大作はリズム感が壊滅的だったりするので全然ノれない。 pic.twitter.com/kmLNWCHO3k
— 四畳半 (@baiken0815) January 24, 2024
作者はシリアスなシーンを優しくユーモアを交えながら書くのがうまい。少し惚けたような文章だけど、それが逆に胸に迫る。散髪のところは特にそう。笑える。けど、胸に訴えてくる。映画は三宅唱監督(ケイコ目を澄ませて)。こちらも楽しみ。#夜明けのすべて #瀬尾まいこ pic.twitter.com/cusNbLUmzr
— Forest@エンタメそして読書垢 (@hGSE2uYvs1hCb25) January 28, 2024
みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『ケイコ 目を澄ませて』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『ベネデッタ』です。
17世紀に実在した修道?の裁判記録に基づく映画。
イエスの花嫁になるヴィジョンを見る奇蹟を起こした若い女性がやがて修道院長になりますが、同性愛の嫌疑をかけられます。