静岡県にお住いの33歳女性(サービス系:事務職)が2023年2月頃に「Amazon Prime Video」で見た映画『少年の君』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『少年の君』を見ようと思ったきっかけ
中国のすさまじい受験戦争とイジメ、貧富の差などの社会問題を背景として、学校でイジメにあう少女とストリートチルドレンの少年の近年では見たことがないほどの純愛映画でとても完成度が高い映画と、世界的にものすごく評価が高いという口コミを劇場公開前から見ていた映画だったからです。
劇場公開の時期に見逃してしまったので、自分で加入している動画サービスで配信、アマゾンプライムで始まったため、視聴することを決めました。
映画『少年の君』の内容
オンライン小説『少年的?,如此美麗』を実写映画化した香港映画俳優出身のデレク・ツァン監督作品です。
主人公は母子家庭の大学受験を一か月後に控えた女子高生チェン・ニェンと13歳の時に母親に捨てられてから一人きりで生きてきたストリートチルドレンのシャオベイです。
大きな貧富の差と、中国の壮絶な受験戦争とそれに関するいじめや責任の押し付け合い、社会問題を背景に大人になる前の少年少女の純愛ストーリーを香港映画を思い出させる哀愁と美しさを高い完成度で描いた映画です。
作品情報
- ジャンル:ドラマ
- 製作国:中国 香港
- 製作年:2019
- 公開年月日:2021年7月16日
- 上映時間:135分
- 製作会社:河南電影電視制作集団=胖小孩影視制作(天津)有限公司=好孩子制作有限公司
- 配給:クロックワークス(提供:クロックワークス=楽天TV)
- 公式サイト:https://klockworx-asia.com/betterdays/
映画『少年の君』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『少年の君』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 人生が決まる大学受験が変えてしまう人の人生
- 抜け出すことのできない絶望的な貧富の差
- 救いようのない苛烈で残忍なイジメが引き起こす悲劇
人生が決まる大学受験が変えてしまう人の人生
中国における受験戦争は、太古の昔からある科挙の試験と同様に日本含む他のアジア地域にも広がる人の人生を決めるほど大きなものです。
家族や学校ぐるみで受験生を支え、受験生も自分や家族の人生を背負って受験に挑みます。
そのストレスというのは生半可ではないもので、捌け口として同級生へのいじめや非行に走るものもいます。
いじめが分かれば加害の主犯探し、教師や学校の責任の擦り付け合いによってその中の弱いものが責任をすべて負わされます。
そうやって被害者だけでなく周りの人間たちの人生もくるっていく様子も救いなく描かれています。
抜け出すことのできない絶望的な貧富の差
ストリートチルドレンのシャオベイの生い立ちは救いがありません。
幼くして父親を失うと、生活力のない母親は他の男に頼らざるを得ませんでした。
しかし、男からすれば自分の息子ではないシャオベイを大切にすることはできず、13歳だった母親もシャオベイを捨ててしまいます。
そこからは教育を受ける機会を失うだけでなく、生きていくために犯罪を重ね、チンピラ同士の命がけのケンカに巻きこまれたりとストリートチルドレンとして必死に生きていました。
シャオベイがチェン・ニェンに「俺には未来はない」はどうしようもない貧富の差を表すセリフのひとつでした。
救いようのない苛烈で残忍なイジメが引き起こす悲劇
世界共通でいじめの内容は年齢問わず凄惨なものです。
そのいじめの直接的な描写は控えめですが、それでも苛烈なものだと分かります。
チェン・ニェンが加害者たちから受ける学校外での逆恨みによって起こされる、何人もの人間に暴行され全身の衣服をはがれ動画を取られアップロードされた上に髪を切り刻まれる犯罪の様子は目を背けたくなるものでした。
それでも受験に受かって都会に出ることだけを胸にいたチェン・ニェンにとっての「受験」とはそれほどの物だと思うと受験の存在が恐ろしく感じました。
チェン・ニェンが犯行に及んだのは主犯格の女がそのあとしつこくチェン・ニェンに口止めをしに行った時に起きたからだったので余計にそう感じました。
映画『少年の君』を見終わった感想
大人になっても人間は人をいじめることをやめることができません。
それが自分と家族の人生を左右してしまう受験を目の前にした閉鎖された学校で学ぶ受験生であればいじめはどうしても起きてしまいます。
しかし、それだからこそ子供たちやいじめによって起こるすべての悲劇を減らすために法整備が必要であると再認識される映画でした。
坊主姿のチェン・ニェンとシャオベイの姿は大人になる前の少年少女の曖昧な中性性を表していて、男女ではあるものの性別のない魂と魂の結びつきのように純粋で見たことのない青春純愛映画の様で感動しました。
映画『少年の君』で印象に残った名言
私が映画『少年の君』を見て特に印象に残った名言です。
「シャオベイがチェン・ニェンに言うセリフです」のセリフ
歩いていろ 必ず後ろにいろ
映画『少年の君』の評価や口コミ
他の方が映画『少年の君』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
昼の陽だまりのように穏やかで優等生な少年と、裏社会の夜に生きる少年が、出会ってしまう映画を上映します。相手の存在で輝き出す2人の日々に、抜け出せない裏社会が落とす暗い影。ところで優等生の彼には寝食を共にする親友がいて、この映画のキャッチコピーは「さよなら。君といた僕」
誰と誰なの… pic.twitter.com/vnpxLmMOtG— サールナートホール/静岡シネ・ギャラリー (@Sarnathhall) July 22, 2023
#とにかく観てほしい映画ベストテン
①37セカンズ
②ブータン 山の教室
③いとみち
④手紙と線路と小さな奇跡
⑤君を想い、バスに乗る
⑥ロスバンド
⑦静かな雨
⑧少年の君
⑨まともじゃないのは君も一緒
⑩夏時間私がここ最近の年間ベスト10に入れた作品の中で、映画垢であまり話題にならなかっ↓ pic.twitter.com/RVz4QiHp1V
— ウォーケンuzedit (@uzedit1) October 17, 2023
遠い道のりだけれど最後まで信じたいと願い続けること。今この時を生きている人は一人残らず。無言の、見返りを求めない、誰かの手に守られて生きていることをを思い出させてくれる。私たちに見える世界は損得勘定と弱肉強食にしか見えなくても。それは表面を覆う薄い膜のようなもの。世界の本質は深く大きく豊かであることを教えてくれる。人と人との心のつながりはこの世界の雛形であると。いじめの主犯格の少女が自分が虐め殺した子供は親に金が入るから私より親孝行だ、と言っていた。役に立たなければ、金にならなければ愛されない子供。主人公二人のように親の十分な庇護を受けられない子供。それぞれの痛みが伝わる映画だった。いともたやすく見失う、信じる心の大切さを思った。
Amazonの口コミ
主人公の若い二人の相手を想う心がとても切なくて何度見ても涙が出ます。
Amazonの口コミ
優等生の女子高生と、不良の出会いから動き出す日々。受験社会、陰湿ないじめ等の学校生活を通して中国の様子が垣間見れた。何より主役チョウ・ドウユィの、多感で不安定な女子高生役が素晴らしかった。(中国ではかなり有名で人気のある女優さんのようですね)真面目と不良。富と貧しさ。陰湿さと誠実さ。虚と実。希望と絶望。それらが光と闇のコントラストのように描かれていて、引き込まれていく。「象は静かに座っている」など中国映画は長尺なものも多いが、観入ってしまう。
Amazonの口コミ
評価が高かったので、興味がわいて観ました。実話を基に作られているのか、ストーリーとしては展開が読めてしまうのですが、主演のチョウ・ドンユイさんの演技がとても自然で引き込まれてしまいます。相手役のイー・ヤンチェンシーさんもかっこよかったです。個人的には、あのまま嘘を貫き通したストーリーも映画的にはアリかなぁとも思ったのですが…苦笑
Amazonの口コミ
主役2人の世界に引き込まれました。言葉(会話)は少ないのですが、表情や動作、目の動きや仕草の全てで完璧な表現力でした。重く苦しく暗い映像の中、2人だけが通じ合う相手を思う強い力に感動すら覚えました。再会して、幸せになって欲しい。
Amazonの口コミ
みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『少年の君』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『ソウルメイト 七月と安生』です。
オンライン小説を通して描かれる七月と安生の親友の半生。