千葉県にお住いの41歳男性(流通・小売系:物流センターの検品担当)が2023年12月頃に「日本映画専門チャンネルHD」で見た映画『その男、凶暴につき』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『その男、凶暴につき』を見ようと思ったきっかけ
お笑いブーム創世記においては実力派の漫才コンビ「ツービート」のボケ役として、バラエティー番組進出後はビートたけしの芸名で大御所として、いまや海外からも高く評価されている映画作家として。
北野武監督の最新作「首」が2023年の11月に公開されたばかり、これを機会に初期の名作を振り返ってみたいと思っていたところ。
もともとは任侠物で名高い深作欣二さんがメガホンをとるはずが、巡りめぐって監督デビューを果たしたという逸話にも惹かれました。
映画『その男、凶暴につき』の内容
友だちの紹介で警察官になった我妻諒介は、品川区港南署の刑事課に配属されてすぐに型破りな取り調べで有名になります。
新しく入ってきた菊地とペアを組んで行方を追っているのは麻薬の密売人を埠頭で刺した犯人、捜査線上に名前が浮かんできたのは清弘。
大勢の手下を抱えていてコマのように使い捨てにするとか、快楽のためだけに人を殺すとか。
そんな凶暴な男を我妻たちは無事に逮捕できるのでしょうか、そして事件の背後に潜んでいる恐るべき黒幕とは?
作品情報
- ジャンル:バイオレンス ドラマ
- 製作国:日本
- 製作年:1989
- 公開年月日:1989年8月12日
- 上映時間:103分
- 製作会社:松竹富士(製作協力:ライトヴィジョン)
- 配給:松竹富士
映画『その男、凶暴につき』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『その男、凶暴につき』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- バイオレンス刑事に似合うクラシカルな音色
- 一匹狼にも頼れる先輩が
- 心の拠り所でもあり弱点でもある存在
バイオレンス刑事に似合うクラシカルな音色
オープニング早々にホームレス狩りに興じる少年たち、遊び半分で暴力をふるう彼らはこの後とんでもなく後悔することに。
とにかく口よりも手が先に出るという主人公・我妻、そんな彼の登場シーンに流れるのがエリック・サティ作曲「グノシエンヌ」。
高校生のときに音楽の授業に演奏されるピアノで、毎週土曜の午後にNHKで放送されている名曲アルバムで。
誰しもが1度は聴いたことであるだろう美しくも物悲しい調べが、全編を通して悲劇的な幕切れを予言していますよ。
一匹狼にも頼れる先輩が
「警官は聖職者」と豪語するのが署長の吉成、メガネ姿のお堅い役人といった印象で当然ながら我妻とは気が合いません。
新人・菊地の教育を任されるもののガールズバーに連れて行ったり、喫茶店でサボってテーブルゲームに夢中になったり。
生活が不規則な我妻を心配して自宅で手料理をご馳走してくれるのが、防犯課のベテランでもあり唯一の理解者でもある岩城。
岩城の妻によるとここ数日は夜遅くまで出歩いていて帰宅していないらしく、何かトラブルに巻き込まれていなければ良いのですが。
心の拠り所でもあり弱点でもある存在
故郷とは縁をきって親兄弟もいないのかと思いきや、我妻には可愛らしくお年頃な妹さんが。
久しぶりの再会でニコニコしながら「お兄ちゃん」などと呼びかけられたら、いかなる鬼刑事であろうと敵いませんよね。
心配事なのがつい先日までメンタル面でのバランスを崩して入院していたこと、ケンタッキーでナンパしてきた相手をすぐにアパートに引き入れてしまうこと。
良くいえば汚れを知らない天真爛漫、悪くいえば他人の悪意にたいして無警戒といった性格でしょうか。
映画『その男、凶暴につき』を見終わった感想
出勤途中でたばこをポイ捨て、上司のお説教中にスポーツ新聞を斜め読み、未成年の容疑者宅にまで押し掛けてビンタに頭突き... 今では即コンプライアンス違反で懲戒免職になってしまうであろう我妻刑事を、若き日のたけしさんが熱演していて格好いいです。
某県警で不祥事が多発する数年前に公開されていることもあって、先見の明と鋭い時代風刺も感じられました。
愛着のあるキャラクターが次々と凶弾によって息絶えるラストには、ただただ呆然とするしかありません。
映画『その男、凶暴につき』で印象に残った名言
私が映画『その男、凶暴につき』を見て特に印象に残った名言です。
「清弘」のセリフ
変な夢見んじゃないよ、分相応に生きなきゃな
映画『その男、凶暴につき』の評価や口コミ
他の方が映画『その男、凶暴につき』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
北野武生誕祭
その男、凶暴につきいくらでも作品を選べますが、やはりこの衝撃のデビュー作を!いわゆる「北野映画」の文脈からも外れている孤高にして唯一無二の映画。もう北野武本人でも絶対に撮れないであろう奇跡の様な傑作です😊
私はリアルタイム世代ですが、今までに観た事のないタイプの↓ pic.twitter.com/E5Uy6V1CYZ
— ウォーケンuzedit (@uzedit1) January 18, 2022
おはようございます✨ 北九州☁️
お笑いBIG3🥸北野武さん
お誕生日🎂おめでとう㊗️75歳
お笑い以外にも才能に溢れ
映画初監督「その男凶暴につき」麦焼酎🍶悪AQ
〜この悪凶暴につき封印しました〜
甘味が強くパンチの効いた味わい
ラベルのインパクト👍皆さま❤️良い酔い一日を🥂 pic.twitter.com/NoYXpxkHwM
— 中原 タツヒコ (@UY4PQu5u07rkwRd) January 17, 2022
●その男、凶暴につき
容赦ない暴力と、少しの愛と笑い。常に中心にあり続ける凶暴性に惹かれる。そして暴力を引き立たせる北野監督の引き算の美学。説明を省き、余白で語る。歩くだけ、銃声だけ、暴力だけの時間が天才的。
唯一無二の暴力映画で鮮烈なデビューを飾る北野武。この男、凶暴につき!! pic.twitter.com/HAt1tnsvFn
— ジョゼ (@moviestalker102) September 1, 2020
1 HANA-BI
2 ソナチネ
3 キッズリターン
4 菊次郎の夏
5 あの夏、いちばん静かな海。
6 座頭市
7 BROTHER
8 その男、凶暴につき
9 アウトレイジビヨンド
10 アウトレイジ
オールタイムベストのHANA-BIを撮ってくれた一番好きな映画監督。愛しかない。 pic.twitter.com/Qq1WFh5GRI— ジョゼ (@moviestalker102) November 16, 2021
これタケシの映画、その男凶暴につきのパクリなんですけど。デザイン泥棒と言っていいでしょう。法律上は知らないが、倫理上はね https://t.co/ZBdrkUox0g pic.twitter.com/9SxXt4m7TK
— 石井孝明(Ishii Takaaki) (@ishiitakaaki) July 3, 2020
北野武監督の初監督作品であり、個人的には本作品が北野武監督の映画の中で一番好きな映画だ。初期のタケシからはギラギラした狂気の様なものが映画を通じて伝わってきて、無駄なものを一切排除し随所に見られる暴力的なシーンやラストのキチガイ同士の殺し合いは見ていて心地良かった。老若男女問わずお勧めできる映画作品だと思う。
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私は漫才ブームを知らなくて、昭和のですよ?ひょうきん族でのちのスターたちの凄まじさを体験した世代です。そして、フライデー襲撃事件があった。その時は正直子供だったからどれほどの事かわからなかったのです。んで、この作品が公開されて、ひょうきん族では日本テレビ系の映画なのにフジでパロディコントをしてたんですよね。冒頭、主人公の吾妻が少年をぼこぼこにするシーンでパロディでは逆にぼこぼこにされてしまったりと本当に緩い時代でした。それで、金曜ロードショーで放送されたときに監督自身が尺を削ってるから違和感がなくて今手元にあるこのブルーレイ、正直金曜ロードショー版をあまりに繰り返し見たのでどこをカットしてどこを編集したかがわかるくらいでした。何度か某有料放送で放送されましたがコンプライアンスのせいか、単語が削られていて、そこがないとこの作品じゃないのにと思ってました。このブルーレイは画質最高、音質も徹底的に乾いた部分が強調されていてたまらないです。今や世界のキタノですが、その伝説はここから始まった。あまりにバイオレンスが凄すぎてオチの意外性を認識するまで二三回みてやっときづきました。浮浪者の顔で始まり、秘書の女性の作業の絵で終わる、色々解釈可能な隠喩と暗喩ですね。奥山プロデューサーとの相性も良かったのでしょうね。本当に、凶暴です。続きを読む
Amazonの口コミ
当時撮影期間中のオールナイトニッポンで本作の話題になると「オモチャ箱の良いのを貰ったみたい」なんてとても楽しそうでした。実際に映画を観たら吃驚仰天。初監督作品とは思えない完成度に「やはり殿は凄い」って思った記憶があります。
Amazonの口コミ
北野作品はかなり好きでいろいろ見てます。その中でもこれ、めっちゃ好きな作品です。面白すぎる。円盤で手元に残しておきたい作品です。
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よく走る タケシ
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みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『その男、凶暴につき』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『ロストクライム -閃光-』です。
劇場日は2010年の7月3日、奥田瑛二さんと渡辺大さんによるW主演。
定年間際の窓際刑事と野心あふれる新人というコンビには、本作との類似性があるでしょう。