神奈川県にお住みの37歳の男性(クラウドワーカー)が、2022年3月頃に読んだ『象工場のハッピーエンド』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容を理解しやすい形で要約し、まとめています。
本書から学んだことや感想、評価や口コミに興味がおありの方は、参考にしていただければと思います。
目次
『象工場のハッピーエンド』を購入したきっかけ
村上春樹氏の作品には、はずれがほとんどなく、どれを選んでも正解だと感じています。
まだ読んだことのないこの本を購入してみようと思いました。
古本屋のブックオフに出向き、村上春樹氏のコーナーを覗いたところ、この本を見つけました。
価格は100円で、未読だったことからすぐに購入を決意しました。
表紙やタイトルも確認しましたが、購入の決め手となった最大のポイントは、「これが村上春樹氏の未読作品である」という事実であり、内容についてはそれほど興味がありませんでした。
村上春樹氏のブランド力に引き寄せられた、と言えるでしょう。
これが購入の一番のきっかけでした。
『象工場のハッピーエンド』の概要
13の短編から構成されている不思議な雰囲気に満ちた文学集で、それが安西水丸さんの絵と組み合わさって素敵な雰囲気を創り出している作品です。
絵と文章の間に明確なつながりがないため、一見すると関連性のない挿絵ばかりのように思えますが、その無関連性が感情や雰囲気を喚起し、これも一環として楽しむ方法だと考えられました。
短編もエッセイ的に楽しめますので、村上春樹作品に興味がある方にはおすすめの一冊です。
基本情報
- 文:村上 春樹
- 絵:安西 水丸
- ISBN:9784101001319
- 出版社:新潮社
- 判型:文庫
- ページ数:175ページ
- 定価:710円(本体)
- 発行年月日:1986年
『象工場のハッピーエンド』のYouTube(ユーチューブ)
『象工場のハッピーエンド』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説している動画がないか調査しました。
残念ながら、本書を詳しく紹介しているYouTubeチャンネルはありませんでした。
そのため、本ブログにて要点をまとめてお伝えしたいと思います。
『象工場のハッピーエンド』から学んだことの要約とまとめ
『象工場のハッピーエンド』から私が学び取ったポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- コーヒーの持つ温かさを楽しむこと
- 字によって人が表れること
- 捉え方次第で価値観は180度変わり、良いものも悪いものになりうること
例えば、「ジョン・アプダイクを読むのに最適な場所」というフレーズに何かしら不思議で魅力的なものを見い出すことができたなら、この本を読む要件を満たしているといえます。
ジョン・アプダイクはアメリカの作家で、私は彼の作品を一度も読んだことがありませんが、その作品を読むのに最適な場所があるのなら、ぜひそれを経験してみたいと思いました。
そして、最適な場所があるのなら、最適な年齢、最適な音色、最適な付け合わせの食べ物なども、あって良いのではないかと思いました。
ジョン・アプダイクを読むには、29歳を超えていなければならない、読む時はベートーベンの第9をかけていなければならない、そして、ピクルスとトマトのつまみを食べながら読まなければならない、その時初めて、ジョン・アプダイクの作品は、最高の輝きを放つ。
そんな可能性を村上春樹さんの言葉から感じました。
コーヒーの持つ温かさを楽しむか
時に人生はカップ一杯のコーヒーがもたらす暖かさの問題であると、リチャード・ブローディガンがどこかで書いていたとのことです。
冬の寒い日、外から帰ってきて一杯の温かいコーヒーを飲むと、ほっと一息つくことができ、心もほぐれていくような感覚があります。
テレビを見て過ごすか、それともそのまま和やかな時間を楽しむかという選択は、コーヒーの存在感を大きくするものです。
意識はコーヒーのもたらす暖かさに集中し、今日の出来事を振り返るひとときになるかもしれません。
また深い安らぎを感じることもあるでしょう。
時には、コーヒーの持つ暖かさに耳を傾けるのも良いのではないでしょうか。
字に人が表れる
万年筆屋の主人は、顧客の人間性を十分に理解した上で、それに合う万年筆を作るそうです。
字というものには、その人の性格や心情が必ず反映されます。
素早く書く人は思考も速く、伝わればそれで良いと考える人かもしれません。
一方で、丁寧に時間をかけて書く人は性格が出来上がっており、自身の気持ちを表すことまで考えている人かもしれません。
このエピソードから、文字にはさまざまな要素が含まれていることを楽しく感じます。
捉え方次第で価値観は180度変わり、良いものは悪いものに
スニーカーを考案したブラッドリー氏は、当時の価値観を覆しました。
今では、静かに歩けるスニーカーは当たり前の存在ですが、当時はその逆が一般的だったようです。
このような価値観の変遷は、時代の進化と共に起こります。
それが我々にとってはとても面白い部分であり、時代を映す鏡とも言えるでしょう。
『象工場のハッピーエンド』の感想
全体を通じて文章の目付け所が興味深く、想像力が豊かで、非常に面白い印象がありました。
「象をつくる工場が存在し、そこにはハッピーエンドが待機している」というタイトルだけからでも、創造性が溢れており、読み手を引き込む面白さが感じられます。
象をつくるとは一体どういう事なのでしょうか。
そこで何か事件は起こるのでしょうか。
そして、すべてが一件落着し、ハッピーエンドで終わるのでしょうか。
実際に、この短編集には、「象工場のハッピーエンド」という短編は収録されていません。
それ故、タイトルが何を意味するのか、読者は真相が分からないのです。
それがすでに何かしらの面白い雰囲気を醸し出していますし、その中に村上さんの才能が現れていると感じました。
興味を持った方は、ぜひお読みいただくことをお勧めします。
面白いですよ。
『象工場のハッピーエンド』の評価や口コミ
他の方が『象工場のハッピーエンド』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
エレファントファクトリーコーヒー(京都河原町)
京都へ来て以来、何度か入りかけたけど結局まだ入った事のなかったカフェ。少しだけ疲れて辿り着いた。中煎りブレンドとチーズケーキを注文。
店名の「エレファントファクトリー」は、村上春樹の「象工場のハッピーエンド」からとったらしい。 pic.twitter.com/vky5F6tSGS— qp (@akarusa) July 5, 2023
カティーサーク
カティーサークと
何度も口の中でくりかえしていると
それはある瞬間から
カティーサークでなくなってしまうような
気がすることがある『象工場のハッピーエンド』より#カティーサーク自身のための広告 pic.twitter.com/krpfcAFNox
— 村上春樹的羊男 (@sheepman_bot) May 12, 2023
ブックオフにある春樹の他の短編集なら100円かもしれないし☺️
「象工場のハッピーエンド」も面白かった記憶があります。読み終わるのが終わるのがもったいないほど、読む、というより春樹の世界にいることが好きでした。
— たまこ@scarlet (@56MljTgk7DC4q4A) May 3, 2023
象工場のハッピーエンド
村上春樹=文、安西水丸=画#読了村上春樹×安西水丸、初めての共著作品。
サクッと読め村上春樹のショート・ショート
13と安西水丸のカラフルな絵が
想像力を掻き立てられる。カティーサーク、双子、象、
村上ワード多々💡象工場ってどんなとこなのかな〜〜🤔🐘 pic.twitter.com/kzuCi1QMl2
— A子 (@mr_kindaiji) September 10, 2023
『象工場のハッピーエンド』
村上春樹・文 安西水丸・画今日みたいな日…ひと仕事終えて次の仕事まで少し時間があり、良い天気の日…安西水丸さんのイラストが見たくなって本棚から…素朴なラインとポップな色合いは春樹氏の文章と相性がよかったな…ほのぼのとした気分☺️☕️ pic.twitter.com/O8PSfEe0qp
— Katz_G (@katz_g65) January 18, 2021
面白い
Amazonの口コミ
村上春樹さんの本の短編は、なかなか曲者で、単行本と文庫本は、特に水丸さんの挿絵の順番が違っていたり悪さがちりばめられてます。収集家にとっては難儀な人物です。僕は決してコレクターではないのですが、同じやろ???と思っていたのが違うと気になります。それと活字の大きさも違ったりして、ほんまに曲者でっせ。
Amazonの口コミ
村上春樹と安西水丸のセンスと才能を知るにはもってこいのパラパラ楽しめる絵本といえます。こういう「ヘタウマ」で堂々と勝負できるというのは本当に能力があるからですね。いろんな意味で勉強にもなります。いつも持ち歩いていたいそんな気にさせる作品です。ノルウェーの森を読まないと村上春樹に入門できないと敷居を高く感じている人も、そんなことを気にせずまずこういうのを読んでみてはどうでしょう?もちろん、安西水丸の絵も絶好調です。NHKの日曜美術館で解説をしていましたが、この絵は色を塗るかわりに色付きのシートをカッティングして貼りこんだ手の込んだ作品だそうです。
Amazonの口コミ
村上春樹の文章と、ほとんど同分量のイラスト。しかも、文章の内容とイラストは無関係だと言う。私は村上春樹の文章で、レビューしたいと思う。「短編集」とうたってあるが、「掌編集」と言うべきだろう。私は1963年生まれなので、ちょうどその辺りの年号が出て来るのは楽しかった。もっともまだ物心が付く前だから、ノスタルジーを覚えたわけではない。小説としてオチが付くでもなく、何だか中途半端な印象しか受けなかった。イラストに助けられて、何とか1冊の本として刊行出来たのではないか、と思う。私はさほど高く評価しようとは思わなかった。
Amazonの口コミ
春樹さんの世界と水丸さんの世界がひとつに合わさった世界が展開される、安定感?抜群の本。カラフルな休日を過ごしたいときに、うってつけの一冊だと思う。「楽しい」が次々に噴出して来る。「カティーサーク自身のための広告」「クリスマス」「ある種のコーヒーの飲み方について」「ジョン・アプダイクを読むための最良の場所」「FUN、FUN、FUN」「万年筆」「スパゲティー工場の秘密」「マイ・ネーム・イズ・アーチャー」「A DAY in THE LIFE」「双子町の双子まつり」「マイ・スニーカー・ストーリー」「鏡の中の夕焼け」「サヴォイでストンプ」巻末対談 安西水丸・村上春樹「画家と作家のハッピーエンド」「ハッピーエンド」っていう言葉、よく聞きそうであまり聞かないような。嬉しい響きを感じますね。続きを読む
Amazonの口コミ
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
想像力とは何か、学べたような気がします。
ある小説を読むのに最適な条件があるならば、個人的にはそれを極めてみたいと思いました。
また、自分流の小説を読む時の条件を作り上げて、それを楽しみながら小説を読む、ということも可能ではないかと思いました。
例えば、家で小説を読む時は、厚手の靴下をはいて、リクライニング機能の付いていない固い椅子に腰かけ、無音という音楽を必要としながら、コカ・コーラを飲み、室温を22℃に保つ、といった条件を自分に課すことで、ある種のゾーンに入ることもできると思います。
南無阿弥陀仏を唱え続けると心身ともに安心するという教えがありますが、自分特有のゾーンをつくることで、心身の高揚状態をつくる、ということも面白いのではないかと思いました。
次に読みたいと思っている本は『本物の思考力を磨くための音楽学』です。
音楽の専門家の泉谷閑示さんが、音楽について語る一冊です。
音楽について、トップクラスの人々はどのようなことを考えて演奏しているのか、また、どのようなことを考えて聴いているのか、気になったので、読んでみたいと思いました。
初心者でも読める構造になっているので、普段触れる機会のない音楽について、専門的な側面から学んでみたいと思いました。