北海道にお住いの30歳女性(保育・福祉:保育士)が2022年2月頃に「紙の本」で読んだ小説『ライオンのおやつ』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『ライオンのおやつ』を読もうと思ったきっかけ
いつも、次に読みたい本を選ぶ際にはインスタグラム等のSNSを通していろいろなレビューや感想を見てから実際に書店に足を運んだり、古本屋さんやフリマアプリで購入するようにしています。
今回「ライオンのおやつ」を選んだきっかけも「生死を題材にした小説を読みたい」と思い、インスタグラムで検索したことです。
「泣ける」「心に響く」といったものや、「読みやすい」というものなど当時の自分の心境や状況に合っている気がしたので購入いたしました。
小説『ライオンのおやつ』の内容
主人公の海野雫さんは、独身でまだまだ若い女性ですが、病気にかかってしまいついには主治医に余命宣告もされてしまいます。
たったひとりの身寄りにも病気や余命のことを言わず、1人で今後の人生をどう過ごしたいかを考えます。
そして瀬戸内海の近くにある、とあるホスピスで最期を迎えることを決意します。
そのホスピスでは、住んでいる人も関わる人も皆温かく、衣食住の全てが体に優しいもので、毎週日曜日に出る「誰かの、思い出のおやつ」を楽しみに心地よく過ごせます。
しかしそこは「ホスピス」なので、出会った人たちとも次々と別れが訪れるのです。
そして雫自身も、穏やかな最期を迎えます。
小説『ライオンのおやつ』の作品情報
作品情報
- 出版社:ポプラ社
- 著者:小川 糸
- 定価:本体1,500円+税
- 発行年月:2019年10月09日
- ページ数:255ページ
- ISBN:978-4-591-16002-2
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008212.html
小説『ライオンのおやつ』のあらすじ
人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
小説『ライオンのおやつ』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『ライオンのおやつ』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 残された人生の過ごし方
- 人の温かさ
- 環境
残された人生の過ごし方
自分自身の余命と向き合うのは怖いし認めたくないと思うのですが、主人公は潔く仕事を辞めて終活を始めます。
いろいろな葛藤がある中でも、自分の残りの人生をどう生きるかを常に前向きに考えます。
主人公のその精神や、ホスピスで出会った人たちのおかげもあり、死後の世界を恐怖ではなくそちらもまた前向きに捉えることができるのです。
ホスピスの中でもいろいろな人との出会いと別れを描き、切なさもある中で、自分の人生に置き換えて考えることが出来ます。
人の温かさ
「私が死んでも誰も悲しまない」と思っている主人公。
しかし実際には、たった1人の身寄りであり確執があると思っていた父にも、しっかり愛されていることに最期の最期で知ることができたこと。
そしてホスピスで出会うユニークな患者たちやスタッフたちに、たくさん愛され悲しまれ、穏やかに見送られたこと。
大切な人とのつながりは「関係の長さ」ではなく「質」や「密度」や「心の距離」が重要だと教えてくれました。
誰かに愛されたいと願うならば、自分も誰かを大切にするのだということにも気づけました。
環境
主人公の生活は、都会での忙しい日々から一転して、穏やかな瀬戸内海の島へと移り変わります。
瀬戸内の島での暮らしや背景は、文章を読み進める中でとても想像ができやすく、自分自身もまるでそこにいるかのように癒されるような場面もあります。
また、食事をはじめとした生活環境は素晴らしいものばかりで、羨ましくもあり、親や身内に置き換えて考えた時の参考にもなります。
「自分自身」や「大切な人」の命と向き合うということに、さまざまな環境はとても大切だということを改めて感じます。
小説『ライオンのおやつ』を読み終わった感想
タイトルを読んだ時は、小説の内容は想像がつきませんでした。
いざ読み始めると、優しい言葉やユニークなワードで紡がれたその文章に惹かれ、次々と読み進めることができました。
「死ぬことは怖いことではない」「誰もが必ず行く道だ」ということに改めて気づけたり、よく耳にする「ゆっくり休んでね」「天国で待っててね」という言葉を、ひと段階深い部分で考えることができました。
「死」に向き合うだけではなく、今生きている自分や思い出とも向き合えるような一冊でした。
小説『ライオンのおやつ』で印象に残った名言
私が小説『ライオンのおやつ』を読んで特に印象に残った名言です。
「マドンナ」のセリフ
「生まれることと亡くなることは、ある意味で背中あわせ」
小説『ライオンのおやつ』の評価や口コミ
他の方が小説『ライオンのおやつ』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
『ライオンのおやつ』#小川糸 主人公に重ねたのはもういない大切な人たちのこと。こんな風に穏やかに旅立てただろうか、病床で 会いたい人に会えただろうか。後半の加速に心の準備ができない。「もう怖いものは何もないよ」とそばで言ってあげられなかった代わりに、たくさん思い出すと誓う。#読了 pic.twitter.com/Obo8SgVODW
— O₂ (@O254113898) February 16, 2023
ライオンのおやつ/小川糸
泣いちゃうかな⋯と思ったけど、やっぱり最後にはうるっとしちゃいました。たくさん悩んで足掻いて泣いて怒って、その先にこんな穏やかさがあればいい。思い出のおやつを誰かに共有できたり、いなくなったあとも誰かにそっと想われたり。それはきっと悲しみを少し含んだ幸せ。 pic.twitter.com/vnVuFnJcKz— あんこ(あんぴぃ)@読書垢 (@annko_book) February 22, 2023
#読書📚記録41
『 ライオンのおやつ 』
/小川糸 著#読了 (2023.2.22)昨晩読了しました。
この作品を読んでいる期間中に、緩和ケア病棟で勤務してた先輩と会う機会があって、人の生き方について話し込んでいたせいか…
自分の職業柄、凄く大切にしたい一冊となりました!
雫さんの生き方に献杯🍻 pic.twitter.com/6yxn3qs2GD— まる子@読書垢 (@maruko719_book) February 23, 2023
おわりに
私が小説『ライオンのおやつ』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『探し物は図書館まで』です。
探し物は本ですか?仕事ですか?人生ですか?という一節で、直感的に胸が熱くなる話なのではないかと予想しています。