小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『虚実妖怪百物語』のレビュー!小説を見た感想は「フィクションのキャラクターが暴れまわる妖怪大戦争の魅力」

三重県にお住いの26歳男性(流通・小売系:書店員)が2021年1月頃に「紙の本」で読んだ小説『虚実妖怪百物語』のレビューをご紹介します。

小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • とぼけた妖怪作家たちのやり取り
  • 現実の人間が多数登場するお祭り感
  • フィクションのキャラクターが暴れまわる妖怪大戦争

小説『虚実妖怪百物語』を読もうと思ったきっかけ

「虚実妖怪百物語」の作者、京極夏彦の著作は「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」など何作か読んでいました。

この作者の作品は文量が多く、書籍がレンガのようにも見えるのですが、読んでみると文体はおどろおどろしくも軽妙で内容もエンタメに特化しており、するすると読んでいけます。

「虚実妖怪百物語」は今まで読んでいた「百鬼夜行シリーズ」とは違い、作者を始め現実に存在する作家や編集者が多数登場する、内輪ネタ的な作品という前情報は知っていましたが、物は試しにと「魍魎の匣」を超える分厚さの鈍器じみた今作を購入しました。

小説『虚実妖怪百物語』の内容

日本各地で妖怪が実体化を始める。

それと比例するように日本人の心から余裕やゆとりが無くなっていき、殺伐とした社会になる。

妖怪が実体化したため妖怪作家や妖怪雑誌の編集者は不謹慎と非難され、遂には逮捕されるようになってしまう。

妖怪文化人たちは水木しげるを旗頭に富士山麓に避難するが、そこに軍隊が襲撃をかける。

妖怪作家たちは妖怪実体化のメカニズムを解き明かし、フィクションのキャラクターを実体化させることに成功。

貞子やポケモン、鬼太郎などのキャラクターで軍隊を迎え撃つ。

やがて黒幕の魔人加藤を倒し、妖怪たちは日本から姿を消した。

小説『虚実妖怪百物語』の作品情報

作品情報

  • 出版社:KADOKAWA
  • 著者: 京極 夏彦
  • 定価:本体1,800円+税
  • 発行年月:2018年12月22日
  • ページ数:1392ページ
  • ISBN:978-4-0410-7434-3
  • 言語:日本語
  • 公式サイト:https://www.kadokawa.co.jp/product/321806000303/

小説『虚実妖怪百物語』のあらすじ

「妖怪や目に見えないモノが、ニッポンから消えている!」
水木しげるの叫びとは逆に、日本各地に妖怪が現れ始める。
背後には、古今東西の魔術を極めた魔人・加藤保憲の影が……。

妖怪撲滅に動き出す政府。“妖怪狩り”を始める民衆。
虚構と現実が入り混じり、荒んだ空気が蔓延する中、榎木津平太郎、荒俣宏、京極夏彦らは原因究明に乗り出した。
多数の小説家、研究者などが実名で登場し、物語は驚異の結末を迎える!

小説『虚実妖怪百物語』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説したい小説『虚実妖怪百物語』の読みどころは大きく3つです。

この小説の読みどころ

  • とぼけた妖怪作家たちのやり取り
  • 現実の人間が多数登場するお祭り感
  • フィクションのキャラクターが暴れまわる妖怪大戦争

とぼけた妖怪作家たちのやり取り

本作はかなりシリアスな内容です。

死人も出ますし、日本がどんどん殺伐としていく様子はかなり心にきます。

しかし、妖怪作家や妖怪雑誌編集者はどうものんびりとしていて、軍隊から追われていてもマイペースに行動します。

捕まった仲間を救出しようにも誰も運転免許を持っていないので大人しく運転免許を持っている編集者が来るのを待ったり、軍隊との決戦でフィクションのキャラクターを出すときにも、「ゴジラはどの形態で出すのが最強か」とオタク議論を始めてしまいます。

終始そんな感じなので、読者も妙にのんびりして大変だなあとぼんやり思いながら読むことになります。

起こっている事件の規模は「百鬼夜行シリーズ」より遥かに大きいのですが、妙に地に足のついところが本作の魅力の一つです。

現実の人間が多数登場するお祭り感

本作は現実の人間がたくさん登場します。

チョイ役ではなく最初から最後までがっつり登場し、むしろオリキャラが数えるほどです。

作者の京極夏彦だけでなく荒俣宏や水木しげる、綾辻行人や中田英夫、嶋田久作も登場します。

現実の人間でありながらどの人物も異様にキャラが立ち、そこが面白さに繋がっています。

私が特に面白いと感じた部分は、京極夏彦が変装のために手袋だけ脱ぐシーンと、敵の正体が魔人加藤であると判明した瞬間、その場にいた群衆が一斉に嶋田久作の顔を見るシーンです。

(嶋田久作映画で魔人加藤役だったため)

フィクションのキャラクターが暴れまわる妖怪大戦争

本作の終盤は「妖怪大戦争」の名にふさわしいカオスぶりとなります。

架空のキャラクターを実体化させられることに気づいた妖怪作家たちは、ありったけのキャラクターを召喚し軍隊と戦わせます。

妖怪ウォッチやポケモン、犬夜叉などのキャラクターがそのまま登場し活躍する様子はあまりにもふざけていて面白すぎます。

特に最大の戦果を挙げるのは貞子で、巨大なテレビが富士山麓に出現し、そこから巨大貞子が登場するくだりは軍隊側に同情しました。

小説『虚実妖怪百物語』を読み終わった感想

ホラーミステリの「百鬼夜行シリーズ」に比べ、ギャグ小説として非常に面白かったです。

また単純なギャグというわけではなく、どこか考えさせられる内容もありました。

特に印象深いのはラストに妖怪を巻物に封印する際に、水木しげるも一緒に封印されてしまうことです。

本作の執筆中に水木しげるは亡くなり、作者・京極夏彦は水木しげるの一番弟子でした。

妖怪たちに囲まれて朗らかに笑う水木しげるは、作者の願いが込められているようです。

小説『虚実妖怪百物語』で印象に残った名言

私が小説『虚実妖怪百物語』を読んで特に印象に残った名言です。

「水木しげる」のセリフ

「オニが妖怪を殺す」

小説『虚実妖怪百物語』の評価や口コミ

他の方が小説『虚実妖怪百物語』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

おわりに

私が小説『虚実妖怪百物語』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。

次に読みたいと思っている小説は『図書館戦争』です。

図書館の権利のために戦う軍人の物語ですが、漫画、テレビアニメ、劇場アニメにもなったほど話題性がある作品なので、次に読むのが楽しみです。







   

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