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小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『プラージュ』のレビュー|小説を読んだ感想は「加害者の心理に寄り添うヒューマン小説」

愛知県にお住いの42歳女性(専業主婦)が2022年12月頃に「紙の本」で読んだ小説『プラージュ』のレビューをご紹介します。

小説を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説していますので、小説を読む前にこれが面白いのか知りたい方、また評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • プラージュの正体。
  • 美羽の殺人。
  • 野口彰の正体。

小説『プラージュ』を読もうと思ったきっかけ

以前、WOWOWで星野源さん主演のドラマが放送されていたのを観ていました。

その衝撃的な内容と明瞭なストーリー展開がとても印象に残っていました。

図書館でその原作の小説を見つけ、ドラマがこれほど面白かったのであれば、原作も読んでみたいと思いました。

犯罪の被害者や被害者の家族の視点から描かれる小説は少なからず存在しますが、『プラージュ』のように加害者や加害者家族の心理に焦点を当てたストーリーは珍しいです。

その点が最も読み応えがあり、魅力的だと思います。

小説『プラージュ』の内容

仕事も恋愛も上手くいかないアラサーサラリーマンの吉村貴生は、泥酔したあげくトラブルに巻き込まれ、よく分からないまま覚醒剤に手を出してしまいます。

逮捕後、執行猶予付きで釈放されますが、仕事は解雇され、アパートは火事になり、前科以外は何もかも失いました。

前科者を雇ってくれる会社やアパートがなかなか見つからず、貴生は保護司に少し変わったシェアハウス「Plage(プラージュ)」を紹介されます。

プラージュの住人はすべて前科者で、貴生は住人たちやオーナーと新たな生活を送ることになります。

作品情報

  • 著者:誉田 哲也
  • ISBN:9784344426276
  • 出版社:幻冬舎
  • 判型:文庫
  • ページ数:456ページ
  • 定価:690円(本体)
  • 発行年月日:2017年06月
  • 発売日:2017年06月28日
  • 国際分類コード【Thema(シーマ)】1:FB
  • 国際分類コード【Thema(シーマ)】2:1FPJ

小説『プラージュ』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説する小説『プラージュ』の読みどころは大きく3つあります。

この小説の読みどころ

  • プラージュの正体
  • 美羽の殺人
  • 野口彰の正体

プラージュの正体

罪を犯した貴生が辿り着いた先がシェアハウス「プラージュ」です。

ここは1階がオーナーの朝田潤子が経営するカフェバーで、2階には住人の部屋が7部屋ある構造となっています。

現在は貴生以外に男女3名ずつが住んでおり、食事は潤子が作ってくれます。

各部屋にはドアがなく、カーテンで仕切られているだけです。

仕事がまだ見つからない貴生は、入居初日からカフェバー「プラージュ」の手伝いをすることになりました。

住むことになった後で判明した事実とは、このプラージュの住人たちは全員、貴生と同じ前科者だということでした。

美羽の殺人

貴生が好意を抱いた住人、小池美羽という20歳の女性がいます。

しかし、彼女はどうやらサイコパス気質のようで、他人の感情や世間の常識がなかなか理解できません。

美羽は自分を襲ってきた男たちの目を抉り、指や陰茎を食いちぎり、その流れでその集団の中にいた少女の命を奪いました。

ある日、美羽はその男たちに連れ去られ、復讐の対象となります。

その時に居合わせた住人の貴生や野口彰、加藤友樹は美羽を助けるために監禁場所へと向かいます。

その激しい戦闘の中で、美羽を庇った彰が刺され、命を落としました。

野口彰の正体

野口彰が亡くなった葬儀で、プラージュの住人たちは衝撃の事実を知ることとなります。

彰の名前は偽名で、本名は早見陽一という記者でした。

陽一は実際には住人の加藤友樹を追っている記者で、そのためにプラージュに潜入していたのです。

友樹は幼馴染の津田重明の殺人容疑で疑われていましたが、最近では冤罪だという意見がニュースにも取り上げられていました。

その真相を暴くために陽一は友樹を追い詰めていましたが、実は津田重明の命を奪ったのは陽一自身だということが判明します。

陽一は友樹にその罪をなすりつけようとして、記者の立場を利用して誤った情報を流していたのです。

しかし、プラージュで生活を共にするうちに陽一は反省し、自首すると決心していましたが、その直前に命を落としたのでした。

小説『プラージュ』を読み終わった感想

この小説を読みました。

たとえ冤罪だろうと、気の迷いだろうと、軽罪だろうと重罪だろうと、一度でも容疑者や加害者になってしまうと、前科者というレッテルが一生ついてまわることを実感しました。

その理由は、この世界には罪を一度も犯していない善人が圧倒的に多く存在し、その善人たちから見れば前科者は恐怖の対象となるからです。

自分や家族が被害に遭うのではないかという不安や恐怖の感情が湧いてきます。

この作品は、加害者側の心理を丁寧に描いているので、読み進める中で感情移入したり、同情したりすることもありました。

それでも、自分の身近に前科者がいたら、再び罪を犯すのではないかという不信感を抱くことは避けられません。

これは非常に難しい問題だと感じました。

小説『プラージュ』で印象に残った名言

小説『プラージュ』を読み、特に印象に残った名言を紹介します。

「矢部紫織」のセリフ

罪を償うことは可能ですが、過ちを犯した過去を消すことはできません。

小説『プラージュ』の評価や口コミ

他の方が小説『プラージュ』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

最初にいくつかの視点から描いていくストーリーが、読み進めていくと、繋がりはじめて気づけば手が止められない描写、展開は秀逸です。
Amazonの口コミ

のんびりとした世界観に引き込まれつつも、最後の盛り上がりも上手く持って行ってくれました。
Amazonの口コミ

脛に傷のある男女のそれぞれの過去と現在と未来がそれぞれの視点で書かれながらやがて一本の線になる そういう感じの本でした。作中にはいくつか考えさせられる表現もあり、そういう場所ではついページを繰る指が止まり考え込んでしまいました。法治国家なのにいつまでも赦されない社会、道を踏み外した人への辛い現実等々 決して共通解は出ないんだろうな。秩序や環境を守らされるのでなく自分たちが自然と守るようになる そんな社会がくるといいんですけどね。この本の登場人物たちのように。
Amazonの口コミ

世の中から犯罪は無くならないし、罪を償い続けている人もいる。そんな事を思いながら一気読みしてしまいました。個人的に誉田さんの本で一番好きなのは、幸せの条件です。
Amazonの口コミ

久しぶりに本が読みたいと思い購入しました。誉田さんの本初めて読みました
Amazonの口コミ

みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!

おわりに

小説『プラージュ』についての私の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してまいりました。

もしご覧いただいた方で「面白い」と感じたなら、ぜひ手に取っていただけると嬉しいです。







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