神奈川県にお住いの37歳男性(職業訓練施設通所・クラウドワーカー)が2023年10月頃に読んだ『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約し、まとめております。
書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になる方は、是非参考にしてください。
目次
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』の購入きっかけ
紀元前1世紀頃に既に自動ドアが存在したとのこと、また聖水を販売する自動販売機があったとのことです。
これがどういう意味なのか、好奇心から考え、読んでみたいと思いました。
聖水とは何を示すのか、その点も気になりました。
さらに、その聖水を自動販売機で販売していたのであれば、古代ギリシャの技術力は非常に高いと感じました。
一方で、自動ドアと聞くと、電気を使い人をセンサーで検知して扉を開くものを想像しますが、2000年前にどのような仕組みで自動ドアを作っていたのか興味があり、この本を購入しようと思いました。
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』の概要
上記の2000年前の自動ドアについて説明します。
これは祭壇に備えられた篝火を燃やすと、空気室と水槽で圧力が変化し、重りが作動して扉が開く仕組みだと考えられます。
本書では、古代の人々の英知で作られた驚くべき装置の数々を紹介しています。
その説明は分かりやすい図を用いて行われています。
また、紙や印刷技術、火薬、羅針盤の発明などについても取り上げています。
それによれば、紙は1世紀頃、火薬は10世紀頃には既に使用されていたとのことです。
そして羅針盤は古くから地相占いに使われていた、という知識も得られます。
方位磁石がどのようにして地相占いに使用されていたのか、その理由が気になった方も多いのではないでしょうか。
本書は、そうした知的好奇心が湧くような情報が溢れており、読む者を惹きつける内容となっています。
基本情報
- 著者:小峯 龍男
- JP-eコード:06A0000000000506948W
- 出版社:講談社
- コンテンツ公開日:2022年08月05日
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』のYouTube(ユーチューブ)解説
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』について、YouTube(ユーチューブ)で解説している動画を探してみました。
残念ながら、本書を詳しく紹介しているYouTubeチャンネルは見つかりませんでした。
そのため、本ブログで要点をまとめ、お伝えしたいと思います。
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』から学んだことの要約とまとめ
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』から私が学んだポイントは3つの内容です。
私が学んだこと
- 2000年前に聖水の自動販売機が存在していた
- 自動で飲み過ぎを知らせる盃の存在
- 半分しかない歯車の動作方法
本書では、様々な知識が紹介され、その断片に触れるだけでも相当面白いです。
例えば、温泉というと、限られた場所にしかない小さなものを想像する方が多いと思いますが、2000年前に存在したカラカラ大浴場は、220メートル×114メートルの浴場施設です。
現在私たちが使用している温水プールが広くても50メートルですから、この施設の大きさには驚かされます。
なんと一度に1600人が使用することができたとのことです。
電気もなかった時代にそれを作り上げた当時の人々の技術力はすごいと思います。
この本では、古代ローマの大浴場が紹介されていますので、見てみてください。
2000年前に聖水の自動販売機が存在していた
2100年前の古代ギリシャには自動販売機がありました。
驚いたことに、そこで売られていたのは聖水でした。
アレキサンドリアのヘロンという人物が著した書物で紹介されている聖水の自動販売機は、5ドラクマ硬貨を入れると聖水が出てくるという仕組みでした。
このことから、当時の人々がどのように感じたのかを想像するのは難しいですが、私は驚きました。
自動で飲み過ぎを知らせる盃の存在
古代ギリシャ時代、2100年前には高度な技術を用いた盃が作られていました。
この盃にお酒を注ぎすぎると、底からお酒が流れ出てしまう仕組みでした。
これはあまりにも人間という存在の本質をよく表していると思います。
人間というのは、所有できる量が決まっています。
財産は多い方が良いですが、日常生活で持ち歩ける量は、自分自身で適切に判断することが必要だと思います。
半分しかない歯車の動作方法
本書で紹介されている面白い装置に半分しかない歯車があります。
中世ヨーロッパ16世紀に登場したこの技術は非常に興味深いです。
時計回り、反時計回りと動きを繰り返し、その力学からなる動きが面白いと思います。
半分しかない歯車の動きに似て、私たちは日々様々な考えを巡らせます。
歯車というのは、ある意味で人間の性質をよく表していると感じました。
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』の感想
ここで紹介されている技術の数々は非常に優れたものが多く、読んでいて面白かったです。
エオリアの球はジェットエンジンの原型と言われ、古代ギリシャで紀元前1世紀頃に作られていたとのことです。
また、四輪駆動車は中世ヨーロッパの15世紀頃には完成していたそうです。
ただし、時速180メートルしか出なかったため、実用性はありませんでした。
人間の歩く速さが時速3キロ程度であることを考えると、時速180メートルという速度は実用性がなさ過ぎて逆に面白いと思いました。
現代の機械の構造の基本は4世紀頃までにほとんど確立されていたと述べ、新しい動力源を見つけたり、効率を向上させることが今後の使命であるという話を聞いたことがあると著者は述べています。
ジェットエンジンが約2100年前に開発され、四輪駆動車の原型が15世紀に存在していたと聞くと、その意見も確かにそうかもしれないと感じました。
さらに、著者が紹介する技術の数々にはほとんど外れはなく、38個それぞれが楽しめました。
『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』の評価や口コミ
他の方が『古代・中世の超技術38 「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
小峯 龍男 の 図解 古代・中世の超技術38―「神殿の自動ドア」から「聖水の自動販売機」まで (ブルーバックス) https://t.co/TJFn6yEtme @さんから
— ブルーバックス 紹介 (@bluebacksforyou) April 2, 2023
古今東西の古代・中世の驚きの技術の数々が紹介されている本です。お酒などを一杯に注ごうとするとみんなこぼれてしまう杯から日本の和時計、世界的に有名なピラミッドやモアイの建造技術まで幅広く紹介されていて面白いと思いました。てこや歯車など、現在でも広く使われている技術を昔の人々も使いこなしていたことに驚かされました。昔の技術の再現実験なども紹介されていたのも興味深かったです。ところどころ専門的な記述も見受けられるので、メカの予備知識があればもっと楽しく読めそうだと思いました。余裕があれば同じ著者の『図解・わかるメカトロニクス』も合わせて読むとよいでしょう。
Amazonの口コミ
文章がよみにくい。もうすこし簡潔な文章にできなかったのかなあ?ブルーバックスはあたりはずれがあると思うが、編集がなんとかできないのか
Amazonの口コミ
自然エネルギーを利用して人々に感動を与えた事、今に続く技術が有った事に興味津々です。
Amazonの口コミ
一番興味深かったのは、たたらは、ふいごを使って、鉄を鍛えていくことについてです。ふいごも、古い技術です。いろいろ技術がたくさんでてきて、原理についての分類があるとうれしかったかもしれません。
Amazonの口コミ
「聖水の自動販売機」や「揚水ポンプ」、果ては「ピラミッド」まで、現代まで語り継がれている40近くもの技術について解説した本です。紹介されている技術は、圧縮空気で水を噴射させる(ヘロンの噴水)、地面の振動を埋設したパラボラ形状の盾に共鳴させる(古代の音響システム)など、自然の力を利用したものばかりで、強力な動力源を使わないものばかりです。一見どこにでもありそうな工作物の中にも、改めてみると実は「なるほど」と頷いてしまうような仕掛けがかくされていることが、この本にはたくさん示されています。特筆すべき点は、筆者が分析した古代・中世の技術のうちいくつかを、牛乳パックなどの身の回りの素材を用いて再現しているところです。この再現例を見ながら、工作をしてみるとおもしろいとおもいます。なお、この本は、技術を捉えた筆者の一見解であって、原理の「正解」が正確に示されているとは限らない点には注意する必要があります。むしろ、<実はこうなのではないか><仕組みをこう変えればもっとスムーズに動くのではないか>と考えながらさまざまな技術に触れることに、この本の醍醐味があるとおもいます。
Amazonの口コミ
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
複数の歯車を組み合わせて作られる歯車列と呼ばれる仕掛けからは、様々な動きを作り出すことができます。
さらに、歯車を組み合わせることで、数え上げたり、計算を行うことも可能なのです。
ヘロンはこの歯車列を用いて距離を測定する装置を考案しました。
これは古代ギリシャのタクシーメーターとも言われています。
歯車は様々なものと例えられます。
論理回路も歯車の組み合わせであり、社会を一つの生命体と見立てれば、それを動かす人々一人一人がその歯車と言えるでしょう。
多くの歯車がうまく噛み合うとき、大きな力が発揮されます。
これは同時に、我々の社会が想像を超えた手際の良さで歯車一つ一つを効率的に回転させていることを示しています。
その構造は誰一人として正確に捉えることはできませんが、それでもきちんと動いています。
著者が紹介する技術の数々を通じて、人間の生み出す知性の豊かさと、その単純な面白さを感じることができました。
次に読む予定の本は『力の結晶 中村天風真理瞑想録』です。
『古代・中世の超技術38』は物理的な技術力に根差した内容である一方で、『力の結晶』は中村天風氏が述べる仏教的な考え方に基づいた内容です。
世界を異なる視点から探求する一冊だと感じています。
「古代・中世の超技術38」が2000年以上前の物理に焦点を当てた本であるなら、『力の結晶』は2600年続く仏教の真髄を扱っている本です。
2600年間で人類が何を生み出してきたのかを学びたいと考え、この本を次に読むことにしました。