東京都にお住いの46歳男性(流通・小売系:小売業)が2022年9月頃に「洋画専門チャンネル・ザ・シネマメンバーズ」で見た映画『こわれゆく女』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『こわれゆく女』を見ようと思ったきっかけ
洋画専門チャンネル ザ・シネマメンバーズで配信されていたのがきっかけです。
エリック・ロメールやジャン・リュック・ゴダールなど魅力的なラインナップでしたが、その日は元気が出る映画を観たいと思っていました。
監督のジョン・カサヴェテスが、生きることや愛することをテーマに映画を撮っていたことは本を通じて知っていたので、幾つかの作品から選ぶことにしました。
同監督の「フェイシズ」や「アメリカの影」などもありましたが、タイトルに惹かれてこの作品を観ることにしました。
映画『こわれゆく女』の内容
精神的に不安定な専業主婦のメイベルには、夫ニックと子供が3人います。
ニックは土木作業員で徹夜仕事が続いています。
子供たちを祖母に預け、一晩だけでも2人だけの夜を過ごそうとしますがニックの仕事が急に入り、キャンセルになってしまいます。
精神の均衡を崩したメイベルは酒場に出掛け、他の男と一晩を共にしてしまいます。
罪悪感に苛まれるメイベル。坂道を転げるように精神的に不安定になります。
それを何とか救おうとする家族たちが描かれます。
映画『こわれゆく女』の作品情報
作品情報
- 監督:ジョン・カサヴェテス
- 脚本:ジョン・カサヴェテス
- 原作:‐
- キャスト/出演者:ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク
- 主題歌:‐
- 日本公開日:1993年2月27日
- 上映時間:155分
- 公式サイト:‐
映画『こわれゆく女』のあらすじ
神経症気味の妻を持て余しながらも、深い愛情から一人で家庭を切り盛りする、労働者階級の中年男。彼は市のベテラン水道工事員として、職場でも慕われている。突然の水道のトラブルでしょっちゅう家を空ける夫に、妻の気持ちは次第に昂ぶり、ついに狂気の世界へ足を踏み入れる。彼女もまた、抑えきれない強い愛情から、夫を苦しめてしまうのだった。現代人の閉ざされた人間関係の中での、純粋な愛情の探求を常に試みてきたカサヴェテスが、市井のありふれた家庭の中にその主題を求めた力作。
映画『こわれゆく女』の予告編
映画『こわれゆく女』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『こわれゆく女』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- ジーナ・ローランズの演技が素晴らしい。
- カメラワークの臨場感が凄い。
- 俳優たちの表情が生々しい。
ジーナ・ローランズの演技が素晴らしい。
他の家の子供たちの面倒を見ることになったメイベルは興奮してしまい、挙動不審な振る舞いをしてしまいます。
それを見た夫のニックは彼女を精神病院に強制入院させようとします。
それに抵抗しようとするメイベルは、ときに捨てられた子供のような佇まいを見せたり、激怒して抵抗しようとしたりするのですが、そのときのジーナ・ローランズの演技は圧巻でした。
不安な気持ちを表情や仕草でこんなに表現できることに驚きました。
まともな精神状態に戻ったときのギャップなど、素晴らしかったです。
カメラワークの臨場感が凄い。
監督ジョン・カサヴェテスはインディペンデント系の低予算映画の作家です。
スタッフや俳優たちも気心の知れた仲間といった具合です。
映画はプライヴェートでありながらも確実に普遍的でした。
手持ちカメラの生々しい動きが現場の臨場感を伝えます。
俳優たちのふとした表情を捉えるにはどんな演出をしたのか想像もつきませんが、凄いの一言でした。
雨に濡れる歩道などロケーションも素晴らしく、顔も風景も撮れる監督であると確信しました。
俳優たちの表情が生々しい。
メイベル役のジーナ・ローランズだけでなくニックを演じるピーター・フォークも素晴らしかったです。
「刑事コロンボ」で有名な彼ですが、ここでは私生活のピーター・フォークではないか?と思わせるほどの演技力で観客を唸らせます。
何とか妻を救おうとするニックですが、ときに感情的になってしまい手を上げてしまうことも。
両親を心配する子供たちの演技も素晴らしかったです。
母親の味方になり何とか助けようとする子供たちの振る舞いには胸をつかれる思いがしました。
映画『こわれゆく女』を見終わった感想
生きることや愛することをテーマに映画を撮った映画監督ジョン・カサヴェテス。彼の真骨頂とも言える映画だと思います。
精神的に不安定な妻とそれを何とか救おうとする夫、そんな両親を心配する子供たち、精神異常に偏見をもつ祖母、それぞれが生々しく描かれていました。
でもやはり愛が大事なんだと気付かされる、そんな映画です。
そして何よりも映画の素晴らしさを教えてくれたジョン・カサヴェテスに感謝したくなる一生忘れられない映画です。
映画『こわれゆく女』で印象に残った名言
私が映画『こわれゆく女』を見て特に印象に残った名言です。
「ニック」のセリフ
女房はまともだ
映画『こわれゆく女』の評価や口コミ
他の方が映画『こわれゆく女』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
『こわれゆく女』(1974)
夫を愛するが故に精神を病んでいく妻と、不器用に愛する事しかできない夫。修羅場だらけの140分に疲弊するが、根底に愛があるから不毛じゃない。それにしてもカサヴェテス映画の映像の力、俳優の演技の力には心底唸らさせる。これぞ映画。コロンボがこんな二枚目だったとは pic.twitter.com/bmr33PCgpD
— 続・池袋らぶせくしー (@RUsrjkCwbF354K8) September 27, 2022
『こわれゆく女』1974
ジョン・カサヴェテス監督
再鑑賞。ジーナ・ローランズとピーター・フォークの演技を超えた演技(上手く説明がつかない領域である)の素晴らしさは勿論の事で、今回気付けたのは食卓シーンでのアリアや、白鳥の湖、そして鼻歌等の音楽がここしかない絶妙な間合いで流れている事! pic.twitter.com/aQaIPFeZoR— gen (@lakesidekt12) June 26, 2022
『こわれゆく女』
徐々に躁鬱に陥る妻とそんな彼女を愛しながらも抑圧的な態度を取る夫。日常に孕む狂気。見せかけだけの“愛してる”という言葉。その波長合わぬ虚飾と偽りの時間が共依存的に2人を狂わせる。それでも見えてくる愛憎の二面性。愛するが故に憎み合い、そしてまた愛し合う。これは面白い pic.twitter.com/tbtwGc0Ldf— 映画と音楽好き (@browsing_movie) January 22, 2021
おわりに
私が映画『こわれゆく女』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『臨死』です。
瀕死状態になってしまった少年が、幽体離脱して自分の死を防ごうとするサスペンスは見る前からハラハラしそうです!