小説のレビュー

【ネタバレ注意】小説『東山道エンジェル紀行』のレビュー!小説を見た感想は「人生の不条理を嘆くことなく笑い飛ばす小説」

千葉県にお住いの39歳男性(流通・小売系:物流センターの検品担当)が2021年10月頃に「紙の本」で読んだ小説『東山道エンジェル紀行』のレビューをご紹介します。

小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。

この小説の読みどころ

  • 理不尽な目に遭ってもへこたれない
  • 正体不明の追跡者振り切り関門を突破せよ
  • 過酷な道中の数少ない楽しみ

小説『東山道エンジェル紀行』を読もうと思ったきっかけ

小説家としてはもちろん、ミュージシャンや映画俳優など多彩なジャンルで活躍している町田康さんの作品には前々から興味を持っていました。

初めてこの本を目にしたのは、駅近くのショッピングセンターにある書店の文芸コーナーで。

水彩画の個展やコンピューターグラフィックの創作で有名な、寺門孝之さんによって装丁されたピンク色の表紙にも惹かれます。

単行本サイズで99ページという、気軽に手に取りやすい厚さだったのも大きな理由です。

小説『東山道エンジェル紀行』の内容

2021年の9月10日、左右社から刊行されています。

物語の語り手は「俺」、ある日突然に生まれ育った故郷を追放されて世界各地を彷徨い歩くことを宿命づけられた男です。

少年時代を奈良県奈良市の若草山で過ごしたという他は、個人的なプロフィールは一切語っていません。

あれから年を取ったとボヤいている様子から、現在では中年期を迎えているようで。果たして俺は「追放者」の汚名を返上して、懐かしいあの場所に帰ることができるのでしょうか?

小説『東山道エンジェル紀行』の作品情報

作品情報

  • 出版社:左右社
  • 著者:町田 康
  • 定価:本体1,800円+税
  • 発行年月:2021年09月15日
  • ページ数:102ページ
  • ISBN:978-4-86528-016-6
  • 言語:日本語
  • 公式サイト:https://sayusha.com/books/-/isbn9784865280166

小説『東山道エンジェル紀行』のあらすじ

「俺は生涯、死ぬまで追放者だ」
郷里を追い放たれた《追放者》たる俺は、生涯続く、目的地のない不毛な旅路を行く。軽発や案内侍に監視されながら、止まることを許されない俺を待ち受ける奇妙な出会い──泣き女、人虎、水中舞踏家、音楽女王、etc. 不毛な旅路の果てに《追放者》が見出した光景とは──。

小説『東山道エンジェル紀行』の読みどころをネタバレ覚悟で解説

私がネタバレ覚悟で解説したい小説『東山道エンジェル紀行』の読みどころは大きく3つです。

この小説の読みどころ

  • 理不尽な目に遭ってもへこたれない
  • 正体不明の追跡者振り切り関門を突破せよ
  • 過酷な道中の数少ない楽しみ

理不尽な目に遭ってもへこたれない

主人公に固有名詞が与えられていないという風変わりなスタイルで、「俺」としか名乗らないのもぶっきらぼうですね。

豊かな自然に囲まれた若草山を走り回っていた少年が、あっという間に年老いてしまったような印象も漂わせていました。

特にこれといって悪いことをした訳ではないのに、住み慣れた町を追われてしまったのが何とも哀れで。

そんな人生の不条理を突き付けられても愚痴を溢すことなく、ただひたすらに旅を続ける姿からは勇気を貰えるはずです。

正体不明の追跡者振り切り関門を突破せよ

業苦のような道を1歩1歩踏みしていく主人公の背後から、静かなエンジン音を響かせて近づいてくるのは「軽発機」。

どうやら追放者を監視するために飛び回っている飛行タイプの小型マシンのようですが、パイロットがいるのかコンピューターに自動操縦なのかは分かりません。

ようやく町にたどり着いたと思ったなら、ゴールデンゲートの前に門番が待ち構えています。

旅行手形もチケットも持っていない主人公は正面から強硬突破か、それともコッソリと裏口から回るのか。

思い悩んだ末の、意外な選択にはビックリです。

過酷な道中の数少ない楽しみ

起伏に富んだ山道を休むことなく歩き続けたために足腰はボロボロ、炎天下の中を飲まず食わずで突き進んだために喉はカラカラ。

そんな疲れきった身体を癒すには、美味しい料理と冷たいドリンクしかありません。

お洒落なカフェに入ってコーヒーでほっとひと息ついたり、行列のできるお寿司屋さんで握りを頂くのは頑張った自分への御褒美ですね。

やたらと美味しそうな食べ物の描写と、無愛想な店員の接客態度とのコントラストにも注目してみて下さい。

小説『東山道エンジェル紀行』を読み終わった感想

麦やブドウを実らすために涙を流すナキメ(泣き女)、凶悪な猛獣をコロリと手懐けてしまう美少女、黒い水着を着てプールの底で踊り続ける自称・水中舞踏家...

主人公以上に風変わりな人たちが、次々と現れては去っていく展開が忘れがたいです。

長く孤独な道中でも、人と人との触れ合いには温もりを感じることができました。
袖振り合うも他生の縁といった人情こそが、殺伐とした現代に生きるわれわれに求められているのかもしれません。

小説『東山道エンジェル紀行』で印象に残った名言

私が小説『東山道エンジェル紀行』を読んで特に印象に残った名言です。

「俺(主人公)」のセリフ

何も学ばなかった。ただ遠くまで来た。

小説『東山道エンジェル紀行』の評価や口コミ

他の方が小説『東山道エンジェル紀行』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。

おわりに

私が小説『東山道エンジェル紀行』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じられた方はぜひ読んでください。

次に読みたいと思っている小説は『男の愛 たびだちの詩』です。

著者は同じく町田康、「清水の次郎長」こと山本長五郎をモデルにした時代小説です。

架空の人物を描いた本作とは、違った味わいが期待できます。







   

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