香川県にお住いの56歳女性(医療系:看護師)が2022年6月頃に「紙の本」で読んだ小説『クスノキの番人』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『クスノキの番人』を読もうと思ったきっかけ
大好きな東野圭吾さんの作品であったことと、おおまかなあらすじを見てこれまでの彼の作品とは一味違った不思議そうな内容で、面白そうだと感じたことがきっかけです。
本の表紙の重厚感と神々しさの感じられる、クスノキの絵にも心惹かれました。
クスノキの番人と白で書かれた本のタイトルが、背景とマッチして、浮き上がっているように感じられて、本に呼ばれたようにも感じました。
読み終わった後も、読むべくして読んだ本だという気がしています。
小説『クスノキの番人』の内容
本当に大切なものや思いやりなど、温かいものにそっと触れることができたような、本当に優しさにあふれた内容でした。
自己啓発本のように文章や言葉で示すのではなく、物語として、読み終えた後、じんわりとしみわたってくるような感覚が味わえます。
また、さすがの東野圭吾さんの完璧な物語の構成力に、今回も、やられたという感じでした。
けっして謎解きミステリーが主体の作品では無いのですが、各所に謎をちりばめて、読者を楽しませてくださる心意気はさすがだと思いました。
小説『クスノキの番人』の作品情報
作品情報
- 出版社:実業之日本社
- 著者:東野圭吾
- 定価:本体1,800円+税
- 発行年月:2020年03月17日
- ページ数:456ページ
- ISBN:978-4-408-53756-6
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53756-6
小説『クスノキの番人』のあらすじ
その木に祈れば、願いが叶うと言われているクスノキ。
その番人を任された青年と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織りなす物語。
不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。
同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れる。依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。
依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと――それはクスノキの番人です」と。
小説『クスノキの番人』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『クスノキの番人』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 本当に大切なものとは何か
- 思いやりは相手を深く観察することから始まる
- あいかわらず感心させられる東野圭吾の物語の構成の上手さ
本当に大切なものとは何か
物語を読み進めるにつれ、読者は出演者と一緒に、迷い悩んで、なんども心を揺さぶられますが、後半に近づくにつれ「本当に大切なもの」をまざまざと見せつけられ、これまでの過程は、それに気づくために必要であった、長い旅路であったのだと気づかされます。
表面的なものではない、本当に大切なものを単純な言葉ではなく、物語という深みのある力で納得させられることによって、大きな感動を得ることができます。
それぞれの方の感性で、それらを感じ取ってほしいと思います。
思いやりは相手を深く観察することから始まる
主人公の玲斗は、はじめはただの依頼者だとしか感じていなかった伯母に対して、徐々に尊敬と畏怖の念をいだき、肉親としての深い愛情を感じていきます。
そこに彼自身の成長が垣間見えるとともに、彼が、伯母に対して強い関心を持ち、細かいことを観察して、そこから真実を導き出していく姿が描かれています。
そこから発生する玲斗の行動は、常に思いやりに満ちており、特にラストシーンは涙なしでは語れません。
最初は犯罪者である軽率な若者であった玲斗を神々しいとすら感じるシーンです。
あいかわらず感心させられる東野圭吾の物語の構成の上手さ
やはり東野圭吾さんの物語の構成力は最高です。
この小説はいわゆる刑事もののミステリーではありませんが、あらゆる部分に謎が散りばめられており、伏線が張られていて、後で、ああそうだったのか、と納得させられるシーンがいくつもあります。
それが物語自体の不思議な魅力とあいまって、独特の世界観をつくりあげ、読者をあきさせることなく、一気にラストへとひっぱっていきます。
さすがの構成力に、今回も感心させられずにはいられません。
小説『クスノキの番人』を読み終わった感想
人の思いというのは、なかなか伝わりにくいものではあるのですが、それが伝わった時、その思いが優しさや思いやりに満ち溢れていると分かった時、その感動は、計り知れないパワーを持ったものとなります。
もちろん、物語なので、こんな風にすべてがうまくいくなどとは思いませんが、それでも、こんなことがあったらいいな、もしかしたらあるかもしれないなと思わせてくれる、素敵な本だと思います。
明日から生きていくために必要な胸の奥にともるじんわりと温かい何かを与えてくれる一冊です。
小説『クスノキの番人』で印象に残った名言
私が小説『クスノキの番人』を読んで特に印象に残った名言です。
印象に残った名言
なし
小説『クスノキの番人』の評価や口コミ
他の方が小説『クスノキの番人』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
好きだわー
ナミヤ雑貨店の奇蹟再読したくなった。#東野圭吾 #クスノキの番人 pic.twitter.com/X5NYHrYMwW— も子 (@moko_kawauso) October 17, 2021
最後の数ページを目で辿りながら、温かく幸せな涙を頬に感じていました。
生きていくという事は苦難や試練だらけだけど、傍にいる人や強く温かい想いがある事に気付いたら、明日への一歩もまた踏み出せる!気になってたって方々に伝われ!
今すぐ読むリストに加えて!#東野圭吾 #クスノキの番人 pic.twitter.com/GwJqAm5G7C— 本好き事務員 (@Rl5OSNfolKfnMvq) September 17, 2021
#読了#クスノキの番人#東野圭吾
久しぶりに読んだ東野ワールド!ミステリーではないのに直ぐに引き込まれた。
主人公は学がないと言っているけど、地頭絶対良いと思う。面白かった〜!クスノキの番人良いなぁ〜。 pic.twitter.com/GVRLzRhKMF
— みさ (@nagimamachaaan) August 21, 2022
おわりに
私が小説『クスノキの番人』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきました。
主人公は伯母の持ち物や、そのささいな行動から、最大の謎を導き出します。
私自身も人を思いやるために、その人をもっと知ろうと努力しなければと思いました。
また、主人公がクスノキの番人の仕事をしながら、徐々に真実に近づいていく過程をみて、毎日の仕事において、退屈だなとか、毎日同じ内容だななどと、ネガティブな不満だけで片付けてしまうことなく、新たな何かを発見しようとする努力も必要だなと感じました。
多くのことが学べた作品です。
「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。