千葉県にお住いの41歳男性(流通・小売系:物流センターの検品担当)が2023年8月頃に「チャンネルNECO」で見た映画『護られなかった者たちへ』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『護られなかった者たちへ』を見ようと思ったきっかけ
2011年3月11日午後2時46分、日本列島に激震が走ったあの瞬間どこにいて誰と何をしていたのか覚えていますか?東日本大震災の発生から10年以上が経過して、少しずつ当時の鮮烈な記憶が薄れていることを痛感する今日この頃。
そんな時にあの未曾有の自然災害と切実な社会問題にスポットを当てた、重厚な映画があると知りました。
原作者がベストセラー作家の中山七里さん、メガホンを取ったのがヒットメーカーの瀬々敬久監督というのも興味深いです。
映画『護られなかった者たちへ』の内容
仙台市若葉区保健福祉センターで生活困窮者の相談にのる三雲忠勝が、廃墟となったアパートで発見されました。
監禁・放置されて脱水と飢餓が原因で死亡した見立てで、容疑者として名前が浮上したのは利根泰久という前科のある青年。
事件の捜査に当たるのは宮城県警捜査一課に所属する苫篠誠一郎、9年前に津波で妻・紀子37歳と11歳になる息子と死別しています。
苫篠は引きずり続けてきた自ら辛い過去と決別して、事件を解決へと導くことができるのでしょうか?
作品情報
- ジャンル:サスペンス・ミステリー ドラマ
- 製作国:日本
- 製作年:2021
- 公開年月日:2021年10月1日
- 上映時間:134分
- 製作会社:映画「護られなかった者たちへ」製作委員会(松竹=アミューズ=木下グループ=トーハン=イオンエンターテイメント=NHK出版=松竹ブロードキャスティング)(企画:アミューズ/制作プロダクション:松竹東京撮影所)
- 配給:松竹
- 公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/mamorare/
映画『護られなかった者たちへ』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『護られなかった者たちへ』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 被災地の格差にカメラを向ける
- 地域のみんなから愛された課長さんに何があったのか
- 苦み走るベテラン刑事と今どきのクールな刑事
被災地の格差にカメラを向ける
オープニングショットは復興事業の一環として国が莫大な資金を投じている、宮城県仙台市の特別開発地区。
市内の風景が次々と映し出されていきますが、賑わいを見せていて震災の傷跡はまるで見当たりません。
一方では市街地を少し離れると更地のままで放置された土地や、入居希望者がいないまま老朽化したアパートや補修が進んでいない住宅街も。
早々と「復興完了」を宣言した都心部と、いまだに生活の再建さえ出来ていない過疎地域との歴然とした差に注目して下さい。
地域のみんなから愛された課長さんに何があったのか
被害者の三雲忠勝はかなりのショッキングな死にざまですが、上司や妻の証言では度が過ぎるほどのお人好しだったとのこと。
勤め先の保健第一課では決裁者という重要なポジションを任されていますが、彼の一存で生活保護の可否が決まる訳ではありません。
むしろ他人の世話にはなりたくないという理由で、申請をためらってしまうケースの方が多いとか。
地震によってムチャクチャになったお墓を、無縁仏の分まで費用を自己負担して建て直したというエピソードには頭が下がりますね。
苦み走るベテラン刑事と今どきのクールな刑事
謎めいた三雲の死を執念深く追い詰めるのは宮城県警の笘篠誠一郎、演じているのは阿部寛さん。
愛する妻子を失った哀しみを言葉少なに、苦悩に満ちた横顔で表現していてシブイですよ。
その苫篠とコンビを組むことになる若手のエリート刑事、蓮田智彦に扮した林遣都さんがやたらと冷めているのも効果的。
東京生まれの東京育ちということで地元出身の苫篠とは微妙な距離感がありますが、いつしかふたりの間に芽生えていく強い絆には胸が熱くなるでしょう。
映画『護られなかった者たちへ』を見終わった感想
避難所に指定された公民館で寒さに震えている少年に、見知らぬ女性がそっと差し出したのは1枚の毛布。
配給のパンを巡って乱闘騒ぎまで起きるなか、自らの空腹よりも他人を思いやるシーンに温かみを感じました。
意味深なタイトル、「護られなかった者」とは誰のことなのかも考えさせられます。
猛威を振るう自然の前にあまりにも無力な人間のことなのか、国によって切り捨てられていく生活困窮者のことなのか。
まだまだ遠い被災者との距離感を少しでも縮めつつ、すぐ側で助けを求めている人にも手を差し伸べられるようになりたいです。
映画『護られなかった者たちへ』で印象に残った名言
私が映画『護られなかった者たちへ』を見て特に印象に残った名言です。
「苫篠誠一郎」のセリフ
実態を見せてほしい、自分の目で見ないと信用できないんで
映画『護られなかった者たちへ』の評価や口コミ
他の方が映画『護られなかった者たちへ』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
中山七里さん最新作『彷徨う者たち』の主人公は、2021年秋に公開された映画『護られなかった者たちへ』で、阿部寛さん演じた刑事笘篠のバディ蓮田です。俳優は林遣都さん。
在りし日の友情と恋。立ちはだかる悔恨と贖罪。選ぶべき自分は刑事か、友か――彷徨うひとり、蓮田に注目です!#阿部寛 #林遣都 pic.twitter.com/tWOS5EBihq— NHK出版マーケティング局 (@nhkpb_text) January 27, 2024
中山七里/護られなかった者たちへ 読了📚
震災後の宮城を舞台にした社会派小説。こういう本は得てしてオチで煙に巻かれるけどちゃんと終わってくれたとこが良かった。映画化したくなるのも分かる。いい話ではないけどいい小説。 pic.twitter.com/NO3PQ0qh8Z— 百 (@Satie0412) January 28, 2024
昨日発売した中山七里さん最新小説『彷徨う者たち』は、映画になった『護られなかった者たちへ』で林遣都さんが好演された蓮田刑事が主人公。
蓮田の後悔と友情と贖罪など、彼の人間くささや業に迫る、社会派ヒューマンミステリーです‼️#中山七里 #彷徨う者たち #護られなかった者たちへ #林遣都 pic.twitter.com/yQRvBzPTLb— 「NHK出版 本がひらく」&書籍編集部 (@NHKWebMagazine) January 27, 2024
さきほど中山七里さんがご来店!
最新刊『彷徨う者たち』のサイン本を作っていただきました。映画化もされた『護られなかった者たちへ』シリーズ完結巻です。この機会にぜひ! pic.twitter.com/m65IUUCC1P— 紀伊國屋書店横浜店 (@Kino_Yokohama) January 26, 2024
みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『護られなかった者たちへ』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『天に栄える村』です。