埼玉県にお住いの55歳女性(サービス系:葬儀関係)が2023年6月頃に「Amazon Prime Videoのレンタル」で見た映画『素晴らしき世界』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『素晴らしき世界』を見ようと思ったきっかけ
カンヌ映画祭で役所広司さんが最優秀男優賞を受賞し、話題に上がっていた時に、SNS上で友人に勧められたのがこの「素晴らしき世界」でした。
こちらもまたトロント国際映画祭、シカゴ国際映画祭に出品され、シカゴでは観客賞と役所広司さんのベストパフォーマンス賞を受賞しており、高く評価されていたと知り、これは絶対に観ておかなければと思った次第です。
年齢を重ねてますます研ぎ澄まされていく役所広司さん、見る価値有りだと進めてくれた映画好きの友人に感謝しています。
映画『素晴らしき世界』の内容
養護施設を出てからの人生の大半を刑務所で過ごしてきた一人の男・三上が旭川刑務所を出所しました。
今回は殺人罪で、13年の刑期を終えたのです。
上京した三上は身元引受人の弁護士の元で生活を立て直そうとしましたが、運転免許は失効し、万引き犯に間違われ…職にも就けず、生活保護をうけることになってしまいました。
そんな彼は自分を捨てた母親を探そうと、テレビ局の人探し番組に申し込んでいたのです。
その取材で三上に接触してきた小説家志望のテレビマン・津乃田(仲野太賀)は、三上に秘められた凶暴性に慄きながらも、その人間性に魅せられていきました。
作品情報
- ジャンル:戦争 ドラマ
- 製作国:チェコ
- 製作年:2000
- 公開年月日:2002年6月29日
- 上映時間:123分
- 製作会社:トータル・ヘルプアート=チェコ・テレヴィジョン
- 配給:大映
映画『素晴らしき世界』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『素晴らしき世界』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 役所広司さんが演じる”受刑者”の描写
- 豹変する三上の内面の描写
- 三上を迎え入れてくれた人々
役所広司さんが演じる”受刑者”の描写
三上は母親に捨てられて預けられた養護施設を飛び出して以来、人生の大半を刑務所で過ごしていました。
体に染みついた受刑者としての生活ぶりと、その独特の動作は、その関係者に大きな衝撃と驚きを持って高く評価されていました。
旭川刑務所を出所するまでの冒頭の短いシーンですが、それこそが彼の為人の根幹をなす一つの面であるとして、役所広司さんが作り上げたキャラクターの濃密さを表していたと思います。
返事をする口調、廊下を歩く動作など、注意深く見て頂きたいです。
豹変する三上の内面の描写
刑期を終えて娑婆(一般社会)に戻って来た三上は、今度こそ穏やかに暮らそうと心に決めていましたが、壁にぶつかり続け、途方に暮れています。
そんな中で目の当たりにしたオヤジ狩りの場面に、彼の奇妙な正義感と内側に閉じ込めたはずの凶暴性が溢れて爆発しました。
津乃田の目の前で、三上はあっという間に二人のチンピラをボコボコにして制圧してしまったのです。
次元の違う暴力を目の当たりにした津乃田は圧倒されて動けなくなり、手にしていたビデオカメラを止めてしまったのです。
三上を迎え入れてくれた人々
上京した三上を迎え入れてくれたのは身元引受人となった弁護士の庄司(橋爪功)とその妻の敦子(梶芽衣子)でした。
二人は三上に出所祝いのすき焼きを振舞います。
そのお礼として、三上は敦子に刑務所の作業で習い覚えたミシンでトートバッグを作ってプレゼントしました。
それを敦子は大切に抱きしめて「世界に一つ!」と心から喜びます。
そしてもう一人、三上を迎え入れてくれたのは故郷の福岡の組長・下稲葉明雅(白竜)と、その妻のマス子(キムラ緑子)でした。
しかし、そこも三上にとっては安住の地ではありません。
追い詰められていく暴力団の世界で、またも警察の捜索に追われ、マス子は身を挺して三上を護り、逃がしてくれたのです。
映画『素晴らしき世界』を見終わった感想
一般社会でも世知辛い今の世の中で、身一つで娑婆に放り出された元受刑者という存在はさぞかし生きづらいのだろうなぁということがじわりと伝わってきます。
というのも、役所広司さんが構築した三上というキャラクターは、刑務所の暮らしが身に付きすぎて、その臭いが消しきれないままに放り出されてしまったかのようでした。
粗野で乱暴で危うい、そんな彼を遠巻きにしている者もあれば、ふとした瞬間に距離が縮まり、付き合うことになる者も出てきます。
その距離感の描写が絶妙で、三上は哀しい思いをすることもあれば、ふと救われたように表情を緩める瞬間もあったのです。
彼はまだまだこの世の中で幸せになれるだけのポテンシャルがあったのだと、確かに感じられた、そんな不思議な魅力を持った男でした。
ラストカットの空の色がなんとも物悲しく、美しかったのが印象的でした。
映画『素晴らしき世界』で印象に残った名言
私が映画『素晴らしき世界』を見て特に印象に残った名言です。
「下稲葉マス子(キムラ緑子)」のセリフ
「娑婆は我慢の連続ですよ…我慢の割に対して面白いものも無か…!やけど、空が広い、ち言いますよ。
三上さん、ふいにしたらいかんよ!」
映画『素晴らしき世界』の評価や口コミ
他の方が映画『素晴らしき世界』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
カンヌ映画祭、役所広司さんの受賞が嬉しいが、役所さんは最近出た「素晴らしき世界」も良かった。演技が素晴らしかった。
カンヌは日本の映画人や地味だが良い作品が好きであり、フランス人は日本を高く評価してくれる。アメリカとは評価軸が随分違う。フランスのこの感じは好きだ。
— May_Roma めいろま 谷本真由美 (@May_Roma) May 28, 2023
西川美和監督のスクリーンが待っている、映画素晴らしき世界の構想から公開前までの5年間を綴った本。エッセイとしても死ぬほど面白いんですが、映画だけでなく音楽、エンタテイメント全般、飲食の仕事、プラットフォーム、事業を作ることに通じる指揮官としての矜持を堪能して気合が入る。 pic.twitter.com/X41V1QStNn
— fax-kun (@okadapaisenn) March 21, 2021
本日の朝食は映画館にて。朝8時代からの上映は有り難い!
にしてもこのポップコーン、食べ切れる人いるのかな😅
役所広司さん主演「素晴らしき世界」
素敵な映画でした。
先日観たミッドナイトスワンも素晴らしかったです! https://t.co/B5YO2YcBKl— 川上麻衣子 (@majko_k) March 16, 2021
映画ヤクザと家族観てきた。素晴らしき世界を見た時と同じ感想。こんな生きづらい世の中をまた一つ嫌いになる映画でした。まっすぐ生きる人は社会から抹消されるシステムで普通の暮らしが出来ている今は誰かの憧れで贅沢なんだという事を覚えておいて。あぐらを描く資格なんてないんだとぞっと殴られた pic.twitter.com/Qr0G3RP7dg
— 高嶋香帆 (@kaho_takashima) March 7, 2021
ブログ更新しました。 #素晴らしき世界 #映画
映画「素晴らしき世界」感想 残酷な世界の隙間にある微かな優しさを感じれた - 何もかもが滑稽https://t.co/ywaAe97cdJ— きいつ (@tPC2PD0o5kR3n00) February 17, 2021
チェコ好きで、チェコの作家さんの作品だからと言う理由で本を読んだ後、ひょんなことから映画があることなどを知り探して、中古品なら入手できそうだなと購入しました。予想していたより綺麗な状態で驚きつつ鑑賞しましたが、本の内容と同じで、読み終わった後の感覚も、読了後を追体験するような感覚でした。映像と音があると臨場感も違うし、オススメです。良いお話です。
Amazonの口コミ
ナチスに殺される恐怖に怯え、どう見ても最高に悲惨な生活なのだが、そんなどこに素晴らしき世界といえるところがあるのだろう。頭ではそうすると危険な目にあうと分かっていながら、そんな中でも最後の一線で仲間を助けてしまう。そうしてどんどん悲惨な境遇に追い込まれる。悲惨の中の幸せ、恐怖の中のユーモア、利己的な中の利他心、そんな逆説をうまく描いた映画だと思います。正直なんだが小心者のヨセフ、権力におもねるが根は優しいホルスト、今の日本企業にもいそうな二人の性格描写も見事です。
Amazonの口コミ
ナチス支配下のチェコで生きる夫婦ヨゼフとマリエ。マリエに恋心を抱いて頻繁に訪ねてくるナチス協力者ホルスト。夫婦はユダヤ人ダヴィドをかくまうことになり、ホルストもまた夫婦の秘密を知って行動を起こす・・・。異常な時代の狂気がはびこる世界の中で生きていく人達を、ユーモアも含んだ演出で見せる人間賛歌ドラマ。ユダヤ人が見つかってしまいそうになる緊迫感で締めながら、主人公の子供っぽさに笑ったり、彼を支える妻の美しさと寛容に惹きつけられながら進む。チェコが解放されてからの展開にそれまでのすべてが集約されて、人それぞれの決断や勇気、愚かさに思いを馳せるとともに、希望が溢れてきて胸がいっぱいになる。全てはもちろんみんなが”生きているからこそ!”が大大大前提。機会があれば様々な人に見てほしい、と思える逸品。
Amazonの口コミ
素晴らしい!絶体絶命の危機に陥るたびに登場人物たちが考え出す窮余の策が、面白くも見事で、まるでサッカーチェコ代表のウルチカパス(小道を通すパス)を観ているかのよう。チェコ人の英知を感じる映画。
Amazonの口コミ
ユダヤ人をかくまう夫婦と、その周辺の人々を描いています。そして主な登場人物はみな被害者として描かれています。戦争という個人レベルではどうしようもない激動の時代を生き抜くためには、理不尽なことをも受け入れ、自分をもだまし、そして助け合う。でも、この助け合いは、平和な時代にこそ映画として描かれていることに意味があるのでしょう。現代では、平和で便利なものに囲まれて、一人でも生きていけると錯覚してしまいがちです。そんな時代だからこそ、人とのつながりや助け合いの大切さ、素晴らしさを再認識させてくれます。
Amazonの口コミ
みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『素晴らしき世界』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』です。
漫画家の岸辺露伴(高橋一生)は若き日々にとある女性に想いを寄せていました。
その彼女から聞かされたのは『最も黒い絵』だったのです。
新作の構想を練っていた時に露伴はその絵がルーヴル美術館にあると知り、取材と称してフランス・パリの地に降り立ちました。
しかし、その目的の「黒い絵」はルーヴルに見当たらず、収蔵されていると表示された場所はすでに使われていない地下の倉庫だったのです。
その絵を探し求めていく露伴は、思いがけず恐ろしい事件に巻き込まれて行ったのです。