東京都にお住みの33歳女性(サービス系:デザイナー)が2022年7月頃に「紙の本」で読んだ小説『グレート・ギャツビー』のレビューをご紹介いたします。
小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説していますので、小説を読む前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『グレート・ギャツビー』を読もうと思ったきっかけ
ハリウッドで映画化されたことは知っていましたが、視聴する機会はありませんでした。
ただ、題名だけは知っていました。
本屋で偶然にもその本を見かけ、興味が湧いて購入しました。
本を読んだ後で映画も視聴しましたが、やはり最新の映画化版はあくまで一つの解釈の映像化なんだと感じました。
小説を読むとこの物語が何倍も深く引き込まれる感覚になりました。
1920年代の華やかな時代背景のニューヨークの雰囲気を感じることができ、ギャツビーやデイジーなどの登場人物たちの人物描写が楽しいです。
主人公ニックの「何事も断定的に割り切らない」性格は、まるで作者フィッツジェラルドの視点を映しているように感じました。
軽快で洗練された文体、そして繊細さが漂う描写で物語は進行していきます。
小説『グレート・ギャツビー』の内容
1920年代、主人公のニックはニューヨークに移住します。
そこで彼は、豪華で壮麗な屋敷に住む謎の男「ギャツビー」に出会います。
彼の家では夜ごとに、絢爛としたパーティが開かれ、ニューヨーク中から人々が招かれているほどの活気を見せています。
最新の流行の音楽や飾りつけ、催し物やセレブの招待客で人々を惹きつけるギャツビー邸のパーティ。
一体、なぜギャツビー氏はこのようなパーティを毎晩開いているのでしょうか?興味を抱いたニックは徐々にギャツビーに近づき、ついにその目的が失われた恋人デイジーを見つけ、取り戻すためであることを知ります。
実はデイジーはニックの親族で、アメリカの伝統的な富裕層の娘です。
デイジーはギャツビーとかつて恋仲だったものの、現在はあまり幸せでない結婚をしていました。
作品情報
- 著者:フィツジェラルド
- 訳者:大貫三郎
- ISBN:9784041126523
- 出版社:KADOKAWA
- 判型:文庫
- ページ数:272ページ
- 定価:720円(本体)
- 発行年月:2022年06月
- 発売日:2022年06月10日
- 国際分類コード(Thema):FB
小説『グレート・ギャツビー』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
小説『グレート・ギャツビー』の読みどころをネタバレ覚悟で解説します。
大きく分けて以下の3つについて詳しく説明します。
この小説の読みどころ
- 全ては「デイジー」のために
- 黄金のアメリカン・ドリーム 夢の体現者・ギャツビー
- 夢の終わりと破滅について 恋の顛末
全ては「デイジー」のために
ギャツビーは何としてでもデイジーを取り戻すため、異様なほどの執念を見せます。
彼が毎晩豪華絢爛なパーティを催し人々をもてなしている資金は一体どこから来ているのでしょうか?若きギャツビーは、なにをしてそんな富と成功を得たのでしょうか。
パーティに招かれている人々の間では、ギャツビーの正体や背景について様々な噂が飛び交っており、その噂自体が娯楽の一部となっています。
中には過激な噂もありますが、主人公ニックはギャツビー本人と会った時に、彼の持つ魅力に気付きます。
形式ばったほど礼儀正しく紳士的な振る舞いを見せるギャツビー。
彼は一体何者なのでしょうか、なぜそれほどまでにデイジーに固執しているのでしょうか。
物語が進むにつれ、読者は主人公ニックと共にその理由を探ることになります。
黄金のアメリカン・ドリーム 夢の体現者・ギャツビー
ギャツビーの両親は質素な生活を営む百姓で、それが彼自身の夢とは大きくあらず、「彼らを自分の両親と思うことは、自身に描いた夢が許さなかった」というレベルです。
誰からも指南されることなく、彼は子どもの頃から「理想の自分」を追い求めて生きてきました。
彼が両親と絶縁した理由は単純な不仲や虐待ではなく、「理想の自分」=「本当の自分」が両親とは違う環境や出自から来ているという理由だけです。
名前である「ギャツビー」すら彼自身が考案したものです。
彼の特異さは、明るい視線を持つ夢と、その夢への生涯にわたる献身から来ています。
意志と行動力により、ギャツビーは「理想の自分」を現実にするチャンスを掴み、つかみ取ります。
彼の出自や身分などは全く関係がありません。
自身の力で大きな夢を実現した点で、彼はアメリカンドリーム、あるいは人間の夢の体現者と言えるかもしれません。
夢の終わりと破滅について 恋の顛末
その眩しい夢が、ある時点で壊れ散る様子が描かれています。
実際、ギャツビーはただの田舎出身者で、名家の出身でもない人物です。
経済的に成功したとはいえ、「良家」出身のデイジーミスとは身分も育ちも全く違います。
自由を標榜する黄金時代のアメリカでも、彼らの間には厚く固い壁が存在します。
また、彼が成功を収めるために暗い行いをしてきたことが仄めかされています。
当初から彼は恋をしたデイジーに対し、「もはや自分の心が神秘的に高まることができない」という予感を抱いていました。
彼の夢は、自己や現実を超越したものだったのでしょう。
世俗の束縛を拒みつつ、彼はデイジーに恋をしました。
その結果、彼の夢は破綻しました。
この経緯を通じて、人間の夢と現実との間柄について考えさせられます。
小説『グレート・ギャツビー』を読み終えた感想
物語後半でデイジーとその夫トムがとる一連の行動は、どのように読んでも後味の悪い、不正な行為であると感じられ、ギャツビーがデイジーに対して抱いていた美しく輝かしい夢は何だったのかと思わせる。
ギャツビーが愛していたのは、デイジー本人ではなく、美貌や富、血筋を体現しているかのように見える、夢の美だったかもしれません。
特権階級の富裕層でありながら、人間的な面も持ち合わせたデイジーの魅力や内心が丹念に描かれているからこそ、苦い後味が残る。
主人公ニックのギャツビーに対する友情が少しだけ救いとなり、余韻のある終わり方となりました。
小説『グレート・ギャツビー』で印象に残った名言
私が小説『グレート・ギャツビー』を読んで特に印象に残った名言をご紹介します。
「ニック」のセリフ
「あなたには、彼らを一緒にしただけの価値がある」
小説『グレート・ギャツビー』の評価や口コミ
他の方が小説『グレート・ギャツビー』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
「1日で読める短めの傑作小説20選」https://t.co/VchIDouNlu
『グレート・ギャツビー』『ダロウェイ夫人』『ずっとお城で暮らしてる』『菜食主義』『終わりの感覚』『華氏451』『春にして君を離れ』他。村田沙耶香『コンビニ人間』の英訳もこういうリストに入ってくるようになりました。
— 矢倉喬士 Takashi YAGURA (@yu_ichi_japan) July 4, 2018
活字が頭に入らない #カツアタ 最新回は本日20時頃に配信予定!タイトルは「#55.アメリカの出版事情が分かるエンタメ小説『「グレート・ギャツビー」を追え』」。村上春樹さんが翻訳したアメリカの小説にやまだが切り込みます! pic.twitter.com/eYxpYuSa9g
— 活字が頭に入らない@読書ラジオ日曜更新 (@yominasaina) February 14, 2021
スコット・フィッツジェラルドの小説
「グレート・ギャツビー」崩壊していくもの
諦観
切なさ・・・どこをとっても独特の世界観が美しい小説。#藤村正宏が好きな小説https://t.co/TW7gtfv9Od pic.twitter.com/feRgGYSdHZ
— 藤村正宏 エクスマ創始者 マーケティングコンサルタント (@exmascott) July 7, 2019
即ち、版権の切れた洋書を、独自に翻訳してkindleで販売するという……。全て完全に合法で、しかも出版社の翻訳版の数分の一の価格。訳もかなりいい。『語学は身を助ける』という格言の一つの見本だろう。ホームズの全集を出せば、それだけで一財産稼げそう。
Amazonの口コミ
デカプリオが華麗なるギャツビーのインタビューでこの映画を観たのならぜひ本のほうを読んで欲しいといっていたので読んでみました。冒頭の言葉が好きです。
Amazonの口コミ
みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!
おわりに
小説『グレート・ギャツビー』の感想や読みどころを、ネタバレ覚悟で解説してきました。
もし、「面白い」と感じた方がいらっしゃいましたら、ぜひ読んでいただければと思います。