書籍のレビュー

【書評】『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』のレビュー|書籍を読んだ感想は「多くの脚色や改変を経て今に届く神話」

47歳の男性(マスコミ系:構成作家)が2023年3月に読んだ『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』のレビューを紹介します。

本書の概要や内容をわかりやすく要約し、まとめています。

書籍から学んだ知識や感想、評価や口コミに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

この本から学べるポイント

  • 人間の脳は、ストーリー(物語)を理解・記憶するのに最適化されています。
  • 人の心をつかむ「ストーリー」とその「語り手」は、狩猟採集の時代から生存に必要でした。
  • 米議会襲撃事件や熱狂的なトランプ支持者も、「物語」の理論で説明可能です。

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』を購入したきっかけ

最近、ロシアのウクライナ侵攻や世界の軍事安全保障の文脈で「ナラティブ」という言葉をよく目にするようになりました。

「物語」や「物語を語ること」を意味する英語だということです。

新聞などを読んでいても、米国防総省がSF小説家に未来の国防に関する小説を書かせるという試みを行なっていたりします。

そういった事象に興味を持っていたところ、本書が出版されたため、購入を決めました。

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』の概要

国同士の争いにおいて、SNSで拡散する「物語」の重要性が増しているとのことです。

欧米も、ロシアや中国もその研究に莫大な資金を投じているそうです。

この本は、まさにその「物語」を巡る最新の研究、知見を紹介しています。

また、我々がなぜ、データに基づく事実やファクトではなく「よく出来た物語」の方に共感し、信じてしまうのかを解明するために、狩猟採集時代まで遡って説明しています。

つまり、「私たちの脳は狩猟採集をしていた頃と変わっていない。

一方で、環境は大きく変わり、多量の情報を処理しなければならなくなっている」という事実を説明しています。

基本情報

  • 著者:ジョナサン・ゴットシャル
  • 訳者:月谷真紀
  • 朗読:市村徹
  • JP-eコード:90357800000000266966
  • 制作・配信:オトバンク
  • コンテンツ公開日:2023年05月01日
  • 公式サイト:https://audiobook.jp/product/266966

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』のYouTube(ユーチューブ)

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』について、YouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説している動画が存在するか調査しました。

しかし、残念ながら本書を詳しく紹介しているYouTubeチャンネルは見つかりませんでした。

そのため、本ブログにて要点をまとめて伝えることにします。

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』から学んだことの要約とまとめ

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』から、私が学んだポイントは大きく3つの内容です。

私が学んだこと

  • 人間の脳はストーリー(物語)を理解・記憶しやすいよう最適化されている。
  • 人の心に刺さる「ストーリー」とその「語り手」は狩猟採集の時代から生きるために必要だった。
  • 米議会襲撃事件や熱狂的トランプ支持者なども、この「物語」の理屈で説明できる。

宗教の二世信者を巡る問題、歪んだ思想による単独のテロ、SNSの炎上やフェイクニュース。

これらを見ると、「馬鹿だなあ、なぜそんなことを信じてしまうの?」と思いがちです。

しかし、この本を読むと一概にそれが頭の良し悪しによるものでないことが分かります。

我々は、よく練られた物語を信じるような仕組みを脳内・体内に備えています。

そのため我々は、それを前提に物事を考える必要があります。

陰謀論を信じてしまう人やフェイクニュースを喜んで拡散している人とのコミュニケーションをとる場合、どう対応すればよいのか?この本を読む前と読んだ後では、対応も考え方も大きく変わると思います。

人間の脳はストーリー(物語)を理解・記憶しやすいよう最適化されている

人間の脳はストーリー(物語)を理解・記憶しやすいように最適化されているということは、我々の脳が、起承転結だったり原因と結果(因果関係)があるものを理解しやすく記憶しやすいということです。

逆に、不意に起こった出来事に対しても、我々は後付けで起承転結や因果関係を作り出すこともあります。

例えば、人の死について、「ああすれば防げたのに...」といった根拠のない後悔がその一例です。

人間の脳は、出来事をストーリーとして記憶するのが得意なのです。

人の心に刺さる「ストーリー」とその「語り手」は狩猟採集の時代から生きるために必要だった

狩猟採集時代の人間のコミュニティ(集団)は約200人程度と言われています。

その200人の集団が生き残るためには、食料などを巡って対立・競合する他の集団に関する「情報」をいかに集め、それを分かりやすく伝えることができる人間が重要でした。

つまり「ストーリー」と「語り手」が必要だったのです。

その中には、他の集団が争っている情報や、権力や恋愛に関する情報もあったと考えられます。

我々がスキャンダル好きなのは、数万年前から変わっていないのかもしれません。

米議会襲撃事件や熱狂的トランプ支持者なども、この「物語」の理屈で説明できる

トランプの熱狂的な支持者だけでなく、アメリカでは多くの有権者が「ディープステート」といった陰謀論を信じています。

ディープステートとは、簡単に言えば、トランプが戦っている相手(主に民主党)が子どもを食べる悪魔のような存在で、闇の政府が世界を裏から操っているという考え方です。

この本で紹介されている陰謀論の出自や拡散の経緯に共通するのは、「よく練られた物語」であることです。

事実かどうかは別として、突飛でもOK。

感情を揺さぶるよく練られた物語は人を動かします。

その理解を持つと、議会襲撃事件が何だったのかが理解できます。

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』の感想

この本では、著者が哲学者プラトンについて触れ、「2400年前、プラトンは《物語》の持つ力とリスクに既に気づいていた」と述べています。

本文中で触れられてはいませんが、スターウォーズの制作においてジョージ・ルーカスが世界の神話を比較分析した研究を参考にしたことは広く知られています。

古代から伝えられ、数多くの脚色や改変を経て今に届く神話には、人の心を大きく動かす力が宿っているとルーカスは理解していたのでしょう。

そう思わせる一冊となっています。

『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』の評価や口コミ

他の方が『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

この本には、『ストーリーが世界を滅ぼす』という過激な邦題が付いています。しかし原題は、"The Story Paradox"というわりかし大人し目のタイトルです。私がこの本を読んでみた限り、この本は物語の危険性を訴える内容ではありますが、物語の利点もちゃんと書いてあると思いました。ですので、この邦題は本の売り上げを上げるためなのでしょうが、やり過ぎ感があるなと思います。序章では、コミュニケーションの主な目的は「なびかせること」だと定義されています。コミュニケーションは他人を自分になびかせる行為であり、ストーリーを語ることは他人に影響を与える最強の方法だと考えられます。第1章は、物語が「あらゆる情報を保存し伝承する手段」だというお話でした。私たちは事実や論証を警戒しながら聞きますが、物語には心を許しやすいとのこと。第2章ではプラトンの詩人追放論が参照され。。。
Amazonの口コミ

陰謀論に惹かれる人や思い込みの激しい人の行動をうまく説明できている。そういった人達がみせる情報の取り扱いの迂闊さは人間の根っこのところにあるものだから責めてはいけない。そうとわかっていても責めたくなる。ブレーキをかけなくては。2022年現在、本書を読むと大変わかりみのある状況に思えます。それはそうと装丁や帯が完全に〝釣り〟でして、相当に下品に感じました。論破のことなど書かれてないですよね。
Amazonの口コミ

・物語には強い力がある。例えば、すべての人は、自分の物語として、あるいは「思い込みという形」で、持っている。例えば、プーチンにしたって、自分の思い込みという物語を持っている。・しかし、物語無しには人は生きてはいけないという現実がある。・この物語の力をどのように活かすかをこの本から読みとることと、他人の物語に巻き込まれるのをいかに防ぐことがいかに重要であるかを考えなくてはならない。このパラドクスに対して、この本は多いに参考になることだろう。
Amazonの口コミ

この本のキーブックはプラトンの『国家 上』、『国家 下』であり、プラトンは詩人(ストーリーテラー)の危険性を察知し、国家からそれを排除すること述べた。著者の言いたいことはたった一つだ。「物語の語り手(ストーリーテラー)を信用するな」である。ということは、政治、小説、番組の制作者、ニュース報道、マンガ、新聞、つまりあらゆるメディアを信用するなという難題であり、根底においては「不可能」に近い。が、考えてみれば当然のことではある。過去の狩猟社会から農耕社会に至って、集団を一つにまとめる為に「神話」を必要とされ、その集団が多数に至った時点でそれは「誇示」、身分社会を生み出し、それを正当化する為にさらなる「神話」、そして「物語」が生み出され、文明は暴力装置となり「病」となった。同時にそれは宗教ともなった。文明とは「病」の一つであり。。。
Amazonの口コミ

引用している文献も全体的な構成も私にとっては少し難解でした。あの大統領を皮肉っているところはスラスラ読めました。
Amazonの口コミ

みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!

おわりに

それがどうやら、毎日新聞社の記者によって書かれた「人を動かすナラティブ」という本を読みました。

現在、世界的に「ナラティブ(物語)」がトレンドのホットなキーワードであることは間違いありません。

全ての人の行動に大きく影響を与えるのが「物語」であるならば、この本を含むナラティブ関連の分析考察本を読むことは、あらゆるジャンルで必要となるのではないかと考えます。

特に、創作やクリエイティブに関わる方にとっては、自身の創作の根底にあるものを考える際に重要となるのではないかと思います。







   

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