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【書評】『ランゲルハンス島の午後』のレビュー!書籍を読んだ感想は「心に安らぎを与えてくれる名作」

神奈川県にお住いの36歳男性(障碍者施設作業員:障碍者施設農作業員)が2022年4月頃に読んだ『ランゲルハンス島の午後』のレビューをご紹介します。

本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この本から学べるポイント

  • 時間がない生活も実現できる
  • どんな髭剃りにも哲学はある
  • 目的のない行動が、時に人を豊かにする

『ランゲルハンス島の午後』を購入したきっかけ

村上春樹作品は、はずれがなくどれも面白いので、片っ端から次から次へと読んでいて、この作品もそんな中で手にしました。

小説ではなく、エッセイ集ですが、村上春樹作品の未読の本である、というだけで買うに値するな、と思い、購入する事にしました。

春樹さんは、日常を楽しく生きる方法をよく知っている人生の達人であり、それは、春樹さんのエッセイを読んでいるだけで分かります。

目の付け所が違うし、何でもない日常の風景に、楽しい要素を見つけてしまう優れた観察力を持っていて、読んでいて面白いです。

そのような事もあり、このエッセイ集も面白いに違いない、と思い、購入する事にしました。

『ランゲルハンス島の午後』の概要

村上春樹さんが描くエッセイです。

オンザロックに哲学はあるのか、女子高校生の遅刻について、シェービングクリームを持って街を歩く話、など、興味深い話がたくさんあります。

劇的な感動があるわけではなく、ふわふわと心地良い読み応えのある作品集であり、音楽で言えば、バッハの平均律クラヴィーアを聴いている時のような気分に浸れます。

ひとつの作品が、ひとつのメロディを奏で、それが繰り返されていく中で、何か心に残るものがある。そのような体験が構築されている本なのではないか、と思いました。

『ランゲルハンス島の午後』の基本情報

基本情報

  • 出版社:光文社
  • 著者:村上 春樹
  • 定価:本体750円+税
  • 発行年月:1986年11月01日
  • ページ数:101ページ
  • ISBN:978-4-3349-7047-5
  • 言語:日本語
  • 公式サイト:-

『ランゲルハンス島の午後』の目次

目次

  • レストランの読書
  • ブラームスとフランス料理
  • シェービング・クリームの話
  • 夏の闇
  • 女子高校生の遅刻について
  • 財布の中の写真
  • みんなで地図を描こう
  • ONE STEP DOWN
  • 洗面所の中の悪夢
  • 時計はいかにして増加するか
  • トレーナー・シャツ雑感
  • CASH AND CARRY
  • UFOについての省察
  • 猫の謎
  • 哲学としてのオン・ザ・ロック
  • デパートの四季
  • BUSY OFFICE
  • ニュースと時報
  • 小確幸
  • 葡萄
  • 8月のクリスマス
  • ウォークマンのためのレクイエム
  • 「核の冬」的映画館
  • 地下鉄銀座線における大猿の呪い
  • ランゲルハンス島の午後

『ランゲルハンス島の午後』のYouTube(ユーチューブ)

『ランゲルハンス島の午後』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。

残念ながら本書を紹介しているYouTubeチャンネルはありませんでしたので、本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。

『ランゲルハンス島の午後』から学んだことの要約とまとめ

『ランゲルハンス島の午後』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。

私が学んだこと

  • 時間がない生活も実現できる
  • どんな髭剃りにも哲学はある
  • 目的のない行動が、時に人を豊かにする

村上春樹さんが体験した事をもとに、様々な考えや思いが展開されていくのんびりとした本です。

コーヒーを飲みながら一気読みして、そこにある文章の余韻を味わっていくのも良いですし、少しずつゆっくりと、熟成されたウィスキーのような文章を堪能していくのも良いのではないか、と思いました。

このように、本作は、コーヒーやウィスキーが似合う文章だと思います。

例えば、遅刻して教師に怒られそうな女子高生は、どうやって校門の前の先生をやり過ごして学校に入るのか、といった事や、生物の教科書のページから春の匂いがしてくる公園でのひととき、など、どこか魅力的でありながら、心の隅に残るもののある、落ち着いたエッセイの数々を楽しむ事ができる一冊です。

時間がない生活も実現できる

現代人は、時間の感覚を決して忘れない生活を送っています。

会社には9時に行かなければならないですし、時計を忘れると、帰りのいつもの電車に乗り遅れてしまいます。

しかし、春樹さんは、結婚してまだ間もない頃、家に時計のない生活をしていました。そして、それで困る事もなかったそうです。

今では、部屋に16個の時計があるという事ですが、16個の時計がある、という表現は、それぞれが時を刻んでいる光景を想像させるものがあり、なかなか感慨深いものがあるような気がします。

そこから描き出されるイメージとして、世界が時計によって規定されているのなら、その時計ひとつひとつが、全体としてひとつの時間をつくっていながら、それぞれが少しずつ異なる時間を示している、というイメージを得る事ができて、これは大変面白い性質だと思います。

特に、乾電池や機械式時計の場合は、自動で時刻調整がされないために、そのような性質が顕著であり、そのようにして、世界中で今も時を刻み続けているたくさんの時計の事を考えると、面白いものもあるのではないか、と思いました。

どんな髭剃りにも哲学はある

本作の中で、サマセット・モームの「どんな髭剃りにも哲学はある」という言葉を引用して、春樹さんは、どんなオンザロックにも哲学はある、と指摘しています。

氷の割り方や入れ方ひとつで、オンザロックは味が変わるのであり、その方式には哲学が生まれる余地がある、と説明していて、これなどは面白いな、と思いました。

それならば、先ほどの例を合わせて考えて、どのような時計にも哲学はある、という事が言えそうです。

電池式、機械式、電波式、等、様々な方法で時を刻む時計には、本当の時間とのずれが少しずつ生まれてきます。

それをリセットして本当の時間に合わせながら動いていく、という行為は、人間の生活にも当てはまります。朝起きた時は、まだ体力もあって、身体は疲れていません。

しかし、仕事に行って、夕方頃になると、疲れて疲労がたまってきます。

その後、仕事が終わって家に帰って寝れば、疲労によるズレもリセットされ、また新しく正しい時を刻み続ける事が出来るようになります。

時計も、時間が経つにつれて少しずつ疲れていき、正しい時刻を指す力が無くなってきます。しかし、電池を変えたり、ネジを巻き直したり、電波を受信したりする事で、正しい時刻を指す事ができるのであり、それは、人間が体力を回復させる過程に似ています。

このように、時計を始めとして、世の中の様々な物について哲学を見い出すのも、あるいは楽しいかもしれない、と思いました。

目的のない行動が、時に人を豊かにする

普通の状況であれば、絶対に降りる事のないであろう小さな駅で降りて、そこにある小さな町を何の目的もなく、ただ、ぶらぶらと歩くというのもとても気持ちの良いものだ。

春樹さんは、このように言っています。

人は、普段、目的のある事しかしない生活を送っています。朝ご飯を食べて、歯を磨いて、会社に行くのも、全て目的があります。

しかし、ただぶらぶらと知らない町を歩くという行為には、目的がありません。けれども、そこにはなにがしかの楽しみがあり、目的がないから楽しいという事もあり得るのだ、と言えそうです。

人の人生は、目的を掲げて時間を無駄にしない事ばかり考えて生きるだけではなく、たまには、目的を忘れて、のんびりする事も良いのではないか、と思えるような、素敵な言葉だと思いました。"

『ランゲルハンス島の午後』の感想

飲み物で言えばウィスキー、音楽で言えば、バッハの平均律クラヴィーアを聴いているようなイメージを持った、優れた作品だと思いました。

圧倒的な感動が押し寄せる名作ではなく、静かな深い感慨がある、と言えるような、味わい深い作品だと思います。その点、読者の好みが分かれそうですが、個人的には、大いに楽しむ事ができましたし、名作だと思いました。

公園で生物の教科書を眺めていると、生物の絵から春の匂いがした、という表現は、なかなか詩的で面白いものがあります。本作では、このような感慨深い表現が随所に見受けられるので、高い完成度を持った名作ではないか、と思いました。

『ランゲルハンス島の午後』の評価や口コミ

他の方が『ランゲルハンス島の午後』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!

おわりに

個人的には、目的がない事が人生を豊かにする事もある、という事を学べたような気がします。

私の普段の行動は、英語の勉強時間を分単位で記録する、という目標と目的にがんじがらめに縛られた生活になっているので、たまには目的がない行動をしてみても良いかもしれない、と思いました。

春樹さんをまねて、休日にふらっと知らない駅で降りて、そこを目的もなく歩いてみると、楽しい冒険が待っているようで、とても魅力的な気がしました。時間のある時に、試してみたいと思います。

また、この本自体から何かを学ばなくても、単純に良いウィスキーを楽しむように、時にはこの本を読み返して、その文章の豊かさを味わいたい、と思いました。

次に読みたいと思っている本は『村上春樹 雑文集』です。

春樹さんのエッセイとして、この本も面白いのではないか、と思い、次に読みたい本として選びました。

春樹さんの本は、だいたいどれも何か学べる事があるので、自分は何を学べるのか分からないけれど、そこに待ち受けている何かを楽しみにして、読んでみたいと思いました。

「ランゲルハンス島の午後」からは、目的のない行為が人生を豊かにする事もある、という事を学びました。「ねじまき鳥クロニクル」からは、満州における戦争の熾烈さと、生き方について学びました。

そのような事もあり、この「村上春樹雑文集」からも、何か自分の知らない事を学ぶ事ができるのではないか、と思いました。







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