宮城県にお住いの21歳の男性(職業:フリーター)による、2022年11月頃に「紙の本」で読まれた小説『逆ソクラテス』のレビューをご紹介いたします。
この小説についての感想や読みどころをネタバレを含む形で解説しております。
小説を読む前にその面白さを知りたい方や、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『逆ソクラテス』を読もうと思ったきっかけ
私が購入を決めた理由は、作品の作者である伊坂幸太郎さんが自分のお気に入りの作者だからです。
伊坂幸太郎さんが手掛ける作品のジャンルは大きく分けて、筋書きにどんでん返しがあるミステリーと、日常生活の中の不思議で笑えるエピソードを描く2つに分けられます。
私が落ち込んでいた時期だったため、後者のジャンルに属する本作を選びました。
さらに、小説の帯の紹介文や、表紙の絵から描かれている少年や建物、馬の雰囲気によって、伊坂幸太郎さんの作品ならではの爽やかさや清々しさを感じることができ、これが購入する大きな理由となりました。
小説『逆ソクラテス』の内容
全部で5つの短編小説からなる小説集です。
1つ目は、子供を見下す先生を見返そうと企む小学生を描いた『逆ソクラテス』。
2つ目は、足が遅い女の子といじめっ子だった女の子を振り返る『スロウではない』。
3つ目は、生意気な生徒になめられる先生を心配する生徒を描いた『非オプティマス』。
4つ目は、事件に巻き込まれ、同じ中学のバスケットボール部だった5人の話『アンスポーツマンライク』。
5つ目は、きちんと謝ることが大事と教えられた少年の話『逆ワシントン』。
作品情報
- 著者:伊坂 幸太郎
- ISBN:9784087445329
- 出版社:集英社
- 判型:文庫
- ページ数:336ページ
- 定価:720円(本体)
- 発行年月日:2023年06月
- 発売日:2023年06月20日
- 国際分類コード【Thema(シーマ)】1:FB
- 国際分類コード【Thema(シーマ)】2:1FPJ
- 公式サイト:http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-744532-9&mode=1
小説『逆ソクラテス』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説する小説『逆ソクラテス』の読みどころは、大きく3つあります。
この小説の読みどころ
- 先入観を壊したい、そんな子供の言葉に勇気をもらう『逆ソクラテス』
- 【足の速さ】でいっぱい悩む、そんな昔を思い出す『スロウではない』
- 目に見える姿が本当の姿じゃないかもしれない、トランスフォーマーに喩えた『非オプティマス』
先入観を壊したい、そんな子供の言葉に勇気をもらう『逆ソクラテス』
臆病で得意なことがない草壁は、先入観で生徒と接する久留米先生に冷たい態度を取られます。
そんな先生に不満を抱く安斉は、僕を巻き込んで先生の態度を反省させ、草壁への対応を変えさせようとします。
子供っぽいようで、どこか大胆なその計画は、プロ野球選手まで巻き込んで発展します。
そして最後に、草壁が勇気を持って先生に言った言葉、『僕は、そうは、思わない』は、少しだけ前向きにさせてくれるセリフです。
その最終的な結果として、この体験を元にして、プロ野球選手になった草壁の姿が描かれます。
子供の頃のちょっとした体験が大きな影響を与える、心温まるエピソードです。
【足の速さ】でいっぱい悩む、そんな昔を思い出す『スロウではない』
登場するのは、足が遅い女の子の村田、足が速く村田を見下ろす渋谷、いじめられて転校してきたとされる髙木、そして当時の担任であった磯憲先生と僕です。
小学生の頃、足の速さが目立つ存在で、強さや人気を象徴するものでした。
そのような状況に悩む村田を見て、悩みは大小問わず、その人にとっては本当につらいことだという思いが湧きます。
みんなが小学生の世界を成長した大人の視点から描いています。
また、いじめられていたと思われる髙木が実は元いじめっ子だったと知り、彼が過去を振り返り努力している姿に感銘を受けます。
目に見える姿が本当の姿じゃないかもしれない、トランスフォーマーに喩えた『非オプティマス』
生徒から見下され、保護者に心配される若い担任の久保先生。
彼を心配する福生と僕は、あるきっかけから先生が事故で恋人を失ったことを知ります。
そしてその事故関係者とのやり取りを目撃します。
これらの出来事が、先生の知られざる一面を知る機会となりました。
恋人の死から立ち直ろうとする先生の姿は、目に見えない部分もまた大切だと教えてくれます。
その姿を目の当たりにした時、どのように行動すべきか考えさせるような魅力があります。
小説『逆ソクラテス』を読み終わった感想
全ての話が、子供の頃を振り返って懐かしく感じさせてくれるものばかりです。
あんなことで悩んだこと、あんな人がいたこと、こんな体験をしたことなどを、大人になった今の目線から再体験できます。
そして、どの話も最後は少しクスッと笑えて、温かい気持ちになれる結末ばかりです。
読み終えた後は、自分の子供のことを思い出し、昔の友達に会っておしゃべりしたくなります。
伊坂幸太郎さんが描く日常というものを味わえる、とても良い作品です。
小説『逆ソクラテス』で印象に残った名言
私が小説『逆ソクラテス』を読んだ際に特に印象に残った名言についてお話しします。
「草壁」のセリフ
「僕は、そうは、思わない」です。
小説『逆ソクラテス』の評価や口コミ
他の方が小説『逆ソクラテス』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
#読了
伊坂幸太郎「逆ソクラテス」収録された全五編、主人公がすべて小学生の短編集。
伊坂先生の作品は初期の頃から読んでますが、個人的には「ゴールデンスランバー」が伊坂的エンタメ小説としての最高到達点だったのではないかと感じていました。
しかし今作はそれに匹敵、もしくは
→続く pic.twitter.com/iTHjZMeRMk— 読書鹿・アントン@読書垢 (@anton_book) May 17, 2020
《junaida》伊坂幸太郎著『逆ソクラテス』の装画として描かれた作品。
子どもたちを乗せて躍動する巨大な生物と街並み。小説のキャッチコピー「敵は、先入観。」を具現化したようなデザイン。https://t.co/nJF6zsYyVw#グラニフ #graniph #junaida #Tシャツ pic.twitter.com/aJOGca9DIc— グラニフ (@graniph_updates) November 5, 2021
コーヒーと小説
逆ソクラテス 伊坂幸太郎 pic.twitter.com/e9yycSk4Vh— やっちん (@Kenjpg2) December 25, 2021
最近読んだ30冊くらいの中で最高でした。
Amazonの口コミ
世の中、表面的にはなかなか公平には出来ていない。正直者がバカを見る様なシーンが結構ある。でもきっと嘘つきが得をするのは最初だけではないか?トータルではどうだ?金銭的な損得だけでなく、最後にああ、自分の人生も満更ではなかったなと思える時がきっと来る。
Amazonの口コミ
Good enufGood enough😚😚😚😚😋😚
Amazonの口コミ
かっこいい子供と先生が出てきて、好きな話だった。子供の頃から「私はそうは思わない」って、言えなくても心の中で思えていたら、もう少しいろんな事に自信が持てていたと思う。また大切な言葉に会えて嬉しかった。熱血な先生は苦手なので、磯憲みたいな先生だったら良かったなーと思った。いじめの問題は本当に難しくて、加害者側の立ち位置からいじめを見た事があまり無いので、その描き方が印象的だった。いじめは絶対にやった方が悪いし、加害者がやった事で苦しんでるみたいな話があっても、された側からしたらそんな事どうでも良い話だよなと思った。人を殺そうと思って、行動を起こすか起こさないかって言うのは、何の違いがあるんだろうと考えた事は今まで何度かある。私自身はリアルに誰かを殺したいと強く思ったり、例えばそのための行動を具体的に想像したり、した事は無いけれど、そうしてしまう人と何が違うのか、正直はっきり分からない。でもきっとそれは周りにいる人たちから大切にされてるって事はなんだろうか。いろいろ思った作品だったので、感想を書くのが少し難しいなと思ってしまった。また読んでみて、ちゃんと伝えられるようになりたい。続きを読む
Amazonの口コミ
いろんな長編の面白さを感じてきたが、今回の短編が一番良かった。特に、「逆ソクラテス」がピカイチ。
Amazonの口コミ
みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!
おわりに
小説『逆ソクラテス』についての私の感想や、読みどころをネタバレ覚悟で解説してきました。
もし「面白い」と感じた方がいれば、ぜひ読んでみてください。