北海道にお住いの43歳の女性(職業:主婦)が2023年1月頃に「紙の本」で読んだ小説『鏡の国のアリス』のレビューをご紹介します。
小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しますので、小説を読む前に面白さを知りたい方や、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『鏡の国のアリス』を読もうと思ったきっかけ
年の初めに読む本として、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』を選びました。
これは有名な『不思議の国のアリス』の続編です。
子ども向けの絵本で一度は読んだことがありますが、原作に忠実な日本語訳されたハードカバーの文章は未読でした。
そのため、この機会に改めて読みたく、こちらの本を選んだ次第です。
年初めの一冊目に外れを引きたくないという思いから、信頼できる好きな作者の作品や、間違いなく面白いと期待できる本を選ぶようにしています。
今回選んだ理由は、以前から好きだったストーリーと、ハードカバー版の美しい挿絵に惹かれたからでした。
小説『鏡の国のアリス』の内容
ディズニーの作品にもなったことで有名な『不思議の国のアリス』の続編です。
退屈していたアリスが猫に話しかけていると、暖炉の上の鏡が不思議な国への入り口となります。
そこではチェスの駒が生き物のように動いています。
やがて駒たちは人間のように歩き始めます。
アリス自身もチェスのポーン(歩兵)となり、鏡の国を冒険することになります。
旅を進め、様々な登場人物に出会いながら、アリスはチェスのルール通りに女王になりました。
アリス女王は赤と白の女王とパーティーに参加します。
そのパーティーで些細なことから言い争いになり、アリスは赤の女王を揺さぶり、子猫にしてしまいます。
目を覚ましたアリスは現実世界に戻っていることに気づきます。
鏡の国の出来事は夢だったのか、夢を見ていたのは鏡の国でいびきをかいていた赤の王なのか、それともアリス自身だったのか。
黒い子猫に問いかけても、子猫は何も知らない顔をしています。
作品情報
- 著者:ルイス・キャロル
- 訳者:楠本君恵
- イラスト:ブライアン・パートリッジ
- ISBN:9784846020866
- 出版社:論創社
- 判型:4-6
- ページ数:208ページ
- 価格:1600円(本体)
- 発行年月:2022年01月
- 発売日:2021年12月14日
- 国際分類コード(Thema):FB
- 公式サイト:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/978-4-8460-2086-6
小説『鏡の国のアリス』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説する『鏡の国のアリス』の読みどころは大きく3つあります。
この小説の読みどころ
- ルイス・キャロルの真骨頂、ナンセンス詩『ジャバウォックの詩』。
- 有名キャラクター、ハンプティ・ダンプティとの出会い。
- ラストシーン、鏡の国と現実世界の巧みな交錯に注目。
ルイス・キャロルの真骨頂、ナンセンス詩『ジャバウォックの詩』
物語は始まるとすぐ、作者ルイス・キャロルの独創的な「かばん語」で書かれた詩が登場します。
日本語訳でも楽しい響きの面白さを味わってください。
「かばん語」は二つの単語を組み合わせた造語です。
「ぬめぬめしている」と「なめらか」を組み合わせて「ぬめらか」など、存在しないはずの言葉でも何となくニュアンスが分かる面白さがあります。
英国文学の中でも特に有名な詩です。
作中では、後々出会うキャラクターがこの詩について解説してくれます。
有名キャラクター、ハンプティ・ダンプティとの出会い
非常に有名なキャラクターなので、本著を読んでいなくても存在はご存知かもしれません。
魅力的な幻想生物や人物、動物が盛り沢山の物語の中でも、彼が特に見どころです。
少々偉そうだけれども非常に魅力的なキャラクターで、頭の良い子どもであるアリスとの掛け合いは読んでいて癖になります。
このまん丸い紳士の正体はマザーグースのなぞなぞ歌に登場します。
彼が何を象徴しているのか、謎解きを楽しみながら読んでほしいと思います。
ラストシーン、鏡の国と現実世界の巧みな交錯に注目
この作品では、2つの世界が交錯するような場面転換がどれも見事です。
中でもラストを特におすすめします。
ラストシーンでは、アリスが目を覚ますことで不思議な世界から現実世界に戻ります。
目覚めたアリスが子猫を相手に夢について語る様子も切り替えの一部として楽しんでみてください。
夢の中で出会った女王たちは実は子猫だったのか、白の女王がだらしない態度を見せていたのは飼い猫のダイナが白い子猫の毛づくろいを終えていなかったからではないかと、種明かしのようなアリスのセリフも見逃せません。
小説『鏡の国のアリス』を読み終えた感想
幻想的な世界が広がっていても、出会う人々や動物たちの言動は非常に人間らしさがあり、これが大きな魅力だと感じました。
登場する詩や生き物は、自分では想像もつかないものばかりでした。
そういった中で、作者がどのようにしてこれらのアイデアを思いついたのかを知りたくなりました。
物語はチェスを理解しているとさらに面白くなると聞き、調査したところ、ストーリーの展開は実際にチェスのルールに従っていました。
英国物語であり、チェスは多くの人々が親しんでいるゲームです。
そのような細やかな遊び心も感じられるところが非常に楽しいと思います。
小説『鏡の国のアリス』で印象に残った名言
私が小説『鏡の国のアリス』を読んで特に印象に残った名言を紹介します。
「アリス、白の王」のセリフ
「誰もいません」「ほう、誰も今仙(だれもいません)が来るか」
小説『鏡の国のアリス』の評価や口コミ
他の方が小説『鏡の国のアリス』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
残念ながらTwitterやAmazonでは参考になる口コミは見つけられなかったため、本ブログを参考にしてもらえればと思います。
みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!
終わりに
小説『鏡の国のアリス』についての感想と読みどころを解説して参りました。
この記事が「面白い」と感じた方は、ぜひ読んでみてください。
次に取り組む予定の小説は『沈黙の塔』です。
これは、1905年に発生した大逆事件を発想の素材に、森鴎外が思想弾圧などを寓話的に描いた作品です。