千葉県にお住いの24歳男性(学生:医療)が2022年5月頃に「紙の本」で読んだ小説『日の名残り』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『日の名残り』を読もうと思ったきっかけ
以前大学の調べ物で、ノーベル賞について調べていました。
生理学賞、経済学賞など様々なことを調べていたときに、文学賞を日系イギリス人のカズオイシグロ氏が受賞しているのを知って読んでみたく、購入してみたいと思いました。
また、内容が恋愛ものだと知ったときに、文学賞はとっつき難いカテゴリのものが受賞すると思っていましたが、そういうカテゴリのものが受賞するのが意外だったので、そのことにも興味をそそられました。
小説『日の名残り』の内容
この本からは仕事に誇りを持つことの大切さと、それによって失ってししまうものを客観的に見ることができます。
失ってしまったものが完全に消えてしまうかと言えばそうではなく、どこかで再開して、以前とは異なる接し方ができるようになるといったことを学ぶことができます。
また当時のイギリス上流階級の文化や、執事という職業についての知識やその職業がなぜ現在ではあまり聞かなくなってしまったのかという変遷についても学べます。
小説『日の名残り』の作品情報
作品情報
- 出版社:早川書房
- 著者:カズオ・イシグロ
- 定価:1,012 円(税込)
- 発行年月:2001年05月23日
- ページ数:365ページ
- ISBN:9784151200038
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000010977
小説『日の名残り』のあらすじ
短い旅に出た老執事が、美しい田園風景のなか古き佳き時代を回想する。長年仕えた卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々……。遠い思い出は輝きながら胸のなかで生き続ける。
小説『日の名残り』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『日の名残り』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- イギリス上級社会の変遷
- 恋愛と英国という国を対比にした隆盛と没落
- 仕事によって失ったものと再開して別の接し方ができるようになる。
イギリス上級社会の変遷
イギリス上級社会では、執事は自身の世話をするだけではなく他の貴族への優越感のための道具としても使われました。
産業革命から続くイギリスの優雅な時代の世界ではそれぞれの貴族は執事を雇い続ける余裕がありましたが、イギリスという国の国力が低下してくると貴族たちも大きな家とともに優秀な執事を手放すようになり、その結果、執事の誇りというものも失われていきました。
執事の視点から貴族たちの心理や変遷を映し出しています。
恋愛と英国という国を対比にした隆盛と没落
かつて主人公ができなかった恋愛の哀愁が現在のイギリスが持つ哀愁とともに映し出されています。
主人公は華やかな上流貴族の社会をその隆盛と没落を自身にも重ね合わせています。
そしてイギリスという国と主人公がかつての若かりし、華やかな日々を思い出している姿からイギリス人が持つ自国へのイメージを学び取ることができます。
他国の人では描くことができないイギリスという国に誇りを持ち続ける国民性を感じ取ることができます。
仕事によって失ったものと再開して別の接し方ができるようになる。
主人公は物語の最後にかつて好意をよせていた女性に会いに向かいます。
そして会ってみると恋心や憎しみでもなく穏やかな感情のみが心の中に浮かんできます。
恋人とはならなくても新しい仕事のパートナーとして接することができました。
現在、頑張っていることのトレードオフとして何かを失ってしまっても別の形で、再開することができるかもしれないという希望を持つことができます。
何かを今頑張っている人にも読んでいただきたい小説でした。
小説『日の名残り』を読み終わった感想
これまで書いたことにも相当しますが、イギリスの文化、変遷、執事という職業、仕事との向き合い方、恋愛など様々なことが学びとれる名著だと思います。
ノーベル賞に選ばれたのも納得です。
他の国の人では描くことができないイギリスという国に誇りを持つ人間しか書くことができない小説であると思いました。
今後はカズオイシグロ氏の別の小説も読んでみたいと思わせてくれる本でした。
また日本からもそのような作家が出てくれることを期待しています。
小説『日の名残り』で印象に残った名言
私が小説『日の名残り』を読んで特に印象に残った名言です。
印象に残った名言
なし
小説『日の名残り』の評価や口コミ
他の方が小説『日の名残り』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
カズオ・イシグロの「日の名残」を読み終わった。イギリスの老執事の静かな仕事に対するプライドと成就しなかった恋の回想。ラストで出会った老人に言われた「1日で一番いいのは夕暮れ。いつでも先をみて楽しまないと。過去を振り返っても何も変わらない」
心に染みました。— トコ (@wcvyNYjzFk4wANL) January 22, 2022
夢の中ゆっくり入りまた眠る貴重な休み一日の休み
カズオ・イシグロの日の名残を読み終えました。外国文学ってぶっ飛んでるイメージですが、こちらは執事が人生を回顧する物語です。死者の書はやはり難解。でも、中将姫が仏教と関わりが強いことは分かりました。
今日もいい1日を∠( ˙-˙ )/
— みえこ (@creamieko) November 17, 2018
カズオ・イシグロの「日の名残」、読了。職業上の品格を追求し、あくまで仕事を優先させるプロ意識。その裏の人間的な気持ち。。やっぱりカズオ・イシグロは素晴らしい。名作。
— So (@ellafitzgerald7) January 1, 2012
おわりに
私が小説『日の名残り』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『アルケミスト』です。