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小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『ララピポ』のレビュー!小説を見た感想は「それぞれのお悩みを赤裸々に綴る群像劇」

千葉県にお住いの40歳男性(流通・小売系:物流センターの検品担当)が2021年9月頃に「紙の本」で読んだ小説『ララピポ』のレビューをご紹介します。

小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • 家から1歩も出ない生活
  • 上と下とで両極端
  • 平凡な主婦の非凡な正体が明かされる時

小説『ララピポ』を読もうと思ったきっかけ

アムラーとオザケン、ルーズソックスにエアマックス95、シネマライズやアップリンク。

これらのキーワードにピンときた皆さんは、間違いなく1990年代後半に渋谷で青春時代を謳歌した世代ですよね。

現在ではコロナ禍と不況のダブルパンチで閉店・閉館が相次いでいて、再開発の影響もあり懐かしい風景が消え去っていくようで寂しいです。

そんな思い出の地が鮮やかに甦ってくる、奥田英朗によるエンタメ小説があると知ってさっそく手に取ってみました。

小説『ララピポ』の内容

52歳の売れない小説家から43歳の秘密を抱える専業主婦、32歳の崖っぷちフリーライターに23歳の突撃スカウトマンまで。

職業から年齢までバリエーション豊富な、6人の男女の生きざまがモザイク画のようなタッチで映し出されていきます。

それぞれが本能の赴くままに生きてはいるものの、時おりお互いの日常に不思議な繋がりが芽生えていくのが見所です。

これまでの人生において1度も成功体験のない6人、果たして何かを為し遂げることは出来るのでしょうか?

小説『ララピポ』の作品情報

作品情報

  • 出版社:幻冬舎
  • 著者:奥田英朗
  • 定価:本体1,500円+税
  • 発行年月:2005年09月27日
  • ページ数:286ページ
  • ISBN:4344010515
  • 言語:日本語
  • 公式サイト:https://www.gentosha.co.jp/book/b533.html

小説『ララピポ』のあらすじ

勝ち組なんていない。神は何故、我らに生を与えたもうたのか?東京の片隅の、凄まじい負け組のドラマをユーモラスに描いた傑作長篇。

小説『ララピポ』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説したい小説『ララピポ』の読みどころは大きく3つです。

この小説の読みどころ

  • 家から1歩も出ない生活
  • 上と下とで両極端
  • 平凡な主婦の非凡な正体が明かされる時

家から1歩も出ない生活

人と接することに極端に怯えている肥満体の男、杉山博の独白からストーリーは幕を開けていきます。

編集部から月に2回郵送されてくる資料を自宅で要約、完成したものをメールで送信、1ページあたり1万2000円の報酬が振り込まれます。

2年以上に渡って他人と会話をしなくても苦痛はなく、死なない程度に生きるだけで満足という杉山の暮らしぶりは実に無欲です。

この本が刊行されたのは2005年の9月ですが、まさに今のリモート時代を予言していると言えるかもしれません。

上と下とで両極端

そんな無口で引きこもりがちな杉山のアパートの真上の部屋に、とにかく口が達者で一日中外をかけずり回っている栗野健治が住んでいるのも運命的ですね。

まずはキャバクラ店に勧誘して時給3000円からスタート、少しずつ相手の警戒心を解いて外堀を埋めていきます。

バーキンのシューズを買ったら次はカルティエの時計、エルメスのバッグを手にしたら次はティファニーの指輪... と歯止めが掛からない人間の物欲の恐ろしさを思い知らされるでしょう。

平凡な主婦の非凡な正体が明かされる時

渋谷センター街を縄張りにしている栗野のターゲットは、最先端のファッションを身に纏った若い女性ばかりではありません。

スーパーのレジに買い物かごを抱えて並んでいる、佐藤良枝のような主婦にもマシンガンのようにお世辞を浴びせていきます。

サラリーマンの夫は朝早くに出勤して終電で帰宅、大学生の娘はキャンパスライフを謳歌中。

何ひとつ不自由なくあらゆる不安から解放されているはずの彼女が、あっという間に道を踏み外していく様子には驚かされますよ。

小説『ララピポ』を読み終わった感想

フラフラと歩いているとキャッチセールスに引っ掛かる渋谷のことを、「サファリパーク」と例えているのが絶妙です。

大自然のフィールドであれ都会のど真ん中であれ、強い者が弱い者を食いものにするのは同じなのだと思い知らされました。

本書のタイトルでもあり何とも不思議な響きを持つ「ララピポ」の意味が、ラスト数ページでようやく理解できてスッキリします。

冒頭に出てきた杉山が再登場して、物語を締めくくるのにひと役買ってくるのもお見事です。

小説『ララピポ』で印象に残った名言

私が小説『ララピポ』を読んで特に印象に残った名言です。

「杉山博」のセリフ

東京のど真ん中に暮らしながら、実際は無人島で生活しているのと大差がない

小説『ララピポ』の評価や口コミ

他の方が小説『ララピポ』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

おわりに

私が小説『ララピポ』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。

次に読みたいと思っている小説は『モザイク』です。

「渋谷の底が抜けて電子レンジ化する」という、キャッチフレーズが有名な田口ランディの1冊です。

この本と同じような貪欲さとエネルギッシュさを期待できます。







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