大阪府にお住いの26歳女性(金融・保険系:営業事務)が2021年11月頃に「kindle」で見た小説『悪いものが、来ませんように』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『悪いものが、来ませんように』を読もうと思ったきっかけ
もともと筆者である芦沢央さんの別の作品『許されようとは思いません』を読んだことがありました。
その作品はどんでん返しが素晴らしく、私自身もまんまと騙されたのですが、普段はミステリーを読んでもある程度結末を予測できますが、あそこまで自分で推測できなかった結末は初めてでした。
それが悔しかったので、「次の作品こそは絶対に騙されないぞ!」という強い意志を持って購入したのがこの『悪いものが、来ませんように』です。
小説『悪いものが、来ませんように』の内容
助産院で事務員として働きながら、自身も不妊治療をしている主人公紗英と、夫や母とうまくやっていけずに苦しみ、それでも必死に子育てをしている奈津子は、お互いを心のよりどころにしています。
読み進めていても少し異常とまで言える2人の関係がある事件をきっかけに変わっていきます。
事件の真相は?それがどう2人に関係しているのか?ラストに2人の関係性の違和感や事件についての詳細が分かってくると、もう一度最初から読みたくなるはずです。
小説『悪いものが、来ませんように』の作品情報
作品情報
- 出版社:角川書店
- 著者:芦沢 央
- 定価:本体600円+税
- 発行年月:2016年08月25日
- ページ数:304ページ
- ISBN:978-4-0410-4442-1
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.kadokawa.co.jp/product/321603000024/
小説『悪いものが、来ませんように』のあらすじ
助産院の事務に勤めながら、紗英は自身の不妊と夫の浮気に悩んでいた。誰にも相談できない彼女の唯一の心の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も母や夫と理解し合えず、社会にもなじめず紗英を心の支えにしていた。二人の強い異常なまでの密着が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺体で見つかったのだ。これをきっかけに二人の関係は大きく変わっていく! 一気読みが止まらない、そして驚愕のラスト! 「絶対もう一度読み返したくなる!」「震えるような読後感!」と絶賛された傑作心理サスペンス!
小説『悪いものが、来ませんように』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『悪いものが、来ませんように』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- リアルすぎて怖い紗英と奈津子の悩み
- 共依存のように見える2人の関係性の真実
- だれが紗英の夫を殺したのか?
リアルすぎて怖い紗英と奈津子の悩み
主人公の紗英は不妊治療中ですが、自身は産婦人科で働く事務員です。
患者さんから「赤ちゃんを産んだことがないのに。」といったような言葉をかけられ、さらにうまくいかない治療で心がすり減っていきます。
また、夫が育児に積極的ではないためひとりで子育て中の奈津子も、自分の子供には母のように接したくない、と悩んでいます。
この悩みは、非常にリアルで、女性なら共感する部分が多いと思います。共感すればするほど物語に引き込まれていきます。
共依存のように見える2人の関係性の真実
紗英は奈津子に髪の毛を切ってもらっっていたり、お互いに自宅を行き来したりする2人について、友人にしてはあまりにも仲良すぎるんじゃないか?と感じます。
しかし、共依存なんだろうなと深く気にせず読み進めてしまうと、まんまと引っかかります。
実は、2人は近年よく聞くようになった「仲の良すぎる母娘」だったのです。
それが分かれば、今までの違和感の正体が判明しますが、この物語のどんでん返しはこれだけではありません。
だれが紗英の夫を殺したのか?
紗英は夫を殺害しようとします。
そばを茹でた煮汁で作ったお茶を冷蔵庫に入れておき、そばアレルギーの夫が飲むようにしたです。
紗英は、ちょっとした嫌がらせ程度の気持ちでした。しかし、夫は死んだ状態で発見され、さらにこの殺害事件で逮捕されたのは、奈津子でした。
奈津子は、紗英がお茶に除草剤を混ぜたのだと勘違いして、紗英のために自分が犯人であると嘘をついたのでした。
この娘を守る奈津子の姿勢を見て、紗英は少しずつ変わっていきます。
小説『悪いものが、来ませんように』を読み終わった感想
読んでしばらくは放心状態でした。
絶対に今回こそは騙されないぞ!と思っていたのに、まんまと騙されました。でも結末が分かってスッキリしたかと言えばそうでもありませんでした。
紗英と奈津子の関係性が分かってから、これはもしかしたら自分にもあり得ることなんじゃないか?と感じるようになり、じわじわと怖さが込み上げてきました。
ホラー小説のような怖さではありませんが、女性にとっては怖く感じるのではないだろうかと思います。ミステリーですが、少し考えさせられる内容だったと思います。
小説『悪いものが、来ませんように』で印象に残った名言
私が小説『悪いものが、来ませんように』を読んで特に印象に残った名言です。
「紗英」のセリフ
たとえば、いますぐわたしに子どもができれば。そうすればみんなに祝福されながら仕事をやめることができるのに
小説『悪いものが、来ませんように』の評価や口コミ
他の方が小説『悪いものが、来ませんように』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
#読了
悪いものが、来ませんように/芦沢央初読みの作家さん。
途中から違和感を覚え、所々戻って読み返したりしたものの、最終的には作者にまんまとしてやられる結果に。
異常なまでの共依存関係についてはイマイチ理解しきれなかったが、小説ならではの文字トリックはまずまず楽しめました。 pic.twitter.com/a6Hnt6NcFa— まりもっち@読書垢 (@marimo8989) March 17, 2022
芦沢央『悪いものが、来ませんように』
賛否両論ありますが個人的には良作でした
どんでん返しはなんとなく想像つきましたが読み返したくなります無理があるというレビューも見られましたが
その前提ありきで伏線回収されてるので楽しめました#読書好きな人と繋がりたい#読了 pic.twitter.com/S5r7uzGzIX— たかひでの本棚 (@tkhd_hondana) January 25, 2021
「悪いものが、来ませんように」#芦沢央
不妊と夫の浮気に悩む紗英。
育児と母、夫の事で悩む奈津子。
ふたりはお互いを心の支えにしていた
供依存、不妊、母と子、夫婦のありかた等
様々な問題を女性ならではの視点で問いかけている。#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/6DNGLLX7lh— 帆波 (@homami360) October 6, 2021
おわりに
私が小説『悪いものが、来ませんように』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『汚れた手をそこで拭かない』です。
同じ作者である「芦沢央」さんの傑作独立短編集で第164回直木賞候補作でもあったので、ミステリー小説好きとしては気になっています。