宮城県にお住いの59歳男性(無職:無職)が2023年1月頃に「Hulu」で見た映画『子猫をお願い』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『子猫をお願い』を見ようと思ったきっかけ
同じ監督による新作が日本で公開になり、それも猫のドキュメンタリー映画です。
そこで、昔見た、タイトルの中に「猫」が出てくるこの映画を見直してみようと思いました。
公開当時は評価が高かった映画で、私も楽しく見た記憶がありますが、個人的に何がよかったかことばにならない映画でした。
具体的に覚えていることは、ペ・ドゥナが出演していることと、ジヨン役の人の黄色の服(だいだい色のジャンパーというのが正確ですね)だけでした。
というわけで記憶を新たにするためにも再挑戦しました。
映画『子猫をお願い』の内容
ソウル郊外、インチョンの商業高校で学んだ5人の女子高生。
卒業後もたまに皆で会いますが、卒業後の仕事の違い等により考え方の隔たりは大きくなります。
特に家が貧しいうえにもう失業したジヨンと、大きな会社に就職したヘジュの仲は険悪に。
取りまとめ役のテヒは苦労することになります。
そのテヒは、無給で家業を手伝うかたわら、ボランティアで、障がいのある詩人のために詩を口述筆記していますが、自分のこれらからの生き方について悩んでいます。
そしてジヨンの住む古い家が倒壊し同居の祖父母が死ぬ事故が起きます。
作品情報
- ジャンル:ドラマ
- 製作国:韓国
- 製作年:2001
- 公開年月日:2004年6月26日
- 上映時間:112分
- 製作会社:マスルピリ
- 配給:ポニーキャニオン、オフィス・エイト
映画『子猫をお願い』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『子猫をお願い』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 子供から大人になる時期の人たちの映画
- 5人の仲間が三つの2人組に分割される
- 子猫は誰にお願いするの?
子供から大人になる時期の人たちの映画
映画の後半、家が倒壊した理由について警察で何もしゃべらないジヨンはあらぬ疑いをかけられ、警察から、未成年で保護者がいないからという理由で分類審査院という施設に送られます。
テヒは警察で未成年は面会できないと言われますが、童顔でも成人年齢のテヒはジヨンに面会できるのでした。
高校の同学年でも成人年齢に達しているかどうか分かれてしまう年齢なのです。
彼女たちが大人と子供の間にあることを象徴するエピソードと言えるでしょう。
不必要なことに悩んだり、逆に思い切った行動ができたり。
要するに青春映画なのです。
5人の仲間が三つの2人組に分割される
映画の最初に制服姿の女子高生たちが記念撮影をするのですが、映画の最後に彼女たちは別々の道を進みます。
大きな会社に勤めたヘジュはテヒたちに負け犬を相手にするような態度をとるようになりますが、彼女自身、高卒では社内では高い地位を望めません。
使い走りやお茶くみをさせられている女子社員が集まって飲み会をしてうさばらし。
でも飲み会から抜けて一人になったとき、彼女が呼ぶとやってくるのは、昔から付き合っている予備校生の男子、チャニョンでした。
そしてテヒとジヨンは、どこへかはわかりませんが二人で旅立ちます。
残りのピリュとオンジョの中国系の双子姉妹は二人で暮らし続けるのですが、ジヨンが拾った子猫をもらいます。
これは彼女たちにも新しい人生が開けるということでしょう。
子猫は誰にお願いするの?
ジヨンは街で子猫を見つけてティティという名をつけて育てようとしますが、迷信深いお祖母さんが家に猫を置きたがりません。
そこでジヨンはティティをヘジュへの誕生プレゼントにします。
でも、ソウル市内への引っ越しを控えたヘジュは、猫を育てる余裕がないと、早朝ジヨンを駅に呼びつけてティティを返してしまいます。
それが高校時代はむしろ一番仲がよかった二人の仲が険悪化する引き金になっています。
その後ジヨンはティティを大事に育てますが、彼女の家の倒壊後テヒに、さらに最後は、双子姉妹、ピリュとオンジョにゆだねられることになります。
映画『子猫をお願い』を見終わった感想
高卒で社会に出た女子5人の話です。
日本以上に学歴にうるさいらしい韓国ですから、彼女たちの前に険しい人生が待ち受けていると思われます。
大きな会社に入れたヘジュにしても、会社の机の下で靴を脱いだ足のクローズアップが見られます。
テヒやジヨンに高飛車な態度をとる彼女も会社/社会で窮屈な思いをしていることがわかります。
ポン・ジュノ監督の『パラサイト』が半地下の家に住む家族と彼らにたかられる高台に住む富豪というように、階級差を垂直に表現しているのに対して、この映画ではテヒがいかにも貧民街という場所をずんずん歩いて行った先にジヨンの家を見つけるシーンのように、水平に、しばしば微妙な貧富の差が配置されています(高い場所と言えばヘジュの勤めるオフィスです)。
先のことはわからないけれど、今は同じ高さの場所にいる女子たちがそれぞれ自分の進む道を決めようとする、あるいは決められない姿を映画に定着していると思います。
映画『子猫をお願い』で印象に残った名言
私が映画『子猫をお願い』を見て特に印象に残った名言です。
「テヒがタイプライターで詩の口述筆記をしている、障害で立てない詩人が、その日の仕事の終わったテヒに言ったことば実際、二人はどうやら仲たがいし、最後にテヒは旅立ちます」のセリフ
君も去るんだろ?
映画『子猫をお願い』の評価や口コミ
他の方が映画『子猫をお願い』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
この映画を撮ったのは、2000年代の映画ファンが心のキャビネットに大切に大切に保管しているであろう1本の映画、あの伝説の『子猫をお願い』の監督チョン・ジェウンです。『猫たちのアパートメント』来年1月上映予定。柔らかくて、かつ示唆に富む、こちらの予告ご覧ください。pic.twitter.com/shOHWS9SMQ
— サールナートホール/静岡シネ・ギャラリー (@Sarnathhall) November 5, 2022
🐈⬛予告編解禁‼️🐈⬛
猫たちと私たちの“これから”の物語―
解体迫るソウル市内のマンモス団地に暮らす250 匹のノラ猫たちのお引越大作戦!#チョン・ジェウン 監督最新作
12.23㊎ユーロスペース、ヒューマントラストシネマ有楽町🎬✨#猫たちのアパートメント@euro_space @htc_yurakucho #子猫をお願い pic.twitter.com/EAnHSPjUB8— 🐈映画『猫たちのアパートメント』🐈⬛公開中 (@cats_apartment) November 2, 2022
Amazonプライム・ビデオ見放題配信開始
韓国映画
『子猫をお願い』
監督はチョン・ジェウン
出演はペ・ドゥナ、イ・ヨウォン、オク・チヨンhttps://t.co/0KZBfLtGYy『シルミド』
監督はカン・ウソク
出演はソル・ギョング、アン・ソンギ、ホ・ジュノ、チョン・ジェヨンhttps://t.co/QY1LKlcKDD pic.twitter.com/AhqLZC33Qj— mkhryk (@andrew_skarsgar) May 9, 2022
◆上映作品が決定しました!◆
【2/20(土)~2/26(金)】
『はちどり』ほか1本前の週に続いての韓国現代映画。『はちどり』のキム・ボラ監督は『子猫をお願い』を大好きな作品に挙げています。併映作品は近日発表! pic.twitter.com/SZwIITSpZ6
— 早稲田松竹 (@wasedashochiku) January 21, 2021
『猫たちのアパートメント』試写。『子猫をお願い』のチョン・ジェウン新作。素晴らしい!驚きです。都市と地域猫。ありのままの猫を撮っているのに冒険映画のようなところもあって。自分が猫のいる暮らしをしてることもあるけど、終盤ずっと涙目に。奇跡的な距離感だと思う。今年のベストリスト入り! pic.twitter.com/zvsKagvvn5
— 宮代大嗣 / Daishi Miyashiro (@maplecat_eve) December 10, 2022
高校の仲良し5人組の、社会に出てからの成長物語。わかる、その感じ。いつまでもあの頃のままじゃないんだよね。寂しくもあり、切なくもあり、でもみんな、前を向いてる。約20年前の映画だが、韓国社会のリアルな一端が垣間見える。まだ少女の面影を残すペ・デゥナの演技、やはり当時から光ってます。大好きな俳優だけど、昔からいい俳優だったのだなぁと改めて。
Amazonの口コミ
楽しく過ごした高校生活から実社会に入り、社会のあらゆる格差に直面する若者たちの姿を見ていると、どんどん格差が広がる日本社会と二重写しになり、見ていて胸が痛い。
Amazonの口コミ
非常に優れた映画です。
Amazonの口コミ
これは良い映画だった。5人の高校時代の仲良しが、徐々に離れて独立していく話である。また、親から本当に独立するとはどういうことかを考えさせられる話である。親から独立するというのは、自分の価値観で自分にとって本当に大切な人を選ぶということではないだろうか?主人公は親から独立し本当に大切な友達を選び取ったのである。韓国社会だからこその難しさや、2000年代初期の韓国社会の貧しさも描かれる。その中であえいできた人がいることを知らされる。そしてこうした貧しさに苦しむ人は日本にも韓国にもいるのである。自分の夢を不条理に奪われるような貧しさである。その貧しさ自体は決して美しいものではなく、変えていかなければならない社会の問題である。そういうことも考えさせられた。
Amazonの口コミ
登場人物それぞれの物語がうまくバランスよく描かれていて好感(こうかん)が持てる。撮影も良く、マーケットでの登場人物がそれぞれ一時的に別れるところや、あの当時の携帯電話の使い方も上手い。貧困についての描写も必要以上に悲惨(ひさん)な感じや愁嘆(しゅうたん)なく、しかし決して余裕(よゆう)かまして貧困楽しんでますみたいにならないところもいい。他にも微細(びさい)ないいシーンいっぱいな青春映画の秀作(しゅうさく)。
Amazonの口コミ
みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『子猫をお願い』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』です。