三重県にお住いの26歳男性(流通・小売系:書店員)が2021年4月頃に「紙の本」で読んだ小説『バトル・ロワイアル』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『バトル・ロワイアル』を読もうと思ったきっかけ
最初に「バトル・ロワイアル」を知ったのは、映画版です。
「クラスメイトが最後の一人になるまで殺しあう恐ろしい映画がある」という話を友人から聞いた私は、ゲオでさっそく借りて見てみました。
それは非常に残酷な話ですが、思った以上に深く、また熱い物語でした。
興味を持った私はネットで調べ、原作は小説であること、漫画版も出ていることを知りました。
また、原作と漫画、映画は参加者は同じですが、設定や展開が一部異なることも知りました。
原作・漫画・映画、いずれも一定以上の評価を得ている名作であるとのことだったので、まずは書店で原作(文庫版・上下)を購入しました。
小説『バトル・ロワイアル』の内容
簡単に言えば、「中学生の1クラスが最後の一人になるまで殺しあう」という内容です。
もう少し詳しく書くと、作中世界は「大東亜共栄国」という架空の国が舞台で、そこは「総統」という存在が独裁政治を敷いています。
この国では「プログラム」と呼ばれる制度があり、毎年全国の中学校でいくつかのクラスがプログラムに選ばれ、上記した殺し合いを強いられるのです。
殺し合いの舞台は絶海の孤島であり、中学生は首に爆弾付きの首輪が付けられます。
ランダムに支給された武器(銃、刀といった当たり武器から鍋の蓋という外れまで)を駆使して中学生は望まぬ殺し合いを強いられます。
小説『バトル・ロワイアル』の作品情報
作品情報
- 出版社:太田出版
- 著者:高見広春
- 定価:本体1,480円+税
- 発行年月:1999年04月15日
- ページ数:666ページ
- ISBN:978-4-8723-3452-4
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.ohtabooks.com/publish/1999/04/15202301.html
小説『バトル・ロワイアル』のあらすじ
七原 秋也属する香川県某高校の3年B組の一行は、バスに乗って修学旅行へ向かうはずだった。
しかし、そのバスは政府によって丸ごと拉致されてしまう。
そして拉致先の無人島で皆に言い渡された指令は‥‥‥「今日は、皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらいまーす。」
ルールは簡単。クラス全員を殺して、生き残った者1人が勝ち。さながら椅子取りゲームのようなルールであった。
ここに、3年B組全体を巻き込んだ、壮絶なデス・バトルが、繰り広げられる!
小説『バトル・ロワイアル』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『バトル・ロワイアル』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 無機質な残酷でショッキングな描写
- 一種の青春小説
- 超人VS超人のスーパーバトル
無機質な残酷でショッキングな描写
ジャンルとして「バトル・ロワイアル」はホラー小説であり、猟奇小説です。
中学生たちが殺し合いの中で残酷に死んでいきます。
露悪的な描写はさほどなく、淡々と生徒が減っていく様子は、どこか機械的な印象さえ受けます。
鎌で首を斬られたり、首の爆弾が爆発したり、銃でミンチにされたり。残酷な描写の数々は読んでいて強いショックを受けるでしょう。
またこの小説は群像劇でもあるので、生徒一人一人が何を考え、どう行動し、どう死んでいったのかを詳細に描写します。
猟奇小説として高い完成度を持っていると言えます。
一種の青春小説
「バトル・ロワイアル」は青春小説として読むことも出来ます。
本作が名作と言われるのは、この要素だと個人的に考えています。
今まで培ってきた友情や恋愛、家族との確執が殺し合いの中で浮かび上がります。
殺し合いに巻き込まれる前、不良とトラブルになった際に逃げ出した友人がいました。
普段ならそんなことは水に流しますが、命がかかった殺し合いでは信用できないと拒絶され、それが新たな惨劇の引き金になります。
他にも片思いのクラスメイトを守るために島を奔走する生徒や、そんな生徒に淡い恋心を抱き最後は彼の胸の中で息絶えた生徒など、悲壮で甘酸っぱい青春要素が作中に散りばめられています。
超人VS超人のスーパーバトル
本作はキャラ小説でもあります。
クラスの中には個性の強い生徒が何人もいます。
天の神と交信する電波系女子を始め、テロリストの叔父を持ち高いハッキング能力を持つ男子や、敵対する相手を恋人の男に半殺しにさせるスケバン、幼少期に感情を無くしあらゆる技術を完璧にこなせる不良など、あくの強い中学生がたくさん登場します。
特に以前プログラムで優勝経験があり、政府のレジスタンスとも繋がりのある「川田」と、コイントスで表が出たという理由でゲームに乗り、クラスの三分の一を殺してしまった天才「桐山」との最終決戦はアクション映画顔負けのカーチェイスと銃撃戦が展開し、純粋にアクション小説として楽しめます。
小説『バトル・ロワイアル』を読み終わった感想
思った以上にエンタメをしていて楽しめました。
映画と比べ、生徒一人一人の個性が強調され、「大脱走」を観ているような、アクション群像劇として楽しめました。
映画より露悪的なシーンも少なく、モンスターである桐山の学園生活なども描写され、概ね映画版より楽しめました。
内容としては賛否あるものであり、万人にオススメできるものではありませんが、世間で思われているようなただ残酷で変態的な小説ではないように思いました。
小説『バトル・ロワイアル』で印象に残った名言
私が小説『バトル・ロワイアル』を読んで特に印象に残った名言です。
「坂持金発」のセリフ
「今から皆さんには殺し合いをしてもらいます」
小説『バトル・ロワイアル』の評価や口コミ
他の方が小説『バトル・ロワイアル』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
バトル・ロワイアル(原作小説)を少しずつ読んでいきます pic.twitter.com/jTj8Du1Bvy
— 富士山 (@fujisann1101) January 12, 2022
おはようございます☀️#本日の鹿本
高見広春「バトル・ロワイアル」瀬戸内海の小島に集められた42名の中学3年生たちが殺し合いを強いられる問題作。
日本ホラー小説大賞の選考会で物議を醸し受賞を逃すも、別ルートで出版され大ヒットした作品。
過激な内容ですが、その面白さは衝撃的でした🦌⚡ pic.twitter.com/jqaPbynfFJ— 読書鹿・アントン@読書垢 (@anton_book) October 11, 2021
PUBGやAPEXなど、ゲームのジャンルとして確立された「バトルロイヤル」。その全ての生みの親とも言える、1999年に刊行された小説『バトル・ロワイアル』をご存知だろうか?バトルロイヤルゲームの先駆けとなったPUBGの製作者は、この小説に影響を受けて作ったという。 pic.twitter.com/C1YwA3VqAu
— シュヴァンツ・フォッツェ (@Wehrmacht_DE) June 30, 2019
おわりに
私が小説『バトル・ロワイアル』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『黒い家』です。
主人公がサイコパスに襲われる話ですが、第4回日本ホラー小説大賞受賞作でもあるので次に読むのが楽しみです。