東京都にお住いの29歳女性(流通・小売系:コールセンター)が2021年3月頃に「映画館」で見た映画『ノマドランド』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『ノマドランド』を見ようと思ったきっかけ
予告編を観て、とても映像が綺麗だったのが初めのきっかけでした。
加えて、アカデミー賞にノミネートされていたことと、主演のフランシス・マクドーマンドという女優さんのファンなので、絶対に観たいと思い映画館で上映されてまもない時期に観に行きました。
また、監督も新進気鋭のアジア系女性だったこともあり、どんな映画を撮るのか純粋に興味がありました。
何より、自分とかけ離れたようなキラキラした映画を観たい時期ではなかったので、この作品の雰囲気は今の自分にもピッタリだなと思ったのもいいタイミングだったのかもしれません。
映画『ノマドランド』の内容
リーマンショックによる経済的影響から家を手放さなくてはいけなくなった60代の女性が主人公です。
彼女は各地を車で巡りながら、働き口をその場その場で探し、車で寝泊まりをする生活をしています。
彼女のようないわゆる「ノマド」のような生き方を選んだ人々は他にもたくさんいます。
彼らとの交流やその土地での仕事、生活から、「生きること」「働くこと」を美しい景色とともに、ゆっくりと優しく炙り出していくような作品です。
映画『ノマドランド』の作品情報
作品情報
- 監督:クロエ・ジャオ
- 脚本:クロエ・ジャオ
- 原作:ジェシカ・ブルーダー(英語版)『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』
- キャスト/出演者:フランシス・マクドーマンド/デヴィッド・ストラザーン/リンダ・メイ/シャーリーン・スワンキー
- 音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
- 日本公開日:2021年3月26日
- 上映時間:108分
- 公式サイト:-
映画『ノマドランド』のあらすじ
ネバダ州に暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックのあおりを受けて、長年住んでいた家を失ってしまう。やがてキャンピングカーに所持品を詰め込んだ彼女は、アメリカ各地で季節労働をこなしながら旅をするノマド (遊牧民)生活を開始。その日暮らしを続けながら仲間たちと出会い、毎日を精一杯に生きながら、自由で誇り高い旅を続けていく。
映画『ノマドランド』の予告編
映画『ノマドランド』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『ノマドランド』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 生きていくこととは、労働と少しの思いやりでできている
- 美しい景色とゆったり流れる物語に身を委ね、気がつけば癒されていく
- 何かとんでもないハプニングが起きるわけではない、それでも見飽きない、ずっと浸っていたくなる世界
生きていくこととは、労働と少しの思いやりでできている
主人公の彼女は一見、自由で気ままな生活をしているように見えます。
でも、実際は設備の整っていない車での生活、手に職があるわけではなく、その場その場でできる仕事を探す漠然とした不安、そういったものを背負っています。
それでも、この映画がどんよりした雰囲気になっていないのは、そういったものを背負いながらも、しっかり優しさと思いやりを持ち、労働ができる喜びを彼女に限らず、この映画のノマドたちから感じるからだと思います。
美しい景色とゆったり流れる物語に身を委ね、気がつけば癒されていく
とにかく映像が美しいです。日本に住んでいたら見ることができないような、アメリカの広大な自然です。
そこに溶け込むように暮らすノマドたちもまた美しい景色の一部に感じます。
映画館で観たからか、余計に没入感がすごくて、本当に一緒に旅をしているような気分になりました。
できれば、静かな環境で部屋を暗くして、リラックスしながら観て欲しいです。
主人公が裸で川にただ浮かんでボーッとする場面があるのですが、その雰囲気が本当にただただ自然で、人間の本当の姿を垣間見たような気分になりました。
何かとんでもないハプニングが起きるわけではない、それでも見飽きない、ずっと浸っていたくなる世界
物語には、いわゆる大きな起承転結のようなものはないです。
彼女の転機になるような出来事だったり出会いはあるのですが、それもとても自然に発生し、終わっていくような感じで、大袈裟な表現なども何もありません。
それでも、この映画は最初から最後まで見飽きるようなことはなかったです。
終始心地の良い、ちょうどいい温度のお湯に使っているような、願わくば終わらないで欲しいと思うような感覚を味わえます。
知らぬまに、心が少しほぐれているはずです。
映画『ノマドランド』を見終わった感想
これぞ「映画」なのではないかと思いました。映像美はもちろん、演者がその人生をそこで生きていて、それを垣間見ているような気分になれたのも、ひとえに俳優陣の実力だと思います。
まだ、本当にノマドの暮らしをしている方が出演していたことも、リアリティや究極の自然さをこの映画にもたらすことができた要因だと思います。
何かに疲れている人や迷っている人は、是非この映画を観て、少しでも心ほぐれ、優しい気分になれたらいいなと思います。
映画『ノマドランド』で印象に残った名言
私が映画『ノマドランド』を見て特に印象に残った名言です。
「主人公のファーン」のセリフ
「ホームレスではなく、ハウスレスなのよ」というセリフです。
映画『ノマドランド』の評価や口コミ
他の方が映画『ノマドランド』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
もう何回目が分からない「ノマドランド」鑑賞。
ストレスが溜まったら観てる気がする。
なんでか分からないけど、観終わると付き物が落ちると言うか、執着がなくなると言うか、すごく低い温度でフラットになれる。— SIDOROTHY (@sidorosidorothy) November 15, 2022
ノマドランド
働きながら各地を旅するノマドの民。生き方と死生観、決別できぬ過去。心に空いた隙間。人生は損失と再生を繰り返す長い旅路。ノマドの民にさよならはないと言う言葉と広大な砂漠が彼らの哀愁を背負った生き方を象徴していた。あのラストカットはこれから先の人生でも忘れたくないな。 pic.twitter.com/XqwhzqBzKR— 大佐 なにわのシュワちゃん (@taisadon) September 15, 2022
文化も大陸の広大さも違うから全てを共感するのは日本人には難しいかな・・・
ただ知ることと知らないとでは差は大きいので、そういう意味ではオススメです
リーマンショック後のアメリカの闇を感じます#ノマドランド #フランシス・マクドーマンド#クロエ・ジャオhttps://t.co/67PyZDQG1X— デパオジ (@depaoji) November 20, 2022
おわりに
私が映画『ノマドランド』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『わたしは最悪。』です。
30歳女性の主人公が、人生の方向に迷いながら、奔放に生きる様がリアリティがあって楽しみです!