小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『善人はなかなかいない』のレビュー!小説を見た感想は「悪人とは果たしてどういう存在なのか」

兵庫県にお住いの32歳女性(サービス系:事務)が2022年3月頃に「紙の本」で読んだ小説『善人はなかなかいない-フラナリー・オコナー作品集-』のレビューをご紹介します。

小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • 人が他人を勝手にジャッジする恐ろしさ、傲慢さに気づかず善人であると思い込んでいる悲劇
  • 死との対峙
  • 1950年代のアメリカ南部において信仰に向き合うということ

小説『善人はなかなかいない』を読もうと思ったきっかけ

海外文学を読みことは元から好きでしたが、女流作家についてはなかなか開拓が出来ずにいました。

そんなおり、本好きとして信頼できる友人から読みやすい短編が上手な女流作家がいるということでフラナリー・オコナーを知りました。

わずか39歳で夭折した彼女が遺した話は少ないですが、そのどれらもアメリカ南部のキリスト教の影響が濃く、短いストーリーの中に鮮烈な信仰と死の全てが詰まっています。

それらが私の興味をとても引きました。

小説『善人はなかなかいない』の内容

1950年代のアメリカ南部の敬虔なクリスチャン一家に降りかかる悲劇の話です。

家族旅行の最中に、目的地に向かう前に寄り道したことが悲劇のきっかけとなり、あとは暴力に満ちた極限の事件が家族に襲いかかります。

しかし内容の悲惨さと比べて筆致はとても乾いており、かつ静謐で筆者のキリスト教観が深く反映された作品となっています。

救いはどこにもないお話ですが、最後には「愛」について考えさせられるお話となっています。

小説『善人はなかなかいない』の作品情報

作品情報

小説『善人はなかなかいない』のあらすじ

短篇の名手として名高い米女性作家が描く、暴力と殺人とユーモアと恩寵と。深い衝撃とふしぎな開放感。

小説『善人はなかなかいない』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説したい小説『善人はなかなかいない』の読みどころは大きく3つです。

この小説の読みどころ

  • 人が他人を勝手にジャッジする恐ろしさ、傲慢さに気づかず善人であると思い込んでいる悲劇
  • 死との対峙
  • 1950年代のアメリカ南部において信仰に向き合うということ

人が他人を勝手にジャッジする恐ろしさ、傲慢さに気づかず善人であると思い込んでいる悲劇

舞台は1950年代のアメリカ南部。おばあさんと息子、その奥さん、そして2人の子供たちは一台の車に乗って旅行に出かけます。

途中、新聞で刑務所から凶悪な犯罪者たちが数人脱獄し、フロリダへ向かっているとの記事を読みます。

それを読んだあと、おばあさんは運転中の車の中でその脱獄犯たちについてあれこれ好き放題に言い始めるのです。

そうして善人はなかなかいないと結論を付けます。

そして一行は昼食を取るためにレストランへ向かいます。

死との対峙

昼食をとり再び運転を開始してしばらく経った頃、おばあさんは自分が若い頃に訪ねた大農園の素晴らしいお屋敷がこの近くにあることを思い出しました。

孫たちにいかにそのお屋敷が素晴らしいかを語ると、大興奮してその屋敷に行きたいと言い出したので寄り道をすることにしましたが、その途中で車は事故に遭います。

その瞬間、おばあさんは屋敷の場所が間違っていたことを思い出すのですが、自分が叱られることを恐れて事故に遭い屋敷の場所を間違えたことがうやむやになることを喜びます。

しかし、そんなおばあさんたちの前に銃を持った脱獄犯が現れるのです。

1950年代のアメリカ南部において信仰に向き合うということ

おばあさんは現れた脱獄犯にあんたはあの脱獄犯だと喚き立てるのです。

しかし、それと同時に私はあんたの心根の優しさを信じているとも縋ります。

しかし、脱獄犯たちはおばあさんの家族を1人ずつ森の中へと連れて行きます。

そこで何が行われるのか父親と母親はすぐに察しますが彼らは瞬く間に自身の運命を受け入れます。

最初は父親、次には赤ん坊を抱いたままの母親と子供たち。娘だけは何が起きているのか理解していません。

おばあさんは最後までは自分の息子の服を着たみ出しものである脱獄犯と話を続けるのです。

小説『善人はなかなかいない』を読み終わった感想

とても短いお話です。

10ページにも満たないので、10分もあれば読み終わることができるでしょう。

しかし、読後に考えさせられるという点についてはこれほど緻密に完成されたお話はそうそうありません。

人の素朴さは時には邪悪なものにもなります。

自身について深く顧みることはなく、人の表面だけをあれこれみて他人をジャッジすることは恐ろしいことです。

しかし、素朴さはつねに優しさにも満ちています。

一家と比べると、道徳的に完成されているのは脱獄犯たちの方であることは明らかです。

脱獄犯たちは逃れられぬ死の象徴であり、死から単に逃げようとする家族は「善き」ものではありません。

しかし、家族、特におばあさんに最後に起きたことは死と真剣に信仰を通じて向き合った人の心の動きはとても静かで美しいものです。

1950年代のアメリカ南部特有のキリスト教観についても学べる素晴らしい短編でス。

小説『善人はなかなかいない』で印象に残った名言

私が小説『善人はなかなかいない』を読んで特に印象に残った名言です。

「お祖母さん」のセリフ

あんたは私の子供じゃないか!

小説『善人はなかなかいない』の評価や口コミ

他の方が小説『善人はなかなかいない』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

おわりに

私が小説『善人はなかなかいない』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。







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