北海道にお住まいの36歳男性（医療施設：事務職員）が2022年7月頃に「紙の本」で読んだ小説『連続殺人鬼カエル男』のレビューをご紹介します。
小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説していますので、小説を読む前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になる方は参考にしてください。
目次
小説『連続殺人鬼カエル男』を読もうと思ったきっかけ
先に読了していた妻から、この本が読み応えがあると紹介され、私は読むことにしました。
妻は本をよく読む人ですが、あまり自分から感想を述べるタイプではないのです。
私が感想を尋ねても、「普通だった」という素っ気ない返答が多いのが普通です。
そんな妻が珍しく自分から感想を話すほど、この本は読み応えがあるのだろうと思い、手に取りました。
多くの作品を書かれている著者で、別作品も何冊か読んだ経験があります。
それらの本もすべて見事な作品だったため、期待感は高まりました。
小説『連続殺人鬼カエル男』の内容
新聞配達の青年がマンションで吊るされた死体を発見するところから物語性始まります。
現場には子どものような稚拙な文章が書かれたメモが残されており、異様さがただよっていました。
その後狂気じみた殺人事件が立て続けに発生し、さらには標的の選定が“あいうえお順”ではないかとの推測が持ち上がり、世間を震撼させます。
「心神喪失者の行為は、罰しない」という刑法第39条をテーマとした社会派小説ですが、サイコサスペンスの要素も含まれています。
最終的には驚くべき展開もあり、読者を必ず満足させる作品です。
作品情報
- 著者：中山七里
- ISBN：9784796680899
- 出版社：宝島社
- 判型：文庫
- ページ数：416ページ
- 定価：600円（本体）
- 発行年月：2011年02月
- 発売日：2011年02月04日
- 国際分類コード【Thema（シーマ）】1：FB
- 国際分類コード【Thema（シーマ）】2：1FPJ
小説『連続殺人鬼カエル男』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
小説『連続殺人鬼カエル男』の読みどころをネタバレ覚悟で解説したいと思います。
その読みどころは大きく3つあります。
この小説の読みどころ
- つい引き込まれる登場人物の人間描写
- 殺人現場、遺体、殺害状況の生々しさと異様さ
- 詭弁な物語展開
つい引き込まれる登場人物の人間描写
すべての登場人物は丁寧に描かれ、よく特徴づけられています。
そのため、読者は極めて感情移入しやすくなっています。
それは、まさに刑事が天職であるかのように描かれている渡瀬、心に古傷を抱え、どこか危険な刑事の小手川、前科と精神疾患を持つ当麻勝馬、快活で懐の深い一面と狂気的な二面性を持つ有働さゆりを見れば明らかです。
さらに、名前のない一般市民の感情まで丁寧に描かれています。
警察署に襲来する暴徒化した一般市民のシーンは、日本の舞台であることを忘れてしまうほど激しさと狂気に満ちています。
殺人現場、遺体、殺害状況の生々しさと異様さ
本作では4つの殺人事件が起こります。
その各殺人現場での見る者を驚かせる遺体の処理方法が示されています。
「吊るす」、「潰す」、「解剖」、「焼く」のそれぞれについて、驚異的な細部まで描かれているのです。
ただ単にこれらの言葉を並べるだけでは状況を想像することは難しいですが、作者は優れた表現力で読者に現場を再現させます。
特に、廃車プレス機を使用したシーンの描写は、車内にこびりついた肉片、体の各部から噴出する体液、飛び出した眼球といった光景を詳細に描いており、その悲惨さを言い尽くせません。
苦手な人もいるでしょうが、間違いなく本作の読みどころの1つです。
詭弁な物語展開
一般的に、ミステリーなどを読むときは、物語の結末や犯人を予想しながら進める人が多いと思いますが、この作品に関しては予想を的中させるのは難しいでしょう。
物語を読み進めると、前科持ちで精神疾患を持つ青年が犯人に見えてきます。
実際、その青年の住居からは犯行現場に残された声明文と同じものが見つかります。
しかし、その青年が犯人だと思われるところで、実際の犯人が他にいることが明らかになります。
さらに、その背後には黒幕が存在しており、その結末には二度の驚きが待ち受けています。
とても見事な作品です。
小説『連続殺人鬼カエル男』を読み終えた感想
一言で表すと、気持ち悪いと感じます。
これは殺害現場の表現からだけでなく、犯人や黒幕、一般市民の思考が人間性として受け入れられなかったからです。
子どもを自分の都合で殺し、元患者を自分の目的のために利用し、最終的なターゲットに辿り着くために無関係な人を殺し、不安に煽られて暴力に訴える一般市民。
これらの要素は人間の暗黒面や暴力的な側面を露わにし、圧倒される思いです。
しかし、物語の展開や人物描写、物語の進行のテンポ等は非常に良く、ページをめくる手が止まらなくなります。
結末に向けて読む速度が加速し、古手川と犯人との対峙のシーンには、手に汗を握ります。
小説『連続殺人鬼カエル男』で印象に残った名言
小説『連続殺人鬼カエル男』を読んで特に印象に残った名言について語ります。
「御前崎宗孝」のセリフ
勝利宣言は独り言ではつまらないと思います。
聴いてくれる者、称賛してくれる者がいなければ、勝利の実感がわかないからです。
小説『連続殺人鬼カエル男』の評価や口コミ
他の方が小説『連続殺人鬼カエル男』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
【連続殺人鬼カエル男】 中山七里#読了
ここまでするのか••••と言う程内容が凄すぎる😱
ミスリードでうまく騙され3重のどんでん返しを喰らう🤯
ここまでグロい小説は今まで無かった•••🐸🔨🪚 pic.twitter.com/iFVOaF9W0n
— トピ夫@ (@31q2BpUr5zyi5pl) October 9, 2022
【連続殺人鬼カエル男ふたたび】 中山七里#読了
❖グロ小説復活！！
前作から10ヶ月後のストーリー！ カエル男を名乗る者が再び市民を恐怖の渦に•••😱今回の凄いと思うのは10ヶ月であの怪我を克服した小手川刑事かな•••また怪我しちゃうけど🤔 pic.twitter.com/KU2ymyKvmA
— トピ夫@ (@31q2BpUr5zyi5pl) September 17, 2023
ひっそり運営してるブログ
どんでん返し小説の紹介を20選に成長させました！色々と作品を教えていただき感謝です。
15選からは
十戒
連続殺人鬼カエル男🐸
名探偵に薔薇を
弁護側の証人
レモンと殺人鬼🍋を加えました！
またおすすめ教えてくださいませ😊https://t.co/p7QXfUdgnr
— たろさん@読書好き (@TA007007007) September 19, 2023
連続殺人鬼カエル男 https://t.co/sO0mwjIrlM
グロ過ぎて、読むのが辛かった💦
ドラマ化しているようですが
どうやって描いたんだろう。#中山七里 #ミステリー #小説#連続殺人#ドラマ化#グロテスク 好きな人におススメ！— 宝鼓 読書垢 noteで読書記録更新中 (@HOUKOCHAN) October 31, 2023
『ハーシュ』前川裕
今年読んだ小説で、1番グロテスクな作品です。『連続殺人鬼カエル男』と同じ位のグロさに感じました。
新婚夫婦が襲われる事件が荻窪で発生します。新婚だから狙われたのか。読書中は疑心暗鬼に包まれます。世間は案外狭い事を感じさせる一作でした。#読了#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/Feggjtv7dF— 詩織の栞 (@365bookwiths) May 12, 2021
みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね！
おわりに
私の小説『連続殺人鬼カエル男』に対する感想や読みどころをネタバレを覚悟で解説しました。
「面白い」と感じた方はぜひ読んでみてください。
