神奈川県にお住いの27歳女性(サービス系:飲食)が2022年8月頃に「書店」で読んだ小説『"It"と呼ばれた子』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『"It"と呼ばれた子』を読もうと思ったきっかけ
購入したのは2、3年ほど前で、たまたま書店に並んでいるのを見かけ手に取りました。
本のタイトルと表紙に一目惚れしたのですがなかなか読む時間が取れず、2、3年が経ち、引っ越しをするために家のものを整理している時にこの本が再び出てきました。
読まずに売ってしまおうかとも思ったのですが、やはりどうにも私を惹きつけるタイトルで内容が気になってしまい、引っ越し先に持っていき落ち着いたタイミングでようやく読むに至りました。
小説『"It"と呼ばれた子』の内容
これは1970年台のアメリカの1つの家族の話で、そこに生まれた少年の壮絶な幼少期の話です。
もともとはごく一般的な家庭で普通の幸せがある家庭であったにも関わらず、ある日突然母親の様子がおかしくなり、その少年への虐待が始まりました。
どの虐待も命に危険があるようなもので、大人でも文字通り心身共に衰弱していくような内容のものでした。
この話は、学校にも家にも居場所のない少年が置かれている環境でただ生きている様を描いた実話です。
小説『"It"と呼ばれた子』の作品情報
作品情報
- 出版社:青山出版社
- 著者:デイヴ ペルザー
- 定価:本体1,600円+税
- 発行年月:1998年04月01日
- ページ数:190ページ
- ISBN:978-4900845657
- 言語:日本語
- 公式サイト:なし
小説『"It"と呼ばれた子』のあらすじ
母親に名前さえ呼んでもらえない。「That Boy(あの子)」から、ついには「It(それ)」と呼ばれる―。「なぜぼくだけが?」米カリフォルニア州史上ワースト3の児童虐待を体験した著者が、赤裸々に語った壮絶な日々の記録。
小説『"It"と呼ばれた子』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『"It"と呼ばれた子』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 虐待
- 母親の歪み
- なぜ自分だけがこんな目に
虐待
この話の中には色々な種類の虐待が出てきます。
突発的に思いついたような殴られるというような虐待、少年を苦しめるためにはどうしたらいいかと思考を凝らせた虐待、心を抉るような精神的な虐待。
どれもこれも残虐かつ冷酷な虐待で、どうしたらこんなに酷いことが考えられるのか、思いつのか、同じ人間でありながら全く理解ができませんでした。
こういうことをする人間が何を考えていて、こういうことをされた人間がどう考えるのかがこの本には書いてあります。
母親の歪み
もともとは世間と同じようにごく普通の妻であり母親であったのに、なぜある日突然豹変してしまったのか。
普通の母親でいることも出来たはずなのになぜ暴力を振るい始めたのか。
なぜ何人かいるはずの子どもの中で少年一人だけに暴力を振るい始めたのか。
母親がそのように豹変したのには何か理由があるあずなのに、実話だからなのか、その辺の母親の過去の描写がほとんどなく、それが逆にその母親の不気味さを引き立たせていました。
なぜ自分だけがこんな目に
なぜ自分だけがこんな目に遭うのか、他の家族は普通に楽しそうに幸せそうにしているのに。
他の家族どころか自分の家族も自分以外は幸せそうにしているのにと、だんだん虐待されていることに慣れてしまい、悲しみよりも純粋ななぜという疑問の方が大きくなっていました。
1週目、2週目とこの本を読んでもそこの部分は分かりませんでした。
他の兄弟とitと呼ばれた少年とでは何が違くてこうなってしまったのか私も、おそらくこの少年自身もわからないのだと思いました。
小説『"It"と呼ばれた子』を読み終わった感想
内容自体はかなり過激なものになっていて、読む人によっては酷く驚く内容だなと思いました。
ですが、考えさせられることも多く、自分の身にこういったことが起こらなかった幸せに気づくことが出来ました。
また、作品の中での少年が必死に生きているのに心を打たれました。
少年は自ら命を絶ったり、悲観になったりせず、絶望的な状況にいたにも関わらず、最後にはこの本を書くに至るまでになっていて、この人の強さがとても身に染みました。
小説『"It"と呼ばれた子』で印象に残った名言
私が小説『"It"と呼ばれた子』を読んで特に印象に残った名言です。
「デイヴ・ペルザー」のセリフ
お母さんは僕を叩けても僕の心まで叩けはしない
小説『"It"と呼ばれた子』の評価や口コミ
他の方が小説『"It"と呼ばれた子』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
最近時間みつけて読書したりして、
面白かったとか感動したとか色々な感想がでるけど、幼い頃に読んだ一冊、
胸が張り裂けそうな淀んだ何とも表せられない感じになった作品があった。
『Itと呼ばれた子』#読書好きと繋がりたい— ウィルソン (@XFu9k4EorZKZazi) March 8, 2021
「ITと呼ばれた子」が私の人生を大きく変えた本。
福祉の道に進もうって決めたきっかけの本。
読み進めるの凄くしんどかったけど、そこにでてきた社会福祉士がヒーローに見えて、私もそういう道に進みたいって思ったなぁ。
懐かしい。— みずきち (@Mizkix0908) August 3, 2021
心に重かったのは、
『itと呼ばれた子』ですね。
20台前半の頃、周りにDVやネグレクト被害の友人がいて、母が持っていたので読みましたが、どんどん心が痛くなって読むのが辛かったのを覚えてます。#ちょうどいいラジオ— mokomoko03 (@mokomoko032) October 12, 2020
おわりに
私が小説『"It"と呼ばれた子』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『リバース』です。
人殺しと書かれた告発文が届いた男の話ですが、湊かなえによる日本の推理小説ということなので、とても楽しみです。