埼玉県にお住いの55歳女性(サービス系:給仕)が2021年5月頃に「DVD」で見た映画『64-ロクヨン-前編/後編』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『64-ロクヨン-前編/後編』を見ようと思ったきっかけ
2022年の春に同作の瀬々敬久監督作品「とんび」が公開されて視聴したこともあり、瀬々監督作品で懐かしいものを観たい思ったからです。
劇場公開時にも試写会からじっくり観ましたが、たっぷり時間を取って全編~後編までしっかりと見直すと、なおのこと内容にのめり込んで観ることができて、堪能できました。
今見直すと、メインキャストだけではなく、バイプレーヤーの皆さまの素晴らしいラインナップに感動しています。
映画『64-ロクヨン-前編/後編』の内容
昭和64年は、天皇崩御によってわずか7日で平成の世に切り替わりましたが、その年の正月に北関東のある街で一人の女の子が誘拐され、殺害されて見つかるという凄惨な事件が起こりました。
その事件を担当していた警察官・三上(佐藤浩市)は初動捜査で犯人を取り押さえることができず、身代金も奪われて迷宮入りとなり、深い後悔を残したのです。
後にその事件は関係者の間で「ロクヨン」と呼ばれるようになりました。
それから14年後の2002年、三上は昇進し、県警の広報官として働いていましたが、娘との不和ややり残した仕事への思いを抱えて暮らしていたのです。
そんなある日、時効を目前に控えた”ロクヨン”を思い出させる事件が発生し、にわかに事態が動き出しました。
三上はまるで亡霊を見るような思いで奔走することになったのです。
映画『64-ロクヨン-前編/後編』の作品情報
作品情報
- 監督:瀬々敬久
- 脚本:久松真一、瀬々敬久
- 原作:横山秀夫
- キャスト/出演者:
- 佐藤浩市
- 綾野剛
- 榮倉奈々
- 夏川結衣
- 緒形直人
- 窪田正孝
- 坂口健太郎
- 主題歌:小田和正「風は止んだ」
- 日本公開日:2016年5月7日(前編)/2016年6月11日(後編)
- 上映時間:121分(前編)/119分(後編)
- 公式サイト:‐
他
映画『64-ロクヨン-前編/後編』のあらすじ
わずか7日間で終わった昭和64年、ひとりの少女が誘拐、殺害される事件が起こる。刑事部で「ロクヨン」と呼ばれるその事件は未解決のまま14年の月日が流れ、平成14年、まもなく時効を迎えようとしていた。当時ロクヨン事件の捜査にあたった刑事の三上義信(佐藤浩市)は広報室に異動となり、県警記者クラブとの軋轢や、警察内部の対立の板挟み、上司からの圧力など、心労の絶えない日々を送っていた。そんな中、ロクヨン事件を模倣するかのような誘拐事件が発生する。
映画『64-ロクヨン-前編/後編』の予告編
映画『64-ロクヨン-前編/後編』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『64-ロクヨン-前編/後編』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 14年の流れを表す多層構造的な作劇
- その後大活躍することになるバイプレーヤーたちの存在
- 公衆電話に残された執念の痕
14年の流れを表す多層構造的な作劇
事件が起こったのは1989年の正月です。
まだ携帯電話もカーナビも無い時代の事件捜査の在り方が後の事態を引き起こしています。
今のテクノロジーを当たり前に享受する世代なら感じるでしょうが、この当時を知る者としては「ああ、解る…」という切ない思いで、その冒頭の流れから回想される事件捜査の様子を見ていました。
電話回線の原始的な逆探知の方法とか、昔の刑事ドラマあるあるですが、もし今だったら、一発で捕まっただろう犯人が野放しにされてしまった、その14年間。
被害者の翔子ちゃんの父、雨宮(永瀬正敏)は後に妻も失い、ボロボロの姿で現れます。
それこそがこの事件の根深さを表す何よりの証拠だったと感じました。
その後大活躍することになるバイプレーヤーたちの存在
メインキャストの三上を演じた佐藤浩市さんや広報室の面々(綾野剛さん、金井勇太さん、榮倉奈々さん)は言うまでもありませんが、特筆すべきは県警記者クラブの面々です。
突出した言動で三上とバチバチにやりあったキャップの永山栄太さん、彼を後ろから支えた坂口健太郎さんは当時から変わらずご活躍です。
また最近NHKの夜ドラで裏ヒロインを演じた菜葉菜さん、今年の大河ドラマで印象的な武士を演じた芹沢興人さん、多くの作品で大活躍の奥野瑛太さん、宇野祥平さんといった素晴らしいバイプレーヤーが勢ぞろいしています。
彼らは県警の方針に対してさまざまな戦いを挑んできますが、その集団としての圧だけでなく個々の濃やかな芝居が素晴らしいのです。
公衆電話に残された執念の痕
14年という年月を表すさまざまな作り込みがなされていた、と後になって判ってくる、この長い物語です。
その中でも一番印象的だったのが公衆電話に残されたある”痕”です。
それは、真犯人を突き止めるために長い時間をかけて行われてきた執念の行動の証でした。
事件で残された、たった一つの証拠を探しだすために、繰り返し行われてきたあることの結果が、そこに残されていたのです。
それが判明したとき、静かにため息がもれました。
できるなら、初見の記憶を消して、あの時の気持ちをもう一度味わいたいとすら思います。
映画『64-ロクヨン-前編/後編』を見終わった感想
無残に失われてしまった一人の女の子のために…その父親がしてきたこと、そして時を経て、今、娘を失いかけている警察官の三上のさまざまな思いなどが入り交じり、大変重厚な人間ドラマに仕上がっています。
原作者の横山秀夫さんがかつて新聞記者として体験してきたものをベースに描いた地方警察のさまざまな内情や、そこで働く人々の個々の思いが多層構造的に作りこまれ、ぐいぐいと物語の世界に引きずり込まれて行きました。
一人の人間が引き起こした事件が、沢山の人の人生を捻じ曲げ、悲劇が広がっていたのだということに気づかされるのです。
しかし、最後にほんの少しの救いの光が見える、そんな瀬々敬久監督らしい作品に仕上がっていたと感じます。
映画『64-ロクヨン-前編/後編』で印象に残った名言
私が映画『64-ロクヨン-前編/後編』を見て特に印象に残った名言です。
「諏訪(綾野剛)」のセリフ
「あなたの…クビが飛びます」
映画『64-ロクヨン-前編/後編』の評価や口コミ
他の方が映画『64-ロクヨン-前編/後編』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
映画「64 -ロクヨン- 前編/後編」鑑賞。
すごかった。 pic.twitter.com/slzafrrf1g
— 桂吉の丞 (@kichinojo) June 16, 2016
【映画「64-ロクヨン-」前編・後編】
続けて観た。久々にあー映画観たなって思った。— りさこい (@risacoi) April 30, 2018
佐藤浩市が主演の映画『64-ロクヨン- 』前編後編を続けてみた。緊張感のある重い映画。
— 牧野良幸 (@makinoyoshiyuki) November 26, 2020
おわりに
私が映画『64-ロクヨン-前編/後編』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『怒り』です。
こちらは夫婦殺害事件の犯人の”整形手術後”の顔写真が発表される話です。
目の前の”男”を怪しむ様子など、ドキドキな予感です。