埼玉県にお住いの54歳女性(サービス系:葬儀関係)が2021年7月頃に読んだ『仕事でも、仕事じゃなくても-漫画とよしながふみ-』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
『仕事でも、仕事じゃなくても』を購入したきっかけ
もともとよしながふみさんの漫画作品がとても好きで、過去に出された対談本も大変面白かったので、よしながふみさんご本人がマンガではなくインタビューで語ることに興味を持っていて、読んでみたいと思ったことがきっかけです。
よしながさんがいかにしてマンガを描く人になったのか、彼女ご自身の人生とこれまでに出会ってきた数々の名作についても語られているということで、これはファンとしては絶対にのがしてはいけない必読の書だと思ったのです。
『仕事でも、仕事じゃなくても』の概要
よしながふみさんがいかにしてプロの漫画家を志すに至ったか、ご自身の成育歴や人生、そしてそのなかで触れて影響をうけてきた数々の漫画作品と作家さんたちのこと、さらにご自分がプロになって描いてきた時代とその変化について克明に語られていました。
特に、よしながさんが手掛けてきたBLのジャンルの激変する時代の流れと、それに関してご自身が感じたこと、作品にフィードバックしていかれたことなどは大変興味深かったです。
『仕事でも、仕事じゃなくても』の基本情報
基本情報
- 出版社:フィルムアート社
- 著者:よしながふみ
- 定価:本体1,800円+税
- 発行年月:2022年07月26日
- ページ数:362ページ
- ISBN:978-4-8459-1914-7
- 言語:日本語
- 公式サイト:http://filmart.co.jp/books/manga_anime/yoshinagafumi/
『仕事でも、仕事じゃなくても』の目次
目次
- 第1章 漫画に心奪われて
- 第2章 夢に見た漫画家へ
- 第3章 BL誌でも、少女誌でも
- 第4章 解決しないことの中に
- 第5章 ドキュメンタリーのように
- 第6章 女性と仕事
- 第7章 一緒に歳を重ねて
- 第8章 ずっと漫画と
『仕事でも、仕事じゃなくても』のYouTube(ユーチューブ)
『仕事でも、仕事じゃなくても』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
残念ながら本書を紹介しているYouTubeチャンネルはなかったため、本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。
『仕事でも、仕事じゃなくても』から学んだことの要約とまとめ
『仕事でも、仕事じゃなくても』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- マンガを描くことは作者自身の人生の投影でもある、ということ。
- マンガはエンターテインメントだが大いなる文化でもある、ということ。
- 女性が現代の日本で働いて生きていく、ということ。
よしながふみさんは私とほぼ同世代で、彼女が描かれてきたものはもう20数年読み続けて追いかけてきていますが、その絵の進化とともに、彼女が描いているものの奥深さを年々感じていました。
人は成長し、そして老いていく、それは自分もであり、親の世代も…そういう連綿とした、ちょっと眼を背けそうになる部分にも、よしながさんは容赦なく切り込んでいき、描いていくのです。
それは先般連載を終え、年明けにドラマ化を控えている「大奥」も、現在連載中の「きのう何食べた?」でも同様で、食べ物や身近な人々のやりとりなどを通して、日常性や人生観を描いていくことの、彼女の作品世界の根本を赤裸々に語っていたのです。
インタビュアーの方もよしながふみさんの世界をよくご理解されているので、引き出し方がとても巧いなと感じました。
本作を読み終えて「ああ、やっぱりこの人の描くマンガが大好きだ」と再確認しました。
彼女が改めて語ってくれた古い作品も改めて読み返して「やっぱりよしながさんの漫画は面白い!」という思いを新たにしました。
マンガを描くことは作者自身の人生の投影でもある、ということ。
この本で最初に語られているのがよしながふみさんの成育歴でした。
どんなご両親のもとに生まれ、どのような環境で育ってきたか、という部分がご本人の言葉で語られています。
淡々としたその口調でしたが、幼いころから自立を求められてきたことや、親だけでなく、いろいろな料理を作ってくれる人に囲まれて育ったことなど、今の作品に登場するキャラクターに投影されているエッセンスがまさにご自分の体験であったことがよくわかります。
マンガはエンターテインメントだが大いなる文化でもある、ということ。
よしながふみさんがマンガを読むことから始まったさまざまな創作活動についても熱く語っていらっしゃいます。
幼い頃に出会った「ベルサイユのばら」は、今なお大好きで、そのコマの一つ一つを描き写して愛読していたなど、幼いころから触れてきた凄い経験談もありました。
それらを読んでいた当時の感想など、同世代にはぐっとくる「ああ、そう、それ解る!」という感じが迫ってきて、ものすごく共感しました。
彼女がご両親から与えられて蓄積していったさまざまな作品やマンガの参考文献などは当時の最高の良書とも言うべきもので、それが後のよしながふみさんのキャリアを支えているのだとよくわかります。
女性が現代の日本で働いて生きていく、ということ。
よしながさんが如何にして漫画家を志し、そこに至るまでどう努力してきたかが克明に語られていました。
彼女はお母さんが教員でずっとお仕事を続けてこられたということもあり、結婚して仕事を辞めるという選択肢がなかったのだそうです。
ならば、一生働き続けるために何をどう考えたらいいのか、という若い頃の悩みや選択も、赤裸々に語っていました。
その結果が数々の名作であり、逆に、彼女がずっと悩んだ末に到達しつつある人生観などが今現在彼女が描いている作品に投影されているのだということが伝わってきて、非常に奥深いものになっています。
『仕事でも、仕事じゃなくても』の感想
よしながふみさんと同世代のファンにとっては、作品を通して共感してきたことの再確認になり、また作品に込められたさまざまな意図に「そうだったのか!」と思いを新たにすることにもなり、読んでよかった、と感じる一冊になりました。
また、これから彼女の世界に足を踏み入れる人にとっては最高の参考書になるはずだと感じます。
長いキャリアの中で彼女が描きたかったものの裏側や、そこにこめられた繊細な思いがここで補完されています。
『仕事でも、仕事じゃなくても』の評価や口コミ
他の方が『仕事でも、仕事じゃなくても』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
よしながふみさんのインタビュー『仕事でも、仕事じゃなくても』読了。山本文子さんのインタビュアーぶりが素晴らしかった。オンタイムで『きのう何食べた?』を読める喜びを改めて。来年のドラマまでに『大奥』を読み返す予定だが、読み返したら本書も読み返そう。無限ループ。 pic.twitter.com/J7MKKiN4xF
— 伊藤絵美 (@emiemi14) December 4, 2022
『仕事でも、仕事じゃなくても』よしながふみ(フィルムアート社)読了。同僚が貸してくれた。
読み応えがあって、子どもの頃に読んでいたマンガとか、まさにそれそれ!って感じで楽しかったし、自作について語られている部分も納得いったり意外だったり、面白い。 pic.twitter.com/wrG8Z70P4f— あつき (@atsuki2009) September 14, 2022
「仕事でも、仕事じゃなくても」よしながふみ#読了
たくさん頷くところはあったんだけど
睡眠と健康大事って言葉にめちゃ頷いた心に余裕がないと安易なほうを選んでしまうと思うって言葉にも
そうなんだよ、余裕がないと妥協しちゃいそうになるのよ。でも後悔しまくるやつ。余裕大事 pic.twitter.com/t8MCsowZFJ
— 結月優朝 (@yuzukiyuasa) October 25, 2022
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
よしながふみさんの作品を読んだことがある若い方、とくに女性には、これから先の生き方を考えるときによしながふみさんのさまざまな選択を参考にしてもらいたいと思いました。
仕事に対する思いや、生涯自分の力で生きていこうとする強靭さは素晴らしいと思います。
そして、彼女が持つ凄い観察眼と表現の濃やかさの本質に触れられたような気がして、改めて古い作品からじっくり読み返してみたいと思わせてくれるインタビューでした。
年明けに放送される予定の「大奥」の新たなドラマがさらに楽しみになりました。
次に読みたいと思っている本は『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!!』です。
漫画家一条ゆかりさんのズバっと核心を突くような鋭い言葉で日常生活に”喝”を入れたいです。