千葉県にお住いの40歳男性(流通・小売系:物流センターの検品担当)が2022年11月頃に「日本映画専門チャンネルHD」で見た映画『Playback』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『Playback』を見ようと思ったきっかけ
最先端の技術を駆使したVFX作品や人気のスターを抜擢したエンターテイメントよりも、シンプルな映像と起承転結を重視したマイナー作に興味があります。
全編を通してモノクロームで映し出されていく、知られざる名作があるときいて観てみたくなりました。
忘れられた小説家・佐藤泰志の最高傑作を現代に甦らせた「きみの鳥はうたえる」から、実在する女性ボクサーを岸井ゆきのが熱演する「ケイコ 目を澄ませて」まで。
メガホンを取ったのは三宅唱監督、このところ静かに評価を集めている映画作家です。
映画『Playback』の内容
まもなく40歳を迎えようとしているハジでしたが役者として壁にぶつかってしまい、マネージャーの遠藤とも上手くいっていません。
プライベートでも夫婦仲が険悪なため、妻の真理子は荷物を纏めて家を出ていってしまいます。
そんな彼のことを心配してドライブへと連れ出してくれたのは学生時代から付き合いのあるボン、なかば強引に同級生の結婚式に参加することに。
ワーゲンの助手席で眠りこけていると目の前には懐かしい風景が、ハジは過去と決別して新しい1歩を踏み出すことができるのでしょうか?
映画『Playback』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『Playback』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 白黒つけたい男のドラマ
- 実力派かつ濃厚な顔ぶれ
- 若返る中年と老いていく少年
白黒つけたい男のドラマ
モノクロフィルムと言えば洋画では「カサブランカ」や「ローマの休日」、邦画では黒澤明や小津安二郎を連想してしまうのではないでしょうか。
三宅監督は1970年生まれと日本映画界ではまだまだ新進気鋭、旧き良き時代に特別こだわる必要はありません。
白と黒というふたつの色に、人生の二者択一を迫られる主人公の行く末を重ね合わせているかのようです。
物語の舞台となるのは茨城県水戸市、2011年に発生した東日本大震災の爪痕もしっかりと残っているので見逃さないでください。
実力派かつ濃厚な顔ぶれ
主人公のハジを演じているのは村上淳、ここ数年では息子さんの村上虹郎の活躍が目覚ましいですがドッシリとした存在感ではまだまだ敵いません。
そのハジを進むべき道へと導いていくキーパーソン、ボン役には三浦誠己が抜擢されています。
1度見ると忘れられないほどの強面は本作でも健在で、セリフこそ少ないものの鮮烈に焼き付くことでしょう。
無骨な男たちに囲まれながらも渡辺真起子や河井青葉など、女優さんたちも美しく凛とした立ち振舞いを披露していますよ。
若返る中年と老いていく少年
オープニングでは若さとエネルギーに満ち溢れた男の子が、スケートボードに乗って走り回っています。
そのすぐ側の草むらに寝っ転がっているのがハジ、中年男性特有のドンヨリとした眼差しの丸まった背中が対照的です。
113分の上映時間のあいだにこのワンシーンが繰り返し挿入されていきますが、注目すべきは徐々にハジの横顔に生気が宿っていること。
一方の男の子の方も少しずつ年齢を重ねているようで、いつまでも少年時代に留まることはできません 。
映画『Playback』を見終わった感想
高校時代へのタイムスリップがテーマになっていますが、SFアドベンチャーのような派手な演出はありません。
これまで歩いてきた道のりと積み重ねてきた時間がふとしたきっかけから巻き戻されることによって、違和感なく過去へと繋がっていました。
肉体的にも精神的にも衰えを感じ始めていくアラフォーとしては、主人公ハジの焦りにも似た気持ちに共感できます。
やり直しができない今この瞬間を、精いっぱいに生きることが大事なのかもしれません。
映画『Playback』で印象に残った名言
私が映画『Playback』を見て特に印象に残った名言です。
「遠藤」のセリフ
あるときにある選択をしたから、それが今のお前だろ
映画『Playback』の評価や口コミ
他の方が映画『Playback』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
残念ながら、TwitterやAmazonでは参考となる口コミはなかったため、こちらのブログを参考にしてもらえればと思います。
おわりに
私が映画『Playback』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『ひまわり』です。
2000年10月に公開の行定勲監督作、袴田吉彦扮する紺野輝明に訃報が舞い込んでくる場面から幕開け。
初恋の人のお葬式に参列することで昔を思い出していく展開には、本作との不思議な縁を感じます。