愛知県にお住まいの26歳女性(医療:検査職)が2022年11月頃に「紙の本」で読んだ小説『屍人荘の殺人』のレビューをご紹介します。
小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しております。
小説を読む前に、それが面白いのか知りたい方や評価や口コミが気になっている方は、このレビューを参考にしてください。
目次
小説『屍人荘の殺人』を読むきっかけ
以前から『屍人荘の殺人』について、鮎川哲也賞受賞、本格ミステリ大賞受賞、そして「このミステリーがすごい!第一位」などの評判を書店や雑誌で頻繁に目にしていました。
また、ミステリ愛好会に所属する大学生が主人公である別荘での合宿中に起こる事件、二重のクローズドサークルなど、ミステリ好きには極めておすすめという紹介を読んだこともあります。
そのため、本格的なミステリーノベルを読みたいという気分になったときに、この作品を選びました。
小説『屍人荘の殺人』の内容
主人公の葉村譲はミステリ愛好会に所属する大学生です。
同愛好会の部長で探偵を自称する明智恭介、探偵少女の剣崎比留子とともに映画研究部の夏合宿に参加します。
実はその映画研究部には、合宿前に脅迫状が届いていたり、過去の女子部員が退学していたりと、怪しい噂があります。
そんな合宿中、近くで行われていた夏フェスでバイオテロが起き、突然ゾンビが現れます! ゾンビに襲われ、別荘に閉じ込められた主人公たちは極限の状況に置かれ、更に次々と殺人事件が起こります。
作品情報
- 著者:今村 昌弘
- ISBN:9784488466114
- 出版社:東京創元社
- 判型:文庫
- ページ数:384ページ
- 定価:740円(本体)
- 発行年月日:2019年09月
- 発売日:2019年09月11日
- 国際分類コード【Thema(シーマ)】1:FB
- 国際分類コード【Thema(シーマ)】2:1FPJ
- 公式サイト:http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488466114
小説『屍人荘の殺人』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
『屍人荘の殺人』について、ネタバレ覚悟で解説します。
その読みどころは大きく3つあります。
この小説の読みどころ
- ミステリの醍醐味
- ゾンビ・パニック!
- 垣間見えるキャラクターの魅力
ミステリの醍醐味
『屍人荘の殺人』の一番の魅力は、ミステリとしての面白さです。
数々のミステリ関係の賞を受賞しているのも納得の内容です。
別荘に閉じ込められるというクローズドサークルの中で起こる密室殺人という『二重の密室』は、充分な読み応えがあります。
真相についても、「そうだったのか!」と驚きつつ、がっかりさせない展開があります。
さらに、美少女探偵・剣崎のキャラクターや、ミステリ好きな葉村と明智の会話、探偵と助手の関係性についての部分も、ミステリ好きにとっては見逃せない要素が満載です。
ゾンビ・パニック!
ある意味ネタバレになりますが、この小説はゾンビ無しでは語れません。
なんとこの小説にはゾンビが出てきます! この小説をただのミステリと思って読み始めた私は、冒頭から展開される大学生たちのミステリ愛好会の夏合宿の様子に、ゾンビに襲われるという予想を超える出来事に驚きました。
しかし、その意外性がかえって興味を引き、物語がどんどん面白くなってきたと感じました。
垣間見えるキャラクターの魅力
また、登場キャラクターそれぞれに魅力があります。
主人公の葉村や探偵の明智・剣崎はもちろん、映画研究部の面々やそのOBも個性的です。
それぞれに個性に合った名前が付けられていて、覚え易いです。
特に印象深かったのは、一見厄介そうなキャラクターでも、その人間性が微妙に見え隠れする部分です。
映画研究部の部長が利害関係を超えて恋人を大切にし、女性関係のトラブルを抱える二枚目のOBが愛情について苦悩するといった描写が、キャラクターの魅力と物語全体の魅力を一層引き立てています。
小説『屍人荘の殺人』を読み終えた感想
『屍人荘の殺人』は本格ミステリとしてもちろんのこと、ゾンビが登場するエンターテイメント小説としても大変面白かったです。
魅力的なキャラクター達と予想がつかない展開で、読み進めるのが止まりませんでした。
ミステリの謎解きもストーリーの結末も清々しく、読後感は非常に満足でした。
主人公の葉村や探偵の明智、剣崎については、彼らの出会いや過去の事件、そしてこれからの展開などを更に読みたいと感じるほどでした。
小説『屍人荘の殺人』で印象に残った名言
私が小説『屍人荘の殺人』を読んで特に印象に残った名言を紹介します。
「明智恭介」のセリフ
「くそ、なかなか理屈通りには動かないものだな、人間というのは」
小説『屍人荘の殺人』の評価や口コミ
他の方が小説『屍人荘の殺人』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
今村昌弘『屍人荘の殺人』(2017年)
実写映画化もされた新感覚ミステリで“ある一点“を除けば割と王道な推理小説です
犯人の特定やトリックは論理的に行われるしある設定を駆使した真相が秀逸で大きな驚きがありました
注意点としては『十角館の殺人』系統の作品ではないです#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/suzkdVIyp6— たかひでの本棚📚毎日小説紹介 (@tkhd_hondana) March 21, 2023
犯人「そうさ、全部の犯行は俺がやったのさ……俺はこの日のために推理小説を山のように読んでトリックを学んだ……屍人荘の殺人とか、密室殺人ゲームとか、眼球堂の殺人とか……」
探偵「参考にするなら現実味のある世界観のミステリ読めよ」
— かなかわ (@kanakawa12) October 27, 2022
#名刺代わりの小説10選
推理小説版
屍人荘の殺人/今村昌弘
魔眼の匣の殺人/今村昌弘
兇人邸の殺人/今村昌弘
十角館の殺人/綾辻行人
46番目の密室/有栖川有栖
占星術殺人事件/島田荘司
首無館の殺人/月原渉
硝子の塔の殺人/知念実希人
時空旅行者の砂時計/方丈貴恵
名探偵のはらわた/白井智之— のり@読書DOTCOM (@dokushoDOTCOM) July 15, 2022
【名刺代わりの小説10選】
スロウハイツの神様/辻村深月
傲慢と善良/辻村深月
屍人荘の殺人/今村昌弘
十角館の殺人/綾辻行人
さよならドビュッシー/中山七里
マスカレード・ホテル/東野圭吾
オーデュボンの祈り/伊坂幸太郎
チョコレートコスモス/恩田陸
舟を編む/三浦しをん
ツバキ文具店/小川糸— 藍白 (@aijiro_f) March 24, 2022
屍人荘の殺人/今村昌弘
ミステリー小説。葉村譲と明智恭介、探偵少女の剣崎比留子は曰く付きの夏合宿に参加する。そこで衝撃の出来事に巻き込まれる籠城する事になる。籠城した屋敷の中で起きる連続殺人と、籠城の緊張感で一気読みだった。
#読了 pic.twitter.com/x5CygqaPVn
— ぶ (@LGPzbpqkCEcGZ4h) April 1, 2022
みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!
おわりに
私が小説『屍人荘の殺人』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しました。
「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたい小説は『〈屍人荘の殺人〉エピソード0 明智恭介 最初でも最後でもない事件』という作品です。
これは『屍人荘の殺人』に登場する明智恭介が活躍する話です。