沖縄県にお住まいの30歳の男性(学生:経営学部)が2023年6月頃に読んだ『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめております。
書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』を購入したきっかけ
経営学部で消費者行動論を学び、興味が湧きました。
大学で学んだ消費者行動論では、消費者がどのような消費を行い、その消費がどのような企業活動により引き起こされたのかという視点を学びました。
その上で消費者行動論の講義で、先生が「この視点は心理学など人の思考を研究する分野から得た知見を経営現象に応用している」と説明されました。
そのため消費者行動論に興味を持つ私は、消費者行動論を支える心理学にも関心を抱き、人が新しいことを学習する際の認知的な働きがテーマのこの書籍と出会いました。
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』の概要
この書籍は人が新しいことを学習する際の認知的な働き、特に認知バイアスについて詳述しています。
認知とは「心の働き」全般を指し、バイアスとは思考や行動の中に現れる歪みや偏りを指します。
歪みや偏りは私たちの思考の中に常に存在し、これらから逃れることは難しいと本書では解説しています。
特に行動や思考の対象が未知であればあるほど、歪みや偏りを知覚することは極めて難しいです。
しかし、こうした歪みや偏りは私たちにいくつかの利便性をもたらします。
それは思考や行動の単純化であり、私たちの負荷の軽減に繋がります。
認知バイアスは私たちが無限に情報を処理し、比較し、検討することから開放してくれます。
基本情報
- 著者:鈴木宏昭
- 朗読者:市村徹
- JP-eコード:90357800000000263462
- 制作・配信元:オトバンク
- コンテンツ公開日:2022年01月04日
- 公式サイト:https://audiobook.jp/product/263462
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』のYouTube(ユーチューブ)
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説している動画があるか調べてみました。
残念ながら、この本を詳しく紹介しているYouTubeチャンネルは見つかりませんでした。
そのため、本ブログでその要点をまとめてお伝えすることにします。
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』から学んだことの要約とまとめ
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』から学んだポイントは大きく3つの内容です。
学んだこと
- 私たちが意識していない間に「認知バイアス」が働いていること
- 認知バイアスが発生するタイミング
- 認知バイアスがどのようにして発見されてきたか
本書では、認知バイアスがもたらすデメリットとメリットの両面からバランスよく記述されています。
いわゆる危機感をあおるタイプの書籍ではありません。
認知バイアスについては客観的に記述されており、初学者がこの研究の土地勘を養うのにも最適です。
また、単純に雑学として本書を読むのも最適です。
認知バイアスが誰によって、いつ、どのような実験で発見され、どのような分野で評価されているのかについても記述があります。
また、参考文献も記載されているため、「認知バイアス」についてさらに情報がほしいときの参考になります。
私たちが意識していない間に「認知バイアス」が働いていること
認知バイアスのプロセスを私たちが意識することは非常に困難です。
そのため、私たちは自分で何かを選んだつもりでも、選択の状況や選択に至るまでの文脈、そして選択を行う私たちの経験が選択に大きな影響を及ぼします。
これらが認知バイアスです。
そして、これらの状況や文脈、経験を共有していない人から見ると、非合理的であったり、不可思議に見えることがあります。
しかしその一方で、私たちは日々、これらの認知バイアスに助けられている面もあります。
それは、すべての情報処理を行おうとすると、選択肢は無限にあり、その全てを検討するとなると人間の思考力では一生あるいはそれを超えた時間が必要になるからです。
認知バイアスが発生するタイミング
本書では、注意と記憶、リスクの認知、概念、思考、自己決定、創造、共同などのテーマを設定しています。
これらは認知バイアスが発生するタイミングと言えます。
例えば、注意と記憶では、人が何かに意識を向け、その意識を向けた対象に関する情報を保持し続ける際の認知バイアスについて記述されています。
そして共同では、集団(組織)になったときに人が何に意識を向け、何を無視するようになるのかといったことが解説されています。
これにより、現代の企業組織における一見合理的でなく、道徳的でもない行動について理解が深まります。
認知バイアスがどのようにして発見されてきたか
認知バイアスは主に心理学的実験で発見されてきました。
心理学的実験では、問題を出題し、解答を求める方法を総じて指します。
そして認知バイアスの実験では、どのような情報が認知バイアスを発生させるかが日々蓄積されています。
囚人のジレンマや視覚的錯覚を用いた実験は、認知バイアスの研究の成果の一つです。
囚人のジレンマは自己決定における認知バイアス、視覚的錯覚は注意や記憶、一部のリスクに影響を与えます。
これらは私たちが無意識に影響を受けている認知バイアスを顕在化させた実験と言えます。
『認知バイアス 心に潜む不思議な働き』の感想
経営学、特に消費者行動論を学んでいる人や、ある程度の社会経験を持つ人にとって、「私たちは企業から影響を受けて商品を選択させられている側面がある」という事実は明らかだと理解していることでしょう。
しかし、その影響が具体的にどのようなものであるか、私たちの思考や認知プロセスがどのように作用されているのか、そしてその働きかけの結果、私たちはどのように変化しているのかを説明できる人は少ないと思います。
本書では、認知バイアスという視点から、その作用について深く理解することができます。
本書は心理学についてのものであるため、経営現象を完全に解説するものではありませんが、私たちの日常の思考や認知プロセスについての理解を深めることができました。
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』の評価や口コミ
他の方が『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
「一度ある人を立派な人だと思ってしまうと、その人が立派なことをしている場面にだけ注意が向けられる。反対に別の人をダメなやつだと思うと、その人がダメなことをしている場面に注意が向けられがちになる。」(鈴木宏昭『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』講談社、P87) pic.twitter.com/BX4Wy7B3t1
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) October 26, 2022
「一度ある人を立派な人だと思ってしまうと、その人が立派なことをしている場面にだけ注意が向けられる。反対に別の人をダメなやつだと思うと、その人がダメなことをしている場面に注意が向けられがちになる。」(鈴木宏昭『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』講談社、P87) pic.twitter.com/ev5r72hTPs
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) April 1, 2023
#私の読了ノート
鈴木宏昭『認知バイアス-心に潜むふしぎな働き』講談社ブルーバックス人の認知の特徴についての知見が広く解説されていて理解しやすく、思考を顧みるきっかけになる。ベイズの定理の解説があったり、豊富なブックガイドがあるのが親切でよかったです。 pic.twitter.com/txg7JqQp5g
— 示紫元陽 (@Fonario_2507) May 9, 2023
読後感がほのぼのしてしまう認知科学本はなかなかないのでは:-)
鈴木宏昭『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』
講談社ブルーバックス強い。 pic.twitter.com/ghBILMXCQR— YAMADA.ushinosuke (@yamadaushinosu) November 1, 2020
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
認知バイアスには、悪い面だけでなく良い面も確かに存在します。
経営学においてそれを活用すると考えると、社会的に良い効果を持つものの、その面白さがまだ人々に十分に理解されていないときに、認知バイアスの思考の簡便化を活用することが有益なのではないかと考えます。
社会的な利益(SDGsなど)を訴求する商品の売上の影響は必ずしもポジティブでないことが指摘されています。
消費者に社会的な利益の商品体験を蓄積させ、その体験をうまく活用するようなバイアスをかけることが可能であれば、利益の訴求と売上が連動し、企業側も更に社会的な利益を提供できるようになるのではないでしょうか。
次に読みたい書籍は『コンサルタント一年目が学ぶこと』という本です。
コンサルタントは短時間の間に大量のアウトプットを行います。
その手法や思考方法について学びたいと思います。