神奈川県にお住いの38歳男性(メーカー系(素材・医薬品他):研究開発)が2022年7月頃に読んだ『ペアレントクラシー-「親格差時代」の衝撃-』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
『ペアレントクラシー』を購入したきっかけ
親ガチャという言葉が流行しています。
この背景には親は選べないが、どの親として生まれるかが人生を決定してしまう側面があると思うのですが、なぜこれほど親の影響力が大きくなってしまったのか、その原因を知りたかったため購入しました。
また自分自身にも小さな子供がいるので、教育現場でどのようなことが起きているのか、親の影響力が強くなった状況を現在の教育界や政治がどのように捉えているのか、どのように改善していくつもりなのかを知りたいと思い購入しました。
『ペアレントクラシー』の概要
ペアレントクラシーとはペアレント=親とデモクラシーなどのクラシーを組み合わせた造語であり、親の影響力が極めて強い社会という意味です。
明治維新以降の日本では、身分がその人の人生を決める社会でしたが、徐々に能力で決まる社会へと変化してきましたが、その人の人生を決める要因が親へと変化してきています。
このようなペアレントクラシーの一因は学校に市場原理を持ち込んだことによります。
新自由的主義的教育政策は出来る子を伸ばす反面、格差の助長し、家庭環境の悪い子供を引き上げる教育界の努力を否定してしまっています。
親の影響を減らしたり、家庭環境の悪い子を経済的、文化的に支えることがペアレントクラシーの解消に欠かすことができない要素としてますます重要になっています。
『ペアレントクラシー』の基本情報
基本情報
- 出版社:朝日新聞出版
- 著者:志水 宏吉
- 定価:本体810円+税
- 発行年月:2022年07月13日
- ページ数:256ページ
- ISBN:978-4-0229-5182-3
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23666
『ペアレントクラシー』の目次
目次
- 第1章 ペアレントクラシー化する社会―何が問題か
- 第2章 追い詰められる子どもたち
- 第3章 不安のなかの親
- 第4章 戸惑う教師たち
- 第5章 四面楚歌のなかの教育行政
- 第6章 脱ペアレントクラシーへの道
『ペアレントクラシー』のYouTube(ユーチューブ)
『ペアレントクラシー』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
残念ながら本書を紹介しているYouTubeチャンネルはなかったため、本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。
『ペアレントクラシー』から学んだことの要約とまとめ
『ペアレントクラシー』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- 能力主義から親主義への移行が起きている
- 親主義増加の原因は教育の市場化
- 親の親の影響を減らすためには事実を知ることが重要
ペアレントクラシーが発生していることは二世化の増加、育ちの良さが重視されていること、格差の拡大などから見ることででき、このような状況をは自由主義的な発想を教育特に、公教育に持ち込んだことによって起きていることを知ることができました。
親が教育に熱心でなかったり、貧困に苦しむ家庭だけでなく、教育熱心で裕福な家庭の子も多様な選択肢と両親による期待や無数の習い事などで追い詰められていることも紹介されています。
能力主義から親主義への移行が起きている
明治維新によって個人の人生を身分によって決まった社会から能力で決まる社会へと変化しました。
能力を高める方法として教育の重要性が叫ばれ、義務教育の推進や高等教育の一般化が進んできました。
しかし、能力を高めるための教育において親の影響が非常に大きくなるペアレントクラシーが進行し、格差の拡大して閉まっています。
このような状況が親ガチャという言葉を生み出すこととなってしまっています。
一度開いた格差は次世代にも受け継がれてしまうため、なかなか是正することができません。
親主義増加の原因は教育の市場化
なぜ、これほどペアレントクラシーが進んでしまったのか。
その要因は新自由主義的な発想を教育界にも持ち込み、市場化が進んだことが大きな要因です。
例えば学区を撤廃し、自由に通う学校を選ぶことになれば、教育に熱心な親は教育の良い学校に通わせるようにしてしまいます。
このような流れが二極化をうみ、さら二極化が進み格差は固定されてしまいます。
市場原理の持ち込みは下層の子を引っ張り上げるような仕組みや取り組みに消去的であり、格差を覆す機械は少なくなります。
親の親の影響を減らすためには事実を知ることが重要
親の影響力を小さくするためには、市場原理の影響を小さくすることが必要ですが、そのためには親の影響力が大きいことを理解することが必要です。
このような視点を持たずに成長すれば実際には親の経済力や教育熱心さが能力の有無を分けているにも関わらず、全てが自分の努力であると感じてしまう可能性があります。
恵まれた社会層の人々は社会をリードする立場につく可能性が高く、そのような人々に公正とは何かという公正の原理を会得させることは重要あることがわかりました。
『ペアレントクラシー』の感想
教育格差が広がっていることはニュースなどで知っていましたが、これほど大きくなっていること、その原因となる公教育への新自由主義の進出が大きく進んでいることに驚きを感じました。
またそれらへの対策として、下層の子供たちへの取り組みが重要であることも知ることができました。
ただ、大阪大学の学生のように社会的に上位の子供たちが親の重要性と格差の問題意識をしっかりと持っていることを知ることもでき心強いなと感じました。
『ペアレントクラシー』の評価や口コミ
他の方が『ペアレントクラシー』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
「「親ガチャ」と形容されるほどに、子どもの運命は、どの家に生まれるかという条件に左右されるようになっている。そうしたペアレントクラシーの実態に対して、新自由主義と呼ばれる教育政策が「火に油を注ぐ」形で作用してしまっているということである。」(『ペアレントクラシー』朝日新書、P49) pic.twitter.com/XWgUJiseJy
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) August 26, 2022
読んでいて無性に胸がざわつく本だ。
特に3枚目。東大も慶應も、必死に這い上がって来たあくせく泥臭い人間は今や少数派で、もともと余裕のある、育ちも人柄もよい人間で溢れている…。僕もいつも乗り越えようのない格差を痛感する。#ペアレントクラシー pic.twitter.com/vX79PaJ0uX— ちひろきゅん (@chr_kyun99) July 19, 2022
子どもの能力差は、実は意欲差だったりしますが、学校教育ではその格差は埋められないのが現状かと。
当事者でもあるので、非常にリアルな内容です。#ペアレントクラシー pic.twitter.com/CfhM1wqYOf— 切格瓦拉 チェゲバラ(別名 たいぺい) (@joue41442766) September 1, 2022
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
ペアレントクラシーがどのように起き、なぜ起きているのかを知ることができたので、少しでも公教育の充実を訴える政治家に投票するなどの行動をしたいと感じました。
また自分の子供がどのような立場になったとしても、その立場が自分の努力だけで成し得たものでないこともできるかぎる伝えたいなと思いました。
公教育が充実し、出来る子は家庭の環境に関係なく、成長し、できない子も掬い上げる社会が実現できると良いなと思いました。