大阪府在住の28歳女性(サービス系:メガネの販売)が2022年10月頃に「U-NEXT」で視聴した映画『浮き雲』のレビューをご紹介します。
映画の感想や見どころをネタバレを含む形で解説しますので、映画を視聴する前にその面白さを知りたい方や、評価や口コミが気になる方は参考にしてください。
目次
映画『浮き雲』を見ようと思ったきっかけ
インスタグラムで、洋画紹介のアカウントがオススメしていたのがきっかけです。
古風で未見の映画、そして何やらホラー要素が含まれそうな画像が目を引きました。
内容を確認したところ、「夫婦が困難な生活から立ち直っていく話」だと記載されていました。
どのような困難なのか、また、ホラー要素の画像はどのシーンから切り出されたのか、気になり映画を観ることに決めました。
さらに、フィルマークスのアプリでの高評価も、映画を観るきっかけの一つとなりました。
映画『浮き雲』の内容
裕福とは言えない中年夫婦が仕事を失ってしまいます。
妻のイロナはかつてレストランの給仕長でしたが、年齢が30代後半ということもあり、再就職先が見つからない状況です。
そんな中、見つけ出した仕事先は、名もない小さなバーのウェイトレスでした。
一方の夫、ラウリは市電の運転士の仕事を失った後、自身が耳に障害を持っていることが判明します。
その結果、運転免許証まで取り上げられ、再就職どころか新たな仕事を見つけることすらできません。
ギャンブルでお金をつぎ込んでしまい、どん底の生活を送る中でも、夫婦はお互いを支え合いながら這い上がっていく様子を描いた映画です。
静かで切ないストーリー展開ではありますが、それでもどこか応援したくなる勇気を与えてくれる作品となっています。
作品情報
- ジャンル:ドラマ
- 製作国:フィンランド
- 製作年:1996年
- 公開年月日:1997年7月19日
- 上映時間:96分
- 製作会社:スプートニク・オイ作品
- 配給:ユーロスペース
映画『浮き雲』の見どころをネタバレ覚悟で解説
映画『浮き雲』の見どころは3つに分類できます。
この映画の見どころ
- 中年夫婦の解雇時の瞬間の切なさと、それを乗り超えた時の盛り上がり
- 妻のイロナが再就職の面接での会話の独特な面白さ
- 妻のイロナの職場の同僚との関係性とその反応
中年夫婦の解雇時の瞬間の切なさと、それを乗り超えた時の盛り上がり
解雇の仕方には驚きました。
夫はトランプを従業員が引き、数字が一番低いものが解雇対象となるルールで、運悪く低い数字を引いてしまい解雇されました。
妻のイロナは、支配人がレストランのローンを返せなくなり買収されるに至った際に、退職金も失い再就職先も見つからないまま解雇されました。
これらの事情から、その解雇の仕方は無情だと感じました。
妻のイロナが再就職の面接での会話の独特な面白さ
面接のシーンは堂々とした態度での発言から、この映画のコメディ要素が演出されています。
面接官とイロナの真剣な会話とその内容のギャップが笑いを誘います。
しかし、このシーンからは学歴や経歴よりも年齢が重視される現社会が感じられます。
これは全世界で共通した問題であるかもしれません。
妻のイロナの職場の同僚との関係性とその反応
イロナが勤めていたレストランのシーンが映画の序盤に出てきます。
そこでは、店の酒を飲み、包丁を振り回して危険な状態のラユネンが出てきます。
このシーンは大柄なスタッフでも止められない状況を示し、小柄なイロナが止めることで彼女の勇ましさに驚かされ、また微笑ましさも感じます。
その後のシーンでラユネンが医療費を支払う様子からは、レストランのスタッフの関係の良さを感じられます。
映画『浮き雲』を見終わった感想
インスタグラムで紹介されていた画像がどのシーンかはっきりと理解できました。
また、ホラー要素があるという印象を持っていた画像が実際には「2人の新しい人生を迎える」シーンだったことに気づきました。
最初は静かで切なさを感じ、ずっと観続けるのが苦痛だと思っていました。
しかし、思わず笑えるシーンや人間味溢れるシーンも多く、飽きずに視聴できました。
最後に主人公が自身のレストランを開業したシーンは、映画の最初から感じていた切なさから一転して成功の瞬間を描いており、これには感動しました。
この映画の監督に興味を持ち、他の作品も観たくなるほどのファンになりました。
映画『浮き雲』で印象に残った名言
映画『浮き雲』を見て、特に印象に残った名言です。
「イロナ」のセリフ
「あなたは何歳ですか?」
映画『浮き雲』の評価や口コミ
他の方が映画『浮き雲』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
映画初めは成瀬巳喜男『浮雲』。相手を傷つけることで振り向かせたい言葉が、倍になって自分に返ってきたり、それを言うことで、むしろ自分が立ち直れないくらい深く傷ついてしまう苦しさ。高峰秀子を愛さずにいられない。というわけで、『浮雲』と『ポンヌフの恋人』。 pic.twitter.com/WZKlN2DJP5
— 宮代大嗣 / Daishi Miyashiro (@maplecat_eve) January 3, 2022
国立歴史民俗博物館
昭和
佐倉連隊兵営 模型
映画『浮雲』セット「ゆき子の部屋」 再現
「ゴジラ」立像
テレビCMの戦後史#博物館 #昭和 #日本史#写真好きな人と繋がりたい#iPhoneで撮影 pic.twitter.com/u7A1QqsArl— @あつしです。 (@t_fawkik) February 13, 2021
『浮き雲』
電車の運転士である夫と老舗レストランに勤める妻。同時期に職を失い不況の憂き目に遭う。どんなに足掻いても度重なる不運。独特の”間”でいつ何時もユーモア滲ませるカウリスマキならではの映画作りが、巷間でつましく生きる人を温かく照らした名作。常連俳優の存在感が作品世界豊かにする pic.twitter.com/PrGlAOlScx— ヌーン・ムーン (@noonmoonpoem) July 8, 2020
遅れましたが昨日は加東大介氏誕生日でした。社長シリーズや「用心棒」のヤバい奴等コミカルな役から「浮雲」のガハハ親父「七人の侍」の律儀な浪人「秋刀魚の味」の部下キャラwに「陸軍中野学校」の上司等で日本映画の脇を固めました。自身の体験を映画化した「南の島に雪が降る」も素晴らしい。 pic.twitter.com/RHSrJEMhU9
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) February 19, 2021
日本映画の名作中の名作。七人の侍、東京物語、そして浮雲。日本の三大名作と勝手に決めている。
Amazonの口コミ
主人公の幸田ゆき子を高峰秀子、富岡を森雅之が演ずる。二人は南方で農林関係の役人で不倫関係にあり、日本に戻ったら「日雇人夫をしてでも二人で生きよう」と約束をしていた。という前振りがあります。しかし、富岡は終戦後に様変わりした日本を目の当たりにして退職、モチベーションの落差も描かれています。浮ついた気持ちも後退し、待っていてくれた家族のために考えるようになった。約束を反故にされた格好になったゆき子は闇市で米兵にナンパされる。富岡が探し回りお金を工面して持ってきたが、パンパンのような風貌のゆき子に「もう遅いわ」と言われる。いわゆるオンリーさんになっていた。寂しさよりも、食うや食わずの生活を余儀なくされていたという現実問題がありました。みんな寂しくて、それを受け止めるのが夜の女と、この映画は表現しています。富岡にしても米兵にしても都合よく女に甘えるが、富岡は家に帰るし、米兵は国へ帰る。しかし、ゆき子の背景生い立ちには、義理の兄に三年間も弄ばれた過去があった。いつも誠意を尽くす気持ちを持ちながらも力及ばず女へ甘える富岡。太宰治のようでもある。少数派であったとしても、戦後の不安定な時代の世相を表しているのかもしれません。もう一人の不倫相手を演じた岡田茉莉子も独特な個性を放ってます。その出会いの場所、伊香保温泉石段街には、この映画のお土産のような風情があります。腐れ縁だったのか運命に逆らえなかった二人。儚くも、ゆき子の生きた証が強く残る映画でした。続きを読む
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戦後の荒廃した風土と男女の不倫が重なり、重ぐるしい恋愛秘話。
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この「浮雲」は若いころ映画会かなんかで見ており、あまりおぼえていなくとも優れた映画なんだろうという気がしていた。~ちなみに、その時の今につづく記憶は「屋久島」の雨に身も心も?覆われる場面、高峰秀子さんの名前を知っていたが、味のあるー森雅之という俳優さんを深く記憶した。ここのところ最近の「サブスク」という方式にて、よき日本映画もずいぶん手軽に見れる。映画見て歩きは?私のニックネームにあたるー佐田啓二さんから始まりー原節子さん、小津監督、この成瀬監督等いろいろ彷徨い、現在、三十本近く、見てきた。こうしたところで、さて世間でいうところのベストテンはどうか?今ごろになり当たってみてのことです。この「浮雲」は必ずベスト三くらい内につけています。再度、見なければと鑑賞。今、見終わったところですが、ダーツ的に見ていた映画の他に良い映画の数々ににめぐりあっていたので・・再度の「浮雲」は・・そうでもなかった、気がした。少し盛り上がりに欠ける。。私の鑑識眼の劣化でしょうか。。たしかに小津安二郎監督は>「俺にできないシャシンは溝口の『祇園の姉妹』と成瀬の『浮雲』だけだ」と語っている。~とのことですが。。成瀬監督ご本人の言葉を見ましょう、・・自分では「浮雲」がベストワンではないと言われています。~そうでしょう、私も高峰さんではない女優さんだけれど内容は「めし」や「驟雨」などの方が(おっとどちらも原節子さんか)この映画よりよかった。ともかく、1955年56年(小津さんが理由があり55年は撮れなかったので) の年は他の監督さんの花揃い素晴らしい映画が満ちています。成瀬監督はこの「浮雲」、小津監督「早春」、川島雄三監督「あした来る人」「州崎パラダイス~」(ベスト入っています) 他二本。市川崑監督「青春怪談」、木下恵介監督「遠い雲」(高峰さんはこちらおすすめ)「野菊のごとき~」他二本。黒澤明監督「生きものの記録」。。それと、なぜ名前があがらないか 田坂具隆監督「女中ッ子」「乳母車」。(たまたまこの年にはなかった監督には失礼)ながくなりましたが、つまりこのようなよい映画を抜いてー日本映画のベスト三?か?続きを読む
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この事態で黒澤ばかり見ていたので、流石に暑苦しくそれでは高評価のナルセでも見てみるか、と思ってクリック。amazon primeは古典に関してはnetflixよりずっといい。映画を見たら、まず老舗の映画サイトで名匠巨匠天才秀才名だたる名コメンテータ方々のコメントを全部読む。20年も付き合っていれば誰がどんな感じのことを言うか大抵想像できる。予想外の評価があったりしてそれも面白い。いや大変勉強になる。この映画も見た直後は、なんだ森は太宰じゃん、秀子のたまご顔、程度のコメントしか思い浮かばなかったし★3つだった。それが評価あがっちゃうんだからコメンテータの力は恐ろしい。以前ジャンジャンで淀川長治とおすぎのシネマトークを生で見たことがある。二人の話の方が当の映画よりずっと面白かったのと同じだ。戦後風俗の中での男と女って話だけど、最後で男が女の亡骸に泣きつく、それはないだろ、と思った。あの宿舎のまかないのおばさんの娘とか口説いていなくっちゃ。そこが話での不満。名台詞満載だがいずれも日常会話で使う言葉でこれは原作がうまいんだ、きっと。コメンテータの方がそう書いている。wikより信頼できる。20年前wikは今ほど栄えていない。もっとも私は話にあまり興味がない、というか映画でのストーリーや登場人物の絡みに興味がない、というよりわからない。そこでどう見せるか、という画面の作りに関心がある。あっと驚くトリッキーでいて自然なシーンが好き。びっくりするけど、そうだよなー、と思える画面。植物園の温室みたいな仏印の官舎、最後の屋久島の宿舎(入り口付近を横から取った)セット感、なんかは頑張ったなーと思うだけでカンドーできなかった。伊香保温泉はよくあの坂道感を出したなー、と思った。照明と背景を完全にコントロールできないロケはしないんだな、とも。アパートの長屋は道路の方が明るい逆光で手前が暗く人物がシルエットになる。集合の流しで隣人の女が米を研ぐシーン。トイレは共同でもちろん廊下の北側の隅にある。この作りも完璧だった。役者は森雅之。この映画での笑顔が思い浮かばない。そんな男と腐れ縁の高峰秀子。ゆで卵見たいな顔の肌でとても肺病病みのやさぐれに見えない。それがよかったかも。吉田喜重の妻になる岡田茉莉子が若くてすごい。すぐに手を出す森雅之。それを誘うような岡田。この辺その道のもの同士のあ・うんの呼吸。日常会話でこの手の関係を自然に表しているところは当たり前すぎて気にもとめなかった。あんまり人前でこう言う話をするもんじゃないという私の倫理観は庶民のものだね。三鷹市が太宰を地域振興に使っているのがいまだに理解できない三鷹在住40年のじじいの繰り言でした。続きを読む
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みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
映画『浮き雲』の感想や見どころをネタバレ覚悟で解説いたしました。
もしご覧になられた方が「面白い」と感じたのであれば、ぜひご覧ください。
次にご覧になりたいと思っている映画は『RAW~少女のめざめ~』です。
こちらはベジタリアンの少女がカニバリズムに目覚める話となっております。