愛知県にお住いの26歳男性(流通・小売系:社内se)が2022年5月頃に「kindleストア」で読んだ小説『赤と青とエスキース』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『赤と青とエスキース』を読もうと思ったきっかけ
2022年初頭に転職をし、まとまった趣味の時間をとることができたので小説を読み始めました。
どの作品から手をつけていいかわからなかったので、本屋大賞2022にノミネートされていた本から読み始めたのがきっかけです。
その中でも「赤と青とエスキース」は表紙のデザインがとても綺麗で目を惹きました。
数ページだけ立ち読みした時の文章が綺麗で今もその衝撃を覚えています。
本屋大賞2022にノミネートされていた本で一番最初に購入した本となります。
小説『赤と青とエスキース』の内容
1枚のエスキースをめぐり、時代経過と共に進むヒューマンドラマの連絡短編小説です。
一つ一つの話も読みやすく、また一本の大きな本筋のストーリーが早く続きを読みたくなるような構成となっています。
また、話自体も私たちの心に寄り添ってくれるような優しい内容が多いのも印象的です。
本筋は恋愛小説の話ですが、友情や仕事、一部ミステリ的な話も含まれており、さまざまなジャンルを楽しむことができます。
エピローグまで読んだ後は必ず二周目を読みたくなる構成も流石の一言です。
小説『赤と青とエスキース』の作品情報
作品情報
- 出版社:PHP研究所
- 著者:青山 美智子
- 定価:本体1,500円+税
- 発行年月:2021年11月09日
- ページ数:240ページ
- ISBN:978-4-569-85064-1
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85064-1
小説『赤と青とエスキース』のあらすじ
メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。
日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。
2度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。
小説『赤と青とエスキース』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『赤と青とエスキース』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 読了後、必ず2週目を読みたくなる
- 一枚のエスキースを巡る、恋と友情のストーリー
- エスキースに関わる謎を巡る物語
読了後、必ず2週目を読みたくなる
唯一、本筋からは少し外れているお話である三章「トマトジュースとバタフライピー」より、タカシマと砂川の絆がとても美しく、綺麗な話です。
自分のことを運良く漫画家になれたと語るタカシマ、天才タイプで若いのに自分の漫画がアニメ化までする砂川という対象的な二人が登場します。
タカシマは天才である砂川に内心馬鹿にされているのではと不安に思っているときに、砂川が先輩であるタカシマに対して言った、「運じゃなくて努力の人です。ぼくは尊敬してます」と告白するシーンがとても感動します。
タカシマが実は運ではなく、努力でここまでやってきた人間であることを知っているからこそ、心から尊敬していると伝えたシーンには思わず涙が出ていました。
一枚のエスキースを巡る、恋と友情のストーリー
一章の金魚とカワセミより、レイとブー二人の恋愛ストーリーがとても切なく愛おしいです。
レイは留学先のオーストラリアでブーという男性に出会います。
仲が深まった頃、ブーはレイが日本に帰国するまでの間、付き合って欲しいと告白します。
この期間限定の交際がとても切ないです。
付き合ってすぐはお互い幸せそうでもあり、どうせいつか別れるからという若干冷めたような感じの温度差、帰国の直前、「レイをモデルとしてエスキースを描きたい友達がいる」と依頼されるのですが、そのエスキースを書いている間のレイとブーのやりとりが愛おしくてたまりませんでした。
エスキースに関わる謎を巡る物語
本作は全5章の構成になっており、それぞれ登場人物は異なっております。
しかし、4章の二人の登場人物がまさかの人物であったことがラストシーンで明かされます。
そこから最終章で怒涛の伏線回収、これまでの話が一つにつながり、エスキースを巡った人々の物語だったことが明かされます。
4章のラストでは本当に度肝を抜かされました。また、二人が紆余曲折を得て、長い長い人生を乗り越えていたことを知ることができるのも感動できるシーンです。
小説『赤と青とエスキース』を読み終わった感想
3章で砂川がタカシマに告白した「尊敬している」という言葉がとても深く刺さりました。
自分も似たような経験があり、かっこよくて憧れていた先輩から、「後輩だけど、あなたのことを尊敬している」と言われた出来事を思い出し、涙が溢れていました。
また、話の構成能力が恐ろしく高く、短編集なのにまるで長編小説を読みきったような満足感を味わうことができます。
本当に素晴らしい作品で、私はこの作品から青山美智子先生のファンとなりました。
小説『赤と青とエスキース』で印象に残った名言
私が小説『赤と青とエスキース』を読んで特に印象に残った名言です。
「三章 トマトジュースとバタフライピーより 砂川」のセリフ
「タカシマさんは、運じゃなくて努力の人です。ぼくは尊敬してます。すごく」
小説『赤と青とエスキース』の評価や口コミ
他の方が小説『赤と青とエスキース』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
#読了
赤と青とエスキース/青山美智子1枚の絵を通し繋がる人々の話かと思いきや…
思わず「ブラボー!」と叫びたくなった。
額と絵の関係についての描写が絶妙で何度も首肯したし、これからを思い描いていく未来…エスキースと人生を掛け合わせた内容には痺れまくった。押し寄せる余韻が半端ない。 pic.twitter.com/tpeKpfuQRj— まりもっち@読書垢(今年はのんびり読書) (@marimo8989) February 17, 2023
今回の本はこれ!
【赤と青とエスキース】
素敵な本って言葉がぴったり。ブーとレイの出逢いから私と同じ50代へ差し掛かる間、エスキースと共に歩んできた人生が描かれてます。「好きな本」の仲間入りです☺️#赤と青とエスキース#青山美智子 pic.twitter.com/UzLTcAw2Hh— 黒猫ジャム (@yuko40105827) February 10, 2023
『赤と青とエスキース』読了。良かった。何がどう繋がっていくのか着地するのかまったくわからないままに読み進めていたけど、最後まで読んで本当に良かった。時の経過の美しさを感じる作品でした。もう一回読み直したい。あと表紙がとても好き。 pic.twitter.com/7F8mUOgAj0
— sai (@saichans_b) February 16, 2023
おわりに
私が小説『赤と青とエスキース』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『ザリガニの鳴くところ』です。
実写映画化もされたミステリ小説です。