東京都にお住いの30歳男性(医療業界:営業)が2022年5月頃に読んだ『上流思考-「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法-』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
『上流思考』を購入したきっかけ
仕事柄、どうしてもトラブルが発生してしまうことが多く、日々トラブル対応に業務の時間を割り当てなければなりませんでした。
そこでどうにかそのような問題を改善できないか模索していたところ、本屋での評判が良かった著書を手に取りました。
一見『上流思考』というタイトルだけを見てみると「社会階級の話」、「アッパークラスを目指す向上心のような精神論が紹介されている」と思うかもしれません、
ですが全くそのような話ではなく、不祥事やトラブルをいかに”事前に防ぎ”、”根本的な問題を生み出さないようにするか”ということが描かれており、私の想いを叶えてくれると思い購入を決めました。
候補に挙げていた書籍1:『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』
候補に挙げていた書籍2:『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』
『上流思考』の概要
本のアウトラインとして、「なぜ問題が繰り返し起きるのか」、「本質的な問題解決はどういったことなのか」という問いに対し、対処療法的な問題解決をしていくのではなく、トラブルが起きないよう事前に防止策を打つ大切さを著書を通じて主張しています。
その為、本のタイトルである上流思考とは、問題が起こる流れ(プロセス)を「川の流れ」として表現されています。
言い換えれば、日常的に起こるトラブルや不祥事の対応を“下流の活動”と言い表し、むしろ問題を生み出している根本的な原因、つまり“上流の活動”にアプローチすることがトラブル防止に一番効果的であると述べています。
『上流思考』の基本情報
基本情報
- 出版社:ダイヤモンド社
- 著者:ダン・ヒース 著/櫻井 祐子 訳
- 定価:本体1800円+税
- 発行年月:2021年12月15日
- ページ数:376ページ
- ISBN:978-4-4781-0877-2
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.diamond.co.jp/book/9784478108772.html
『上流思考』の目次
目次
- CHAPTER 1:上流に向かえ ── 根本から解決する「新しい思考法」
- CHAPTER 2:問題盲 ── 「そういうものだ」と思ってしまう
- CHAPTER 3:当事者意識の欠如 ── 自分で解決できるのに気づかない
- CHAPTER 4:トンネリング ── 「目の前の問題」しか見えなくなる
- CHAPTER 5:「しかるべき人たち」をまとめるには? ── 多様なメンバーで問題を「包囲」する
- CHAPTER 6:「システム」を変えるには? ── 目の前の「水」に目を向ける
- CHAPTER 7:「テコの支点」はどこにある? ── 問題に寄り添う
- CHAPTER 8:問題の「早期警報」を得るには? ── 価値の大きい警報を見抜く
- CHAPTER 9:「成否」を正しく測るには? ── 「幻の勝利」に気づく
- CHAPTER 10:「害」をおよぼさないためには? ── 「フィードバックループ」で改善する
- CHAPTER 11:誰が「起こっていないこと」のためにお金を払うか? ── 「払った人が得をする」仕組みをつくる
- CHAPTER 12:予言者のジレンマ ── 「いまそこにない危機」に対処する
- CHAPTER 13:あなたも上流へ ── 一個人として上流活動をする
『上流思考』のYouTube(ユーチューブ)
『上流思考』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
「YouTube図書館」チャンネルがわかりやすくまとめられていたので、本を読む時間がない方はこちらのYouTube(ユーチューブ)動画をおすすめします。
『上流思考』から学んだことの要約とまとめ
『上流思考』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- 「よく起こる事」は事前に防げる
- 「なぜこのようなやり方なのか」を考える
- 常態化している「異常」を見つける
著書の内容を一言で表すと、「問題解決の本質は、問題が起こる前に対応する事」です。
そのため、巷にあふれているいわば、場当たり的な対応方法ではなく、「問題をいかに発生させなくするか」という本質的なアプローチ方法を目指していく一冊となっています。
要点をまとめると、下記の通りです。
【上流思考】
- 常に先手を打つ
- 「根本的」な解決を目指す
- 問題自体がなくなる
- システム全体を変える
- 無駄な作業をなくす
【下流思考】
- 後手になる回る
- 「場当たり的」な対応になる
- いつまでやっても作業が終わらない
- 対応しても変わらない
- 時間を浪費する
初めての方でも手に取りやすい内容となっています。
「よく起こる事」は事前に防げる
日々の生活を送るうえで、職場でも(もちろんプライベートでも)「こんな問題さえ起きなければどれだけ楽になるのか…」と感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
本書を読み進めていくことで、日常的に頻繁に起こることは、根深い根本的な原因があり、それに対して改善策が打てていない状態だと言えます。
言い換えれば、その根本的な解決さえできれば、今まで浪費してきたムダな作業や時間を削減する一方で、生産的な(有意義な)取り組みに時間を費やすことができるようになります。
「なぜこのようなやり方なのか」を考える
「今までこうやって対応してきたから…」そのような慣例主義は、根本的な解決にはなりません。
著書では、米国にあるイリノイ州の高校中退率を改善しようとするエピソードで、「学校を辞めたい」といった生徒に対して、慣例的に(退学防止を狙いとした)面談を実施することは実際の所効果が薄いです。
それよりもむしろ、生徒の家庭環境や学習機会など長期的(ストーリー的)に対応していかなければ、人ひとりの問題は解決できないという結論は学ぶべき点が多いです。
常態化している「異常」を見つける
医療業界では、「仕事の失敗は患者の命に関わる」という使命感から、誰かがミスをするたび、厳しいチェックや指導が入っています。
しかし調査を進めてみると、このような”事後的な対応”では、ミスは減るどころかむしろ増える一方だと著者は述べています。
頻繁にミスが起こるのには、必ず原因が存在します。
その原因に対し解決するアプローチ方法はミスした本人を叱ったり、面談で詰めたりすることではなく、システム的にミスが出ないよう対応していくことが重要だと述べており、自分自身、省みる部分がありました。
『上流思考』の感想
著者は、NYタイムズで47週ベストセラーという実績を叩き出し、世界150万部超えの『アイデアのちから』など、数々の話題作を世間に送り出してきたダン・ヒース氏になります。
今回の本では、経済から教育、さらにはスポーツや医療に至るまで幅広く取材をする中で、「問題解決の本質とは何か」というテーマについて切り込んでいく様子が描かれており、問題解決に関して真摯的にかつ、情熱的に自己の主張を述べています。
問題を根本から解決することに対し、あきらめることなく最後まで粘り強く戦う姿勢が胸を打たれ、幅広い年代・業種の方々にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
『上流思考』の評価や口コミ
他の方が『上流思考』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
『上流思考』とは、
根本原因(川でいう上流)にまでさかのぼって問題に対処するという考え方「慢性的ホームレスをなくした都市」「高校の卒業率を25%上げた教育学区」「解約率を半減させたLinkedIn」等々、研究やデータを元に大きな問題に取り組んだ成功例が満載です! pic.twitter.com/hOd9DRCcnu
— 櫻井祐子⛅ (@YukoYSakurai) December 27, 2021
GWおすすめ本③は『上流思考』です。くり返し起こる問題にいくら下流で対処していてもキリがありません。ならば”上流(根本)から解決してしまおう”という思考法が学べます。焦るとついつい目先の対処に追われてしまうものです。GWに上流思考を学んで、ムダな作業をなくしませんか?#GW書籍紹介 pic.twitter.com/F4oy16xgMT
— ワンホ|本要約ライター (@wanho_book) May 1, 2022
机の配置変えただけでめちゃ読書捗る(。・ω・。)
上流思考面白かった。
話長いけど、人生に活かせそうな内容。 pic.twitter.com/ec42cNM0eJ— COCCCO@セドリーヌ (@coccco_me) February 13, 2022
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
今回学んだ内容では、問題解決に対する新しい視点・アプローチ方法のヒントが得られます。
ビジネスの場でも(日常生活の中でも)、自身の周りで繰り返し起こるトラブルに振り回されてしまう人、何度も面倒事に遭遇してしまう人がいるかと思います。
そのような日常的に問題(課題)に直面している人たちに対して、「こんなことになるならもっと早く対応しておけばよかった…」とならないように、常に問題に先手を打ち続ける必要があります。
結果的に”問題を根絶する”方法を身に付けることができれば、自分の時間を浪費ではなく生産的な使い方になるのではないかと思います。
次に読みたいと思っている本は『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』です。
よく日本人は「失敗に対して卑屈になりすぎ」と言われます。
米国では、例え事業で失敗したとしても、「次の成功につながる為のヒントを得た」といった受け取り方をするのに対し、一方日本では「失敗は一生の恥」というイメージが今でも残っています。
そのような失敗に対する考え方の違いや、自身が成長し続ける為に失敗から学ぶべきポイントを次の著書では学びたいと考えています。