兵庫県にお住いの32歳女性(サービス系:事務)が2022年7月頃に「映画館」で見た映画『わたしは最悪。』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『わたしは最悪。』を見ようと思ったきっかけ
ヨアキム・トリアー監督のオスロ三部作のラストを飾る作品ということで前から気になっていたからです。
特にポスターのビジュアルとタイルが印象的でした。
わたしは最悪。最悪ってどういう意味なのかしら、と興味を惹かれあらすじを読むと30歳の女性が将来について悩むという映画でした。
フランシス・ハも好きな映画なのできっと素敵な映画なのだろうと観ることに決めました。
また、主人公を演じるレテーナ・レインスヴェがこの年のカンヌの主演女優賞を獲得したのもきっかけです。
映画『わたしは最悪。』の内容
オスロで医学を学ぶのユリヤは講義の最中ふとカメラマンになることを思い立ち、大学を辞めます。
それからは中途半端な人生。
30歳になり、勉強もアートの才能もあるのに、何か一つを極めることが出来ないユリヤは、10歳以上年上のグラフィックノベル作家のアクセルから結婚をし妻と母親になるよう求められます。
何者にもなれていないまま母親や妻になりたくないユリヤは飛び込んだ見知らぬ他人の結婚式でアイヴィンと出会うのです。
フィーリングのまま彼と恋に落ちたユリヤは彼と新しい生活を始めることにしました。
映画『わたしは最悪。』の作品情報
作品情報
- 監督:ヨアキム・トリアー
- 脚本:エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー
- 製作:アンドレア・ベレンセン・オットマー、トマス・ロブサム(英語版)
- キャスト/出演者: レナーテ・レインスヴェ(英語版)、アンデルシュ・ダニエルセン・リー(英語版)、ハーバート・ノードラム
- 音楽:オーラ・フロッタム
- 日本公開日:2022年7月1日
- 上映時間:128分
- 公式サイト:https://gaga.ne.jp/worstperson/
映画『わたしは最悪。』のあらすじ
『テルマ』『母の残像』のヨアキム・トリアーによる青春ドラマ。30歳の節目を迎えるも、人生の方向性の決まらない主人公が、あるパーティーに紛れ込み、若く魅力的な男性に出会い恋に落ちていく。
映画『わたしは最悪。』の予告編
映画『わたしは最悪。』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『わたしは最悪。』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 母親、妻という存在になることへの恐怖
- 世界にふたりだけ
- 余命わずかな恋人の最後の願い
母親、妻という存在になることへの恐怖
女性というものは年を重ねると結婚し、妻となり母親になること期待されます。
しかし、そのようなジェンダー規範は個人の自己実現への障害ともなりうるのです。
やりたいことが人生でたくさんあるユリヤにとって、自分のアイデンティティが誰かの妻であり誰かの母親であることに集約されることはとても恐ろしく不安なことです。
それはユリヤの家庭が彼女が幼い頃離婚しており、父親に愛されていないことも不安の原因の一つです。
女性にとって恋愛とは?結婚とは?ジェンダー規範とは?そういう問いかけにこの映画は真正面から切り込んでいます。
世界にふたりだけ
アクセルと関係がギクシャクする中、見知らぬ結婚パーティー出会ったアイヴィンと運命の再会を果たしたユリヤは心がどんどんアイヴィンに傾いていきます。
元々直感タイプのユリヤにとってフィーリングはとても大事なものです。
そして或る朝、ユリヤはアクセルに別れを告げて2人で住んでいたアパートを飛び出すのです。
向かう先はアイヴィンが働くカフェ。その瞬間、2人を除いて世界の時は止まり、世界にはユリアとアイヴィンしかいないロマンチックなラブシーンが展開されます。
余命わずかな恋人の最後の願い
アイヴィンのことは愛しているが子供が欲しい訳ではないユリヤですが、避妊に失敗してしまいます。
そんな折、アクセルが癌で余命わずかということを知らされます。
母親になることの恐怖をアクセルに打ち明けるユリヤ。
アクセルは自分と付き合っていた時に彼と会っていたのかと尋ねます。
彼がそのことを否定してほしいということを理解しながら肯定するユリヤ。
アクセルの最期には立ちあわず、夜通し街を歩き続けるユリヤ。
痛々しい人間の感情のせめぎ合いが胸を詰まらせるシーンです。
映画『わたしは最悪。』を見終わった感想
ラストシーンは賛否両論だと思います。
恋愛至上主義、あらゆるジェンダー規範に対する疑問を投げかける映画です。
家族を見るユリヤは常に不安そうな顔をしています。
子供を望んでいないのに避妊に失敗し、その子供を産むかどうかで悩む。
そんなユリアがアクセルが亡くなった日、夜通し街を歩いてたどり着いた家でシャワーを浴びている時に起きた出来事。
その時に見せるひどくほっとした表情は受け入れられない人も多くいると思います。
女が自己実現をしながら生きていくのはどういうことなのか、ということについて考えさせられる映画です。
映画『わたしは最悪。』で印象に残った名言
私が映画『わたしは最悪。』を見て特に印象に残った名言です。
「ユリヤ」のセリフ
50歳になってもコーヒーを売ってるの?
映画『わたしは最悪。』の評価や口コミ
他の方が映画『わたしは最悪。』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
少し前。ノルウェー映画 #わたしは最悪 @worstperson0701
人生は選択に溢れている。
主人公ユリヤの正直すぎる選択は
相応の困難も伴うけど、憧れだし美しい同世代の主人公、今の私に刺さりまくりの作品でした
11/27をもって閉館の #ギンレイホール
この空気感のまま
またどこかで会えますように pic.twitter.com/3jh2GK40L2— XinU (@XinU_XinU_XinU) November 22, 2022
ヨアキム・トリアー『#わたしは最悪』成績優秀だが関心が目移り、理想と現実の間、自分探し続ける女性ユリヤ。虚飾なき好奇心と自己愛、自由と選択の難しさ…可笑しみ、幻想とリアル…ポップな音楽、心象語るナレーション…静止した街を走るユリヤ、あくまで自然体、自分に正直…男が嫌う女を描く秀作 pic.twitter.com/S7LBdKXlH4
— 魔の山 (@manoyama12) July 2, 2022
『#わたしは最悪。🍄』
ユリヤを中心にした出会いと別れのお話でしたけど、ちょっと移り気🔄が激しいくらいでリアルな等身大の女性の姿が描かれてましたね〜☺️。
特に作品終盤のアクセルの言葉は、自らが客観的に見えてしまうから受け入れるのが怖い感じが凄く伝わってきました🙂!#全ての映画に感謝 pic.twitter.com/70zHgH297g— 柳田りかおん🐈映画🎞️と音楽🎶 (@rundgrentodd) July 30, 2022
おわりに
私が映画『わたしは最悪。』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。
次に見たいと思っている映画は『スワンソング』です。
今は老人ホームで余生を送るゲイの主人公が昔の回顧する映画ですが、伝説のヘアメイクドレッサーによる最期の仕事がとても気になります。