大阪府にお住いの30歳男性(サービス系:クリーニング)が2023年4月頃に「dTV」で見た映画『許された子どもたち』のレビューをご紹介します。
映画を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、映画を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
映画『許された子どもたち』を見ようと思ったきっかけ
凶悪犯罪は、世界の至るところで勃発しています。
罪を犯せば、それに見合った罰を受けるということは当たり前ですが、少年法はこれに該当するとは限りません。
人を殺しておいてたかだか数年の刑で社会復帰、場合によっては無罪…これでは被害者や遺族はたまったものではありません。
本作は、そんな少年法やいじめなど、目を背けがちな社会問題がテーマの非常にセンシティブな作品で、現実に起きた凄惨な少年犯罪の幾つかをモデルに制作されたものです。
現実とリンクするリアリティーさと、「許される」ことで劇中の少年達はどのようになっていくのかが気になり、視聴しました。
映画『許された子どもたち』の内容
市川絆星(キラ)に小嶋匠音(ショーン)、松本香弥憂(カミュ)に井上緑夢(グリム)、中学の同級生同士の彼らは、この日もいつもいじめている倉持樹を溜まり場の河川敷に呼び出していました。
彼らは工作が得意の樹に、割り箸で作ったボーガンを制作するよう命じ、それを持参するようにLINEで命令します。
そして試し打ちの場にて、リーダー格の絆星がひ弱な緑夢をボーガンの標準に定めた際、樹が緑夢を庇ったことが癇に障ったのか、絆星は樹を矢で射ちます。
怖くなった彼らはまだ息が残る樹を放置して逃走した結果、樹は失血死してしまい、防犯カメラの映像と自白が決め手となり逮捕されます。
世間からも注目される中、裁判が始まるのですが判決は何と無罪、誰一人として拝めめもなく自由の身となったのです。
安堵する絆星とその家族達、対照的に絶望で押し潰されそうな樹の遺族達…当事者同士の争いは呆気なく幕を閉じましたが、第三者達からの私刑の始まりでもあったのです。
主犯格の絆星を中心にその家族や周辺の人物まで巻き込み、犯罪を犯したことでそれまでの日常が崩壊する様が痛々しく描かれています。
刑に服することを恐れ自己保身を優先させた結果、逆に自分達が追い詰められていくスリリングな展開に注目です。
作品情報
- ジャンル:社会派 ドラマ
- 製作国:日本
- 製作年:2020
- 公開年月日:2020年6月1日
- 上映時間:131分
- 製作会社:内藤組=「許された子どもたち」製作委員会(レスパスビジョン=内藤瑛亮=牛山拓二)(制作協力:レスパスフィルム)
- 配給:SPACE SHOWER FILMS
- 公式サイト:http://www.yurusaretakodomotachi.com/#top
映画『許された子どもたち』の見どころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい映画『許された子どもたち』の見どころは大きく3つです。
この映画の見どころ
- 少年達の演技に注目
- 母親・真理の歪んだ愛情
- 被害者も同様に追い詰められていく…
少年達の演技に注目
今時の少年らしく、絆星を始めとしたキラキラネームの少年達の存在が見どころの一つです。
皆共通して他人に無関心で、暴力を振るうことも躊躇わず自己中心的な性格で、犯した罪の大きさも全く自覚していない様子で、ナイフのように尖っています。
腹立たしさを感じる人もいらっしゃることでしょうが、これは演じた子役の方達の演技力の賜物でもあります。
市川絆星を演じた上村侑さんを始め、時にはゾッとする位冷酷な表情を覗かせ、ナイーブな年頃らしいフラストレーションを爆発させる様子を見せるなど、感情的な演技は作品への没入感を高めてくれます。
母親・真理の歪んだ愛情
同級生殺害を犯したのは絆星ですが、母親である真理も罪深い人間です。
我が子を殺人犯にしたくない余り嘘の供述をさせ、間違った愛情から反省と贖罪の機会も奪ってしまう…何とも罪深いものです。
息子の有罪無罪よりも世間体を気にしている父親・祐司とは異なり、歪んだ愛情を持つ毒親的な側面が目立ち、最後まで被害者ヅラなのは見ていて腹が立ちます。
しかし、映画としては面白いのではと、不謹慎ながら思いますし、現実逃避を繰り返し一家まるごと社会的に居場所が無くなっていく様が見どころです。
被害者も同様に追い詰められていく…
少年法の在り方をリアルにショッキングに問う本作ですが、第三者による私刑執行も本作に盛り込まれた重要なテーマです。
名前を変え住処を変えようがネット掲示板で直ぐに特定され、凸者まで現れる始末で何年経とうが続いていく…現実の世界でも起きている現象が克明に描かれています。
某お騒がせYouTuberをモデルにした人物まで登場するかなり攻めたもので、お祭り騒ぎのように加害者も被害者も追い込んでいく様子が狂気的でリアルです。
絆星達は自業自得だと思います。
が、樹の遺族達も同様に追い詰められていき、過剰過ぎる私刑によって明けることの無い悲しみに拍車が掛かる様子は胸に来るものがあります。
映画『許された子どもたち』を見終わった感想
絆星達は、少しは更生するのかと予想していたのですが、結果何にも変わらず仕舞いでした。
グループの中で唯一、緑夢だけが後悔する素振りを見せていましたが、彼が樹に直接手を掛けたわけではありませんし、一番反省しなければならない絆星は、追い詰められてモヤモヤする気持ちを周囲に撒き散らすだけで、相変わらずな感じがイライラしました。
一方で、恐らくはアドリブで展開されたと思われるいじめに対する討論や、事件と全く関係のない第三者による私刑など、少年法の在り方以外の問題提起が盛り込まれた尖った作品でもあります。
少年法に則り、更正の機会を与えるということは見方によっては実は無関心で、社会的に見放されることだと思いました。
明確な答えが出ないシナリオに苛立ちながらも、これら問題提起への自問自答から避けることができない刺激的な作品です。
映画『許された子どもたち』で印象に残った名言
私が映画『許された子どもたち』を見て特に印象に残った名言です。
「倉持樹の母親・絵梨夏」のセリフ
自分の罪と向き合いなさい。
映画『許された子どもたち』の評価や口コミ
他の方が映画『許された子どもたち』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
第8位
許された子どもたち(2019)#ちむ映画回顧 pic.twitter.com/w0tYzAlIkU— ゆいちむと映画 (@yui_mov) January 31, 2024
『許された子どもたち』は本当にリアルな映画で、鑑賞していると子どもの頃の狭い教室の世界に引きずり込まれます。愚者は経験に学ぶと言われますけど、私はバリバリに愚者なんで、あの少年時代からはいくつもの教訓を学びました。私はいじめられたし、いじめ返したし、傍観もしたのだ。吐き出したい。 pic.twitter.com/qo8VffdPc7
— ブッシュマン・ザ・映画フーリガン (@zonbi5bloodbath) June 17, 2021
#2020年映画ベスト10
①本気のしるし 劇場版
②スウィング・キッズ
③なぜ君は総理大臣になれないのか
④劇場
⑤僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46
⑥海辺の映画館 キネマの玉手箱
⑦ラストレター
⑧許された子どもたち
⑨無垢なる証人
⑩アンダードッグ pic.twitter.com/6safshAwyC— 岡田拓朗 (@takuro901) December 30, 2020
現時点の2020インディーズ邦画の三銃士!
作風は全く違うのだけど、いずれも親子関係が軸にあるんですよね。
・ジャンル映画に徹しながらも社会派の『超擬態人間』
・コロコロとジャンルを変えながら親子の繋がりを模索する『いつくしみふかき』
・母子の絆にフィルターをかける『許された子どもたち』 pic.twitter.com/eUlTpWgFmD— じぇれ☺︎映画 (@kasa919JI) July 6, 2020
みなさんの映画を見た感想が面白いですね!
おわりに
私が映画『許された子どもたち』を見た感想や見どころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ見てください。