香川県にお住いの56歳女性(医療系:看護師)が2022年12月頃に「紙の本」で読んだ小説『宙ごはん』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『宙ごはん』を読もうと思ったきっかけ
読み手の心をじんわりと癒してくれる素敵な作品をいくつも生み出してきた「町田そのこ」さんの作品なので、ぜひ読みたいと思っていました。
表紙のどこか懐かしいような、心が温かくなるような挿絵も本を購入するきっかけを作ってくれました。
購入前にネットであらすじを読んでなんだかいい感じのお話だなあと感じたことも、そんな気持ちを後押ししてくれたと思います。
料理が出てくるお話は、あまり「ハズレ」がないという先入観もあったかもしれません。
小説『宙ごはん』の内容
小説としての面白さを兼ね備えつつ、現実の厳しさ、世の中の不条理さなどをあますことなく表現したとても奥の深い作品だと思います。
全体的に癒し系の内容ではあるのですが、主人公やその他の登場人物たちが直面する内容は、けっして楽しい事や嬉しい事ばかりではありません。
それらに翻弄されながらも、乗り越えていこうとする、そして、乗り越えていく姿をとても丁寧に描いています。
自分も厳しい現実に負けるまい、がんばっていこうとそんな風に思わせてくれる作品です。
小説『宙ごはん』の作品情報
作品情報
- 出版社:小学館
- 著者:町田そのこ
- 定価:本体1,600円+税
- 発行年月:2022年05月27日
- ページ数:369ページ
- ISBN:978-4-09-386645-3
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/sora/
小説『宙ごはん』のあらすじ
物ごころがついた時から育ての「ママ」と一緒に暮らしてきた宙。
小学校入学をきっかけに産みの「お母さん」花野と暮らすことになるが、彼女は理想の母親像からは程遠く……
愛し方がわからない花野。
甘え方がわからない宙。
"家族"を手探りする二人には記憶に残る食卓があった。
小説『宙ごはん』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『宙ごはん』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- 現実の世界は厳しいが、必ず道は開ける
- 辛い時は誰かを頼っていい
- 本当に美味しいものと作る人の愛情で人は救われる
現実の世界は厳しいが、必ず道は開ける
主人公やそのほかの登場人物たちのおかれた厳しい現実は、多くの人の愛情やその料理によって、良い方向へと導かれていきます。
「小説だから、あたりまえだ」と思うかもしれませんが、この小説を読むと不思議とそんな感覚に陥らないことに驚かされます。
現実の世界でも、こんな風に道が開けるかもしれないと思わせてくれる魅力がこの小説にはあるのです。
ぜひ、落ち込んでいる人や悩んでいる人に手に取って欲しい、そんな作品です。
辛い時は誰かを頼っていい
「辛い時は誰かを頼っていい」ということをこの物語は教えてくれます。
辛い時、苦しい時、なんとかしようともがき、余計、視野を狭くして物事をさらに悪い方向に導いてしまう。
そんな人物が作品には何人も登場し、そんな彼らを救いたいと思う人たちが現れ、この言葉を投げかけてくれます。
きっと今、辛い思いを抱えている人たちにこの小説は深く深くしみわたることでしょう。
そして、どうすればいいかを優しく教えてくれるはずです。
本当に美味しいものと作る人の愛情で人は救われる
物語にはいくつもの「美味しいもの」が登場します。
そして、その「美味しいもの」には、必ず食べる人のことを心から愛する「作り手」が存在するのです。
両者が傷ついた人々の心を優しく、ゆっくりと解きほぐしていく様は、読んでいるだけでこちらまで涙ぐんでしまうほど感動的です。
さらに、登場する「美味しいもの」が本当に美味しそうなので、お腹も空いてきます。
こんな風にとても贅沢な時間を味わえる極上の作品だと思います。
小説『宙ごはん』を読み終わった感想
読後感が本当にいい作品だなあと思いました。
辛い気持ちや苦しい気持ちを忘れて、ほんわかと優しい気持ちになれるそんな作品ですが、一方でただ癒されるだけのファンタジー作品ではけっしてなく、現実の厳しさもちゃんと描いています。
だからこそリアリティがあって、読み終えた後、心から癒されるそんな風に感じました。
また、最後にちょっとした短編が収録されているのですが、こちらも号泣ものです。
ぜひ、最後まで楽しんで欲しいと思います。
小説『宙ごはん』で印象に残った名言
私が小説『宙ごはん』を読んで特に印象に残った名言です。
印象に残ったセリフ
なし
小説『宙ごはん』の評価や口コミ
他の方が小説『宙ごはん』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
宙ごはん/町田その子 #読了
複雑な家庭環境の主人公・宙を中心とした家族の成長の物語。母親に愛されたいという寂しさ、大切な人との突然の別れ…。人生の中では苦しいこともある。でも、思いがこもった料理は、ひとを生かしてくれる。そして、ひとは幾つになってからでも成長できるものだと教わった。 pic.twitter.com/5brNfugFtx— あんず (@apricot__book) January 25, 2023
朝からボロ泣き。
何やら不穏な出だしに、なんとなくの想像をしながら読み進めるも、「やっちゃん」の死を境に涙なしでは読めなかった。まさかそんな展開とは。
ご飯とともにある人生。毎日は無理でも、たまには一品でも丁寧なご飯を作ろうと思った。#宙ごはん pic.twitter.com/oK4BidO5ox— いま‥ みき (@miki_0106) February 1, 2023
#読了
宙ごはん
町田そのこ
食べることは心を満たし
養うことができるものだと改めて思った。
仕事にかまけてご飯作れない日もあるけど
がんばろって思う。— アイルー (@B8w4d1hVzv8EqTp) January 29, 2023
おわりに
私が小説『宙ごはん』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。