岩手県にお住いの46歳女性(主婦)が2022年10月頃に「紙の本」で読んだ小説『対岸の彼女』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『対岸の彼女』を読もうと思ったきっかけ
今年、角田光代先生の講演を聞く機会があり、大変素晴らしく、講演をきっかけに角田光代ワールドに引き込まれてしまいました。
もっと先生の世界観をしりたいとおもい購入に至りました。
膨大な量の著書がある中で、今の自分が置かれている立場に近いようなあらすじが目に入り、手に取りました。
角田先生の話は「紙の月」や「八日目の蝉」など、ショッキングで切ないものも多いですが、日常を描いた作品が読みたいと思ったのでちょうどよかったです。
小説『対岸の彼女』の内容
女性が自立しようとする、それを邪魔するのは女性の場合もあるということです。
誰しも孤独が怖い。
だからママ友を無理に作ろうとしたり、周りから浮かないように空気を読んだりします。
その考えを否定するわけではありませんが、その生き方はいつか自分を窮地に追い込むような気がします。
大事なことは、自分のことを信じること。
誰の意見にも流されず、自分の信念を貫くことかと感じます。
しかしながら、それが一番難しいことだともわかっていますが。
角田光代なりの、現代を生きる女性への応援歌のような一冊と思います。
小説『対岸の彼女』の作品情報
作品情報
- 出版社:文藝春秋
- 著者:角田光代
- 定価:本体660円+税
- 発行年月:2007年10月10日
- ページ数:336ページ
- ISBN:978-4-16-767205-8
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167672058
小説『対岸の彼女』のあらすじ
いじめで群馬に転校してきた女子高生のアオちんは、ナナコと親友になった。専業主婦の小夜子はベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始める。立場が違ってもわかりあえる、どこかにいける、と思っていたのに……結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、たったそれだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。女性の友情と亀裂、そしてその先を、切なくリアルに描く傑作長編。
小説『対岸の彼女』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『対岸の彼女』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 同じ女性同士、足を引っ張るのはやめよう、ということ。
- 女性が生きていく大変さ
- 家事育児はだれがするものか
同じ女性同士、足を引っ張るのはやめよう、ということ。
主人公は、就職先を探しても面接で落とされたばかりでなかなか就職することが出来ず、落胆の日々です。
そんな中、小さな旅行会社に就職が決まり、サバサバとした女社長の元、徐々に自分の居場所を見つけていきます。
しかし、様々な女性が務めるその職場は、さながら小さな女子高のようでした。
女性同士のうわさ話や確執が徐々に明らかになっていきます。
同じ女性同士、どうして仲良くやっていけないのか、どこでもこのような仲間外れや無視は起こるんだなと改めて実感しました。
女性が生きていく大変さ
この本は、女性の生きていく大変さも描いています。
夫の給料で食べさせてもらっている、と窮屈な思いをしてみれば、今度は働こうとすると「家庭をないがしろにしている」と責められるのです。
子供の送り迎え、食事の支度や様々な家事。
絶対的に家事は女性の比率が高いですし、夫にお願いしてやってもらう、というおかしな文化が根付いています。
女に家と書いて「嫁」という文化も令和になった今は見直していくべきではないでしょうか?"
家事育児はだれがするものか
家事や育児は絶対に女性の仕事でしょうか?
夫が育児休暇をとれる時代。
いったい何人がその制度を利用しているでしょう。
家事や育児は名もなき仕事で賃金も発生しません。
専業主婦は無能、などというSNSでの心無い誹謗中傷も横行しています。
しっかりフルタイムで働いて、家事育児も手を抜かずに完璧に、美しい妻でいろ、というのが世間の希望なのでしょうか。
男の方から発せられる、「家事を手伝うよ」という発言。
それがすでにNGであることにそろそろ気が付いてほしいと、この本を読んで改めて実感しました。
小説『対岸の彼女』を読み終わった感想
自分も今は家庭に入っており、外で働いていません。
そのことで、なんとも言えない肩身の狭さを感じていることは否めません。
主人公の気持ちが痛いほどわかり、「私のことを書いているのでは」と思ったくらいです。
主人公が働きはじめて感じる充実感や夫への不満など、リアルすぎました。
主人公の場合は生活に困って働きに出るわけでもなく、自分の居場所を取り戻すためでした。
それを「贅沢な悩み」と思う女性もたくさんいるでしょう。
でも、今の私には主人公の気持ちがわかるのです。
小説『対岸の彼女』の評価や口コミ
他の方が小説『対岸の彼女』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
対岸の彼女-角田光代 #読了
今読めたことが丁度良かったと思える本だった。
女子あるあるはしんどい。女の子2人でいたら異常性愛ってスキャンダルになるの嫌だわ。
パパのタクシーのところ、読み返してまた泣いてる。— ツユクサ (@porupolupo) March 28, 2023
角田光代さんの対岸の彼女を読了。
私がとても刺さったのは【ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだ】という言葉。
— ゆるり都内在住OL/投資節約ポイ活ブログetc… (@yururitonai) March 23, 2023
対岸の彼女/角田光代#読了
立場の違う二人の女性の亀裂が描かれてるんだけど、それはほんの一角。
その人が形成されるまでの鮮烈なヒストリー。
人との関わりの中で生じるリアルな傷。年齢を重ねるって何なのか。
問いの先の結末に号泣。
森絵都さんの解説でまた号泣。 pic.twitter.com/usggRUZ22b
— ハルカス@読書垢 (@haruka_nekorobu) March 22, 2023
おわりに
私が小説『対岸の彼女』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『そして、バトンは渡された』です。
歴史に関することを学びたいです。