東京都にお住まいの30歳男性(IT・通信系:Webマーケティング)が2022年6月頃に「紙の書籍」で読んだ小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』のレビューをご紹介します。
小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説していますので、小説を読む前に面白さを知りたい方や評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』を読もうと思ったきっかけ
公式Twitterで最新刊が発売されるたびに興味が湧いていました。
その中で、アニメ化が決定したとの報道がありました。
特に、アニメでは原作1巻分を2クールに分割して全話描き切るスケジュールが組まれています。
各アニメ配信媒体でも配信が予定されていたため、アニメ視聴の前に原作の内容を把握することにしました。
この作品は、元々少年少女のボーイ&ガール物で、多数の戦闘機が登場するロボットアクション物との情報が興味を引きました。
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』の内容
帝国軍が誇る無人戦闘機《レギオン》の脅威に晒されながらも、共和国は『86』の活躍により、この脅威に立ち向かうことができています。
新たに部隊の指揮官として配属が決まった少女、レーナは、戦争の終わりが近づく中、希望に満ちた心を胸に隊員たちと対等な関係を築こうとしますが、最前線にいる者たちとの確執はなかなか消えません。
それでも絶えず交流を持ち続けるレーナは、隊長格のシンと少しずつ言葉を交わすようになり、彼らのために指揮官として働く決意をします。
残酷な真実が明かされ、一度は心が折れそうになるものの、レーナはシンたちと共に戦うことを決心します。
その戦いの果てに待つのは彼らとの永遠の別れですが、彼らから託された想いを胸に、レーナは絶望に満ちたこの世界に挑み続ける覚悟を決めます。
自分が先に逝ってしまった彼らに追いつくため、その果てに何が待っているのか確かめるためです。
作品情報
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説する小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』の読みどころは大きく3つあります。
この小説の読みどころ
- 共和国が誇る『無人機』の真実
- 終わりが近付いている《レギオン》との戦い、それとは反して希望を見出していない『86区』の少年兵が語る残酷な真実
- 自分に想いを託してくれた少年兵たちの、その最果てで迎えるもの
共和国が誇る『無人機』の真実
帝国に対抗し、共和国が開発した無人機は『有人機』です。
その無人機が、なぜ無人機と呼ばれるのか、その理由は初めに語られます。
「──自分とは違う肌色の者、髪色の者、瞳の色の者。
彼らを人の姿をした豚と称すならば、そう扱うのも確かに間違いではないかもしれない」と書かれています。
共和国は自分たちとは異なる人種の人々を「人の姿をした家畜」と称し、退路を地雷原で塞ぎ、強制的に《レギオン》と戦わせています。
彼らは人間ではないから戦死者はいない。
戦死者がいないから弔うべき死体もない――そんな冷酷な理論で、共和国は戦死者たちの遺体を放置しており、彼らを人間として扱うことはありません。
終わりが近付いている《レギオン》との戦い、それとは反して希望を見出していない『86区』の少年兵が語る残酷な真実
実は帝国は既に国内で起きた革命により滅亡しています。
そして《レギオン》には数年おきに演算処理装置を更新しなければ活動停止状態に陥るという問題を抱えています。
それゆえに共和国は数年以内には《レギオン》全機が活動停止状態になり、戦争は終わると結論付けました。
事実、観測データからも年々《レギオン》の数は減っています。
しかし、最前線にいるシンはそれが間違いであること、そして彼にしか見えない真実をレーナに告げます。
《レギオン》は活動を続けるために必要な道具、すなわち新たな演算処理装置を得ていると。
それは戦場に残された戦死者の脳を利用する、という恐ろしい手段です。
自分に想いを託してくれた少年兵たちの、その最果てで迎えるもの
《レギオン》の軍勢に立ち向かう決死行。
その「死ぬまで進軍を止めない」という命令により、シンたち少年兵はついに行方不明となります。
これは共和国のレーダーでも感知できない、絶望的な状況です。
シンたちの想いを継いだレーナは指揮官として戦い続け、他国との協力の結果、シンたちが戦った地域を奪還します。
そしてそこでレーナは目的を果たすため、共同戦線を組んだ他国の軍人と面会します。
そしてその軍人は、「こうして会うのは初めてですね、少佐」と話します。
その声に、レーナは再会を喜びながらも、彼女に対する労いの言葉を投げかけます。
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』を読み終えた感想
無人機の設定や、特定の人種の人間しかいない国を平等に描きながら進行する物語は、終わるとされていた《レギオン》との戦いに隠された真実が無慈悲だったことを明らかにします。
そのような残酷な世界にもかかわらず、抗い続ける少年少女達の生き様は、格好良いと感じました。
また、戦闘機が登場するシーンや、そのデザインを担当した方の描いた挿絵は、物語を一層引き立てます。
読後には、去っていった少年兵達と再会を遂げたレーナの絵には、深く感動しました。
原作1巻の表紙に描かれている主人公二人が向かい合っている絵もまた、読み終えた後に見ると感慨深さが増します。
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』で印象に残った名言
私が小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』を読んで特に印象に残った名言について語ります。
「シン」のセリフ
「最期まで生き残った者が、行き着く場所まで全員を連れて行こう」というフレーズは、弔われることのない戦死者を、孤独な戦場ではなく、自分たちが進めた道の末まで連れていきたいという『86』共通の願いを象徴しています。
戦死者のドッグタグを収めた箱を、隊長であるシンは大切に保管しています。
そして、その箱を仲間たちとの了解を得た上で、決死行の前夜にレーナに託すことを決断します。
これは、迫害してきた側の人種であるレーナを一人の仲間と認め、彼ら自身の思いを託すのに相応しいと誰もが認めた行動です。
そんな行動が救いがない少年兵たちに救いをもたらし、私の印象に深く残ります。
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』の評価や口コミ
他の方が小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
面白かった^ - ^
Amazonの口コミ
本作の魅力は、前例がないほどの悲惨なバッグストーリーにある。どのようにキャラクターが幸せに暮らそうが、生きている限りには逃れられない過去があり、そして呪いのようについてくる背景は、目を背けたくなるほど恐ろしい。作品全体につきまとう死の臭いは、他の創作物と比べても異質で、本作にしかない特徴だ。連邦に主人公らが移住してから長く経っていたからこそ、シンの感情が如何にして削られ、刃のように尖っていったかを追体験できる本著は、とても辛く、そして感情が揺れ動いた。私自身、歴史が好きな人間なので、本作に目をやるとホロコーストの話が、脳裏に張り付いて離れない。著者が以前にのべていたようおび、本作のイメージ元は、現実のエピソードにあり、我々の社会の背景にも、エイティシックスのような、恐ろしい背景が存在していることは言うまでもない。最後に、本作の後半部の特別偵察任務のエピソードを、アニメ本編に組み込んだことは、とても良かったと感じる。あのエピソードを見て、エイティシックスの読了を決意した私にとっては、とても興味深い経験であった。執筆お疲れ様でした。
Amazonの口コミ
この短編集が発売されたとき、「なんだ、過去編か」と飛ばしました。12巻まで読んだので、読んでみましたが……読まずにいて損した!!懐かしい、戦死者ゼロの86区の描写。少年期のシン。ファイドの話。特別偵察の話。そして最後の、アンリエッタの夢。最後の掌編は刺さりました。こういう未来がほしいです…(泣)
Amazonの口コミ
主にシンの86時代の物語で、戦場に出た少年兵がベテラン隊長であるアンダテイカーになるまでの物語。戦場で出会ったシンの知り合いたちの物語でもありますが、救いのない戦場で簡単には消えたり、人間性を保持できない悲しさがサラリと描かれていて、話としては短いものですが、ドキリと胸にささりました。カクヨムで掲載されていたそうなので、しっているひとはもう読んだことのある内容が多いでしょう。あとがきによると書き下ろしもあるそうです。ファイドが例外的になぜ賢いのかの秘密も描かれています。一巻冒頭でいきなり死んだクジョー視点の物語もあり、グッと来ました。どういう気持ちであそこにいたのか心揺れました。アニメの方で一巻にはなかったスピアヘッド戦隊の描写があり、アニメオリジナルかと思っていたのですが、この短編集に含まれた内容をとりこんでいたのでしょう。web発表→アニメ→短編集発売の順なのでしょう。短編集なんてと思っていたのですが、一巻の補強という感じで良かったです。2、3巻のネタバレとかも少し含まれるから、そこ読んでからになるでしょうけど、10巻となっていますが、作品内容の時系列としては4巻くらいに挿入してもいいかもしれません。わりとどうでもいいことですが、作中で、花で爪を染める遊びをしていて、子どもの頃はそういうのあったなぁと思ったのですが、今の子もそういうことしてるのかな?と思いました。自然があるエリアならいいけど、今は雑草がはえるような野原とかもだいぶないし、公園や花壇の花だと勝手にいたずらしたらダメになっているし、自然がたくさんあることが前提の遊びだなと。人が生存圏をだいぶ奪われ、自然が広がっている状況だからこその遊びだなと気になってしまいました。続きを読む
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「ファイド」とても切両親が願ったシンとレイの穏やかな未来、
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みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!
まとめ
小説『86-エイティシックス- フラグメンタルネオテニー 1』の感想と読みどころをネタバレを含めて解説しました。
面白いと感じた方は、ぜひ読んでみてください。
次に読む予定の小説は『デート・ア・ライブ』です。
士道という主人公が、精霊と呼ばれる絶大な力を持つ少女たちに唯一対抗できる手段を持っています。
その手段は、秘密組織ラタトスクによる数多くの作戦、「デートしてデレさせる」です。
大きな組織が真面目に恋愛シミュレーションゲームを行ったら、どうなるのかを問う作品で、そのコンセプトにより制作されたようです。