小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『うつくしい人』のレビュー!小説を見た感想は「他人の目を気にして生きてきた女性が、自分を取り戻す物語」

千葉県にお住いの38歳女性(介護・福祉系介護相談員)が2022年5月頃に「紙の本」で読んだ小説『うつくしい人』のレビューをご紹介します。

小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • 百合が会社をやめたきっかけ
  • 百合がマティアスや坂崎と過ごすうち、安心感を得て、自分を取り戻していく
  • 百合が姉に対してどう思っていたか、百合が気が付いていく

小説『うつくしい人』を読もうと思ったきっかけ

雑誌に紹介されており、読んでみようと思ったことがきっかけです。

他人の目を気にして、生きるのに不自由さを感じている人は、特に読んだ方が良いと書いてありました。

自分も、他人のことを気にして、自分がどうしたいか分からなくなることがあります。

この小説を読んで、少しでも勇気がもらえたらと思い、読んでみることにしました。

また、主人公は会社を辞めてしまうのですが、自分も会社を辞めていることから、境遇に共感できるのではとの思いもあり、この本を手に取りました。

小説『うつくしい人』の内容

他人の目を気にして、びくびくと生きている蒔田百合、32歳、独身。

百合は、周りの友達が「いい」と思うことを一緒になってして、それについて行くのに必死でした。

人の機嫌を窺い、苛立ちや非難にも敏感です。

百合の美しい姉は引きこもりで、両親の注目を一身に受けています。

そんな姉のことを百合は疎ましく思っているのでした。

百合は、単純なミスがきっかけで会社を辞めることになります。

発作的に旅立った離島のホテルで、ノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人のマティアスと出会います。

2人と過ごすうちに、百合の心がゆっくりほどけていくといった内容の小説です。

小説『うつくしい人』の作品情報

作品情報

  • 出版社:幻冬舎
  • 著者:西加奈子
  • 定価:本体495円+税
  • 発行年月:2011年08月04日
  • ページ数:241ページ
  • ISBN:978-4-3444-1722-9
  • 言語:日本語
  • 公式サイト:https://www.gentosha.co.jp/book/b4436.html

小説『うつくしい人』のあらすじ

自意識に苦しむ百合は、突発的に会社をやめてしまう。旅先のホテルでノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアスと出会い、過ごすうち、百合の縮んだ心は、ゆっくりほどけていく──。

小説『うつくしい人』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説したい小説『うつくしい人』の読みどころは大きく3つです。

この小説の読みどころ

  • 百合が会社をやめたきっかけ
  • 百合がマティアスや坂崎と過ごすうち、安心感を得て、自分を取り戻していく
  • 百合が姉に対してどう思っていたか、百合が気が付いていく

百合が会社をやめたきっかけ

百合は、会社の女上司から社内会議用の書類に誤表記が多いと指摘されます。

その女上司は仕事ができて人望が厚く、人望が厚い分彼女を好きにならなければと、女上司を前にすると百合はひるんでしまっていました。

何度も「すみません」と謝り「そんなに謝ってくれなくても、いいけど」と言われます。

女上司が自分に苛立っていると感じる百合。

もっと如才なく謝れれば…心から反省しているという「態度」が示せなければ、社内での自分の地位は危うくなると感じます。

気が付くと、百合はコピー機の前で泣き崩れていました。

女上司から「疲れてるのね。」と困ったように言われ、その一言に、徹底的に打ちのめされます。

疲れている。何に。何の答えもでません。

ずっと誰かの真似をし続けてきた自分は、自分の感情の答えを決めることさえ、できませんでした。

そして2度と会社に行くことはなく、辞めたのでした。

百合がマティアスや坂崎と過ごすうち、安心感を得て、自分を取り戻していく

ホテルのバーテン坂崎は、四十になるかならないかくらいの年で、百合から見た坂崎は、みっともなく滑稽で不器用で仕事ができない、うだつのあがらない男でした。

ドイツ人のマティアスは、金持ちで綺麗ですが、男性としての魅力がなく風変わりな男でした。

そんな2人と一緒にいるうちに心を許し始めた百合は、自分が会社を辞めたこと、人目が気になることなど自分の感情を一気に吐露しました。

百合は、格好悪いところを見せてしまった、醜いところを見せてしまったと顔が真っ赤になったのですが、マティアスは百合の早口な日本語についていけず、坂崎は百合のことなど何も気に留めない様子で、いつもの仕事をこなしていました。

百合は拍子抜けして、感情をぶつけて満足します。

だんだんと、百合は自分がどうしたいかや、楽しい時に「楽しい!」と言えるようになります。

自分が自分であり続け、自分の欲望に生きることこそが、美しさだと気がついていくのでした。

百合が姉に対してどう思っていたか、百合が気が付いていく

百合の姉は、小さいころから可愛く、性格も素晴らしい女性でした。

姉は中学の時、始めこそ美貌で注目を集めましたが、「いい子」ぶりが鼻につく人間から疎まれ始め「面倒くさい」存在に成り下がりました。

姉は中学3年生の時、ピアノ教室に行った帰りに男に拉致されます。

男は以前中学生を次々と拉致、殺害した指名手配犯だったのです。

姉は拉致した男が一人でコンビニに行った際、店員に無事保護されました。

男は首を切って自殺しました。

姉は注目を浴びるようになり、その注目がずっと続いてほしいと、他愛もない嘘をつくようになります。

そして、周囲からいじめを受けるようになりました。

純粋な姉は周囲の反応に戸惑い学校を辞め、ひきこもるようになります。

百合は姉と違い、「社会」で「成功」するように周囲に合わせます。

そして、純粋な姉を疎ましく思います。

しかし、自分を見つめなおした結果、いつだって自分は姉を見てきて、姉になりたかったという自分に気が付きます。

姉を蔑むことで自分を保つことができ、姉の持つ「美しさ」に憧れ、手に入れられないからこそ傷つけたかったのだと気が付くのでした。

小説『うつくしい人』を読み終わった感想

誰しも、多かれ少なかれ「自分が他人からどう思われているか」といった他人の視線を気にして生きていると思います。

自分も他人がどう思っているかを気にして、意見が言えないことが多々あります。

しかし、他人を気にしすぎると、自分がどうしたいか、どう思っているかを見失ってしまいます。

自分のための人生が、知らぬうちに他人のための人生になってしまいます。この小説は、そのことに気づかせてくれました。

自分が思っているより、他人は自分のことは気にしていないです。もっと自由になってもよいのかなと思わせてくれた、素敵な作品でした。

小説『うつくしい人』で印象に残った名言

私が小説『うつくしい人』を読んで特に印象に残った名言です。

「蒔田百合」のセリフ

どうでもいい。そうだ、どうでもいい。自分の声に、耳を澄まそう。聞こえなくてもいい。今ここにいるのは、私なのだ。

小説『うつくしい人』の評価や口コミ

他の方が小説『うつくしい人』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

おわりに

私が小説『うつくしい人』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。







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