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小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『手紙』のレビュー|小説を読んだ感想は「"((犯罪者の弟)))」

青森県にお住まいの21歳の男性学生が、2023年2月に「紙の本」で読んだ小説『手紙』のレビューをご紹介します。

小説の感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を読む前に興味がある方、評価や口コミが気になる方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • 犯罪者の視点でなく、犯罪者の弟という視点で物語が広がる。
  • 犯罪者の弟というだけで、何もかもうまく行かない世の中の理不尽さ。
  • 犯罪者の弟という素性を知っても、真正面から向き合ってくれる人がいること。

小説『手紙』を読もうと思ったきっかけ

私は本を読むのが好きです。

最初に読んだ作品は有名な『桜のような僕の恋人』や『君の膵臓をたべたい』など、映画化もされた作品でした。

これらを読んでから、どんどん本にのめり込みました。

もっと感動する本が読みたいと思い、『感動する本ランキング』をインターネットで検索しました。

その結果、いくつかのランキングを閲覧したところ、どのランキングでも上位に名を連ねていたのが東野圭吾さんの『手紙』でした。

それを見て、この本を読んでみたいと思うようになりました。

小説『手紙』の内容

主人公の『直樹』とその兄『剛志』の物語です。

幼い年齢で両親を亡くした二人は、生活の苦労を強いられてきました。

兄の剛志は勤勉な弟を大学に行かせるべく、引越し業者で熱心に働きました。

しかし、過労により腰を痛めて働けなくなってしまいます。

弟を大学に行かせるための選択として、剛志が取った行動は『犯罪』でした。

老婆の家に忍び込み、お金を盗む予定が、老婆に見つかり、結果的に殺害してしまいます。

その結果、剛志は刑務所行き。

弟の直樹は『犯罪者の弟』と居並ぶ社会から冷たい視線を感じるようになります。

恋人ができても、夢があっても、『犯罪者の弟』というレッテルが貼られた直樹は、何もうまく行きません。

兄からは毎月刑務所から手紙が送られ、その中に書かれた内容に直樹は苛立ち、兄への憎悪を増していきました。

その後、真実を知りながらも変わらぬ態度を持って接してくれた一人の女性と結婚しました。

直樹には子供も生まれ、幸せをつかむことができました。

しかし、その幸せも長続きせず、今度は子供までが社会から虐げられる状況に陥ります。

そうした中、直樹が最後に取った行動は、兄との『絶縁』でした。

作品情報

    小説『手紙』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

    私がネタバレ覚悟で解説する小説『手紙』の読みどころは大きく3つあります。

    この小説の読みどころ

    • 犯罪者の視点ではなく、犯罪者の弟という視点で展開する物語
    • 犯罪者の弟というだけで、何もかも上手く行かない世の中の理不尽さ
    • 犯罪者の弟という身分を知っても、真正面から向き合ってくれる人がいること

    犯罪者の視点ではなく、犯罪者の弟という視点で展開する物語

    通常、犯罪者の視点で物語が進行することが多いですが、この物語では犯罪者の弟という視点で物語が進むのです。

    自分は何もしたわけではないのに、周囲からは避けられ、就職もままならず、結婚さえも拒否されてしまう。

    世の中は何と薄情なんだ、と思うかもしれませんが、自分だったらと考えると、犯罪者の弟と関われるかと言われると、やはり面倒だと感じるでしょう。

    この小説からは、犯罪者が被害者だけに犯罪を犯すだけでなく、身内にも犯罪を犯してしまうといっても過言ではない、というメッセージが伝わってきます。

    犯罪者の弟というだけで、何もかも上手く行かない世の中の理不尽さ

    この小説では何もかもが上手くいくわけではありません。

    幸せになることはありません。

    主人公の直樹は、音楽の世界でプロデビューするチャンスやお金持ちの女性と結婚し、逆玉の輿をするチャンスなどさまざまな機会が訪れます。

    しかし、結局は兄のせいで全てが頓挫してしまいます。

    この小説は大切な人がいる者に対し、犯罪を絶対に犯すべきでないという強烈なメッセージを伝えています。

    塀の中で閉じ込められた犯罪者は、世間から冷たい視線を浴びることとなる家族の気持ちを知ることはできません。

    犯罪者の弟という身分を知っても、真正面から向き合ってくれる人がいること

    犯罪者の弟であるというレッテルがあっても、それに真摯に向かい合い、助けてくれる人がいることを、この小説は伝えています。

    一般的に、多くの人は人間としての最低限の道徳を持っているため、強く迫害することはありません。

    しかし、その一方で、関わらない方が良いと考えるのは当たり前とも言えるでしょう。

    しかし、そのような中で主人公の直樹に対して気遣ってくれる女性が登場します。

    その彼女も同じ境遇で、親を亡くし、一人で苦労しながら生きてきました。

    彼女が直樹を見捨てないと述べる場面は、この作品が唯一、人間の優しさを伝えている部分でした。

    小説『手紙』を読み終わった感想

    この小説を読めば感動すると思って読むのは間違いです。

    それは何とも不幸な兄弟の話で、どんな理由があっても世間は犯罪者を決して許しません。

    突然のことかもしれませんが、一度犯罪を犯した場合、加害者はもちろん、その身内までもが世間から虐げられ、生きていくことが求められます。

    だからこそ、犯罪は絶対に避けるべきだと私は感じました。

    犯罪は被害者だけでなく、加害者の身内まで大きく巻き込むからです。

    もし、あなたに大切な人がいるなら、その人のためを思って犯罪を犯したとしても、その結果は逆効果となり、一生その人を過去の犯罪で苦しめることになるでしょう。

    小説『手紙』で印象に残った名言

    私が小説『手紙』を読んで特に印象に残った名言です。

    「平野(電気屋の社長)」のセリフ

    逃げずに正直に生きれば差別されない、という若者らしい考え方だが、それは甘えだ。

    小説『手紙』の評価や口コミ

    他の方が小説『手紙』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

    発行された時期が自死の日に近いので、本書を執筆されたときは、既に死を覚悟されていたのでしょうか。温泉宿で湯治する様子が淡々と描かれており、著者の思考は完全に停止しているように感じました。
    Amazonの口コミ

    みなさんの小説を読んだ感想が面白いですね!

    おわりに

    小説『手紙』についての感想と読みどころをネタバレ覚悟で解説しました。

    「面白い」と感じた方は、ぜひご覧ください。

    次に読む予定の小説は『なし』です。







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