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小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『彼岸過迄』のレビュー|小説を読んだ感想は「夏目漱石は、時代に古びないアヴァンギャルドな小説家。」

神奈川県にお住まいの67歳の男性(クリエイティブ系:コピーライター)が2022年11月頃に「Kindle」で読んだ小説『彼岸過迄』のレビューをご紹介いたします。

小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を読む前に面白いかどうか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • 友情の描写
  • 自己探求、人間の内面の描写
  • 文体の美しさ

小説『彼岸過迄』を読もうと思ったきっかけ

私は夏目漱石のファンですが、好きになったのは比較的最近でした。

また、漱石の作品を執筆された順に読み始めたため、『彼岸過迄』に手をつけたのはちょうど2022年の秋でした。

『彼岸過迄』というユニークなタイトルも、読みたいと思う気持ちを後押ししました。

作品自体は中編で比較的短いものの、私が遅読なために、読み終わるまでには約1ヶ月程度かかりました。

小説『彼岸過迄』の内容

主人公の津田左右吉は親友の加賀美義太郎との出会いを通じて、友情や家族、自己の存在にまつわる葛藤を経験する。

津田は東京帝国大学で哲学を学んでいる大学生で、ある日、加賀美と出会う。

二人は意気投合し親友となるが、津田の恋人となった女性と加賀美が結婚することになり、津田は苦悩する。

さらに、津田は自身の生き方や家族との関係についても悩む。

物語は彼岸の期間中に津田が加賀美と再会するところで終わり、津田の自己との対話と生き方の模索が続く。

作品情報

小説『彼岸過迄』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説する小説『彼岸過迄』の読みどころは大きく3つあります。

この小説の読みどころ

  • 友情の描写の深さ
  • 自己探求と人間の内面の描写のリアルさ
  • 美しい文体

友情の描写の深さ

友情の描写:津田左右吉と加賀美義太郎の友情は、物語の中心となる重要なテーマの一つです。

二人は大学で出会い、互いに心を開き、多くの時間を共に過ごします。

津田は、加賀美が自分の恋人だった女性と結婚することを知り、悩みますが、二人の絆は決して揺らぎません。

友情の描写には、物語の中で二人の間で交わされる言葉や、行動などが含まれています。

例えば、津田が加賀美に「わしはあなたを憎めねえのですよ。」と告げる場面や、加賀美が津田に「よく聞きなさい。俺にはお前に出来ることが一つあると思っている。お前を手放したくないんだ。」と語りかける場面などがあります。

また、二人が共に過ごす時間や、それぞれの心情を表す描写も、友情の深さを表しています。

本作では、友情は時に葛藤を生むこともあることを描かれますが、最後まで互いを思いやり、大切にし続ける姿勢が、読者の共感を呼びます。

友情という人間関係の奥深さや尊さを、夏目漱石は繊細な筆致で描き出しています。

自己探求と人間の内面の描写のリアルさ

主人公である津田左右吉は、自分自身の存在や生き方について悩み続けます。

物語の中で津田は、家族観について深く考え、それが自分の人生観や価値観に影響を与えることに気づきます。

津田は、自分自身を見つめ直し、真実を見つけ出すために、自己探求の旅に出ます。

自己探求のテーマには、津田が抱く家族観や人生観についての深い考察が含まれています。

津田が自分自身を見つめ直す過程で、彼の内面や感情の変化が描写されています。

彼が自分自身を見つけ出す過程で、読者は自己探求の重要性や、自分自身を見つめることの大切さを感じさせられます。

美しい文体

夏目漱石の作品として高く評価されている美しさがあります。

彼の繊細で豊かな言葉遣いや独特な文体は、物語に深い感情や哲学的な視点を与えています。

また、夏目漱石は、津田の内面や感情を緻密に描写することで、物語の世界観を豊かに表現しています。

彼の言葉選びや文体の美しさは、読者の想像力を刺激する効果があります。

更に、彼は、自己探求や人間の内面に深く関心を持ち、それが文体に反映されています。

そのため、読者は物語を通じて、津田の内面に思いを馳せると同時に、自分自身について深く考えるきっかけとなります。

小説『彼岸過迄』を読み終えた感想

美しい文体と深い哲学的視点に大いに感動しました。

主人公である津田左右吉の、自身の存在や生き方に対する深い悩みは、読者の共感を引きつけます。

彼が自己探求を通して見出した答えが常に明確でないということは、自己探求が終わりなく続く過程であることを示しています。

さらに、物語には友情や家族愛といった人間の心に深く関わるテーマが散りばめられており、それらが夏目漱石の繊細かつ豊かな言葉遣いや表現方法を通して描かれています。

これにより物語の世界観は一層豊かに表現されています。

この作品は、夏目漱石の傑作の一つと考えています。

人生の意味、価値観、自己探求など、物語から得られる教訓は多岐にわたります。

この作品を何度も読み返し、内面の探求のきっかけとして活用していきたいと思います。

小説『彼岸過迄』で印象に残った名言

私が読んだ小説『彼岸過迄』で特に印象に残った名言を紹介します。

主人公・津田が友人・西崎に語ったセリフ

「本当に強い人間とは、自分の欠点を知り、自分をコントロールできる人間です。

」蛇足ながら「津田」は、漱石が書いた「明暗」にも主人公として登場します。

小説『彼岸過迄』の評価や口コミ

他の方が小説『彼岸過迄』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

物語が静かに展開していき、落ち着いて聴くことができます。作業しながら聴くのにとてもいいです。
Amazonの口コミ

みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!

おわりに

私が小説『彼岸過迄』の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してまいりましたが、「面白い」と感じた方はぜひ読んでください。

次に読む予定の小説は『三四郎』です。

漱石の代表作の一つ。

青春期の若者の内面の葛藤や成長を描いた明治時代を代表する青春小説です。







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