千葉県にお住いの28歳男性(IT・通信系:システムエンジニア)が2021年10月頃に読んだ『本気でトラウマを解消したいあなたへ』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』を購入したきっかけ
著者の藤原ちえこさんのことを以前から知っていて、ブログなどのWeb媒体の文章を読んだことがあり、価値観や人生観に共感し、大いに尊敬していました。
藤原さんはセラピスト(臨床心理士)なので、いつか直接セラピーを受けてみたいと思っていたのですが、そんな折に著書を出されたことを知りました。
ご自身のブログの紹介記事では藤原さんのご友人や実際にセラピーを受けたクライアントの方々のレビューが掲載されていて、私もセラピーを受けるかどうか、この本を読んで決めたいと思ったのがきっかけです。
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』の概要
この本のタイトルにあるように、トラウマを解消したい人のための本です。
そもそもトラウマとは何か、どんな種類があるのか、回復するためには何をすればいいのか、回復しない場合はどうするのか、トラウマについてとにかく丁寧に説明してあります。
セラピストのセラピーを受ければ済むという単純なものではなく、セラピストとクライアントがどのように歩み寄ればいいのか、そもそもどうやってセラピストを選べばいいのかなど、著者の臨床経験に基づく役立つ情報が満載です。
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』の基本情報
基本情報
- 出版社:日貿出版社
- 著者:藤原ちえこ
- 定価:本体1,600円+税
- 発行年月:2020年02月04日
- ページ数:264ページ
- ISBN:978-4-8170-7048-7
- 言語:日本語
- 公式サイト:http://nichibou.shop-pro.jp/?pid=148526608
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』の目次
目次
- 1章 トラウマってなに?~なぜトラウマ症状が起こるのか
- 2章 トラウマの原因探しはいりません
- 3章 トラウマが身体から解放されるサイン
- 4章 解離~トラウマを受けたあなたに必ず知っておいて欲しいこと
- 5章 発達トラウマと、恥の感覚
- 6章 子どものころ、性的虐待を受けていたあなたへ
- 7章 医療トラウマ
- 8章 周産期トラウマ
- 9章 回復のために最も大切なこと その1~助けを求める
- 10章 回復のために最も大切なこと その2~リソースをふやす
- 11章 回復のために最も大切なこと その3~逃げる
- 12章 あなたがこの世界に少しでも居やすくなるためのエクササイズ
- 13章 回復の物語~ 一切のダイエットをせずに、1年間で40キロやせた真理子さん
- 14章 良いセラピストとは~セラピストの選び方
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』のYouTube(ユーチューブ)
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
残念ながら本書を紹介しているYouTubeチャンネルはありませんでしたので本ブログにて要点をまとめてお伝えできればと思います。
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』から学んだことの要約とまとめ
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- トラウマのしくみ
- 生き延びるためにトラウマが必要な場合もある
- トラウマからの回復
この本は三部構成になっており、第一部ではトラウマのしくみについてありがちな誤解に対する著者の見解を紹介するとともに、トラウマが身体から解放される際の兆候について述べられています。
第二部ではトラウマの種類について具体例を交えて紹介されています。
第三部では、トラウマからの回復について様々な方法が紹介されており、その中には著者のクライアントの体験談や良いセラピストの選び方も紹介されています。
トラウマのしくみ
そもそもトラウマとは、ストレスに対する人間の身体の自然な反応が解消されずに心身にとどまっている状態であると著者は考えています。
トラウマを抱える原因は人それぞれで、些細な出来事が大きなトラウマの要因になることもありますが、時間が解決することはなく、何らかの心理学的なアプローチが必要で、著者は、助けを求めることの重要性を強調したうえで、「どんなひどいトラウマからも回復することができる」と断言しています。
生き延びるためにトラウマが必要な場合もある
トラウマを受けた後に起こる自然な反応として、「解離」と呼ばれる現象があります。
これは、トラウマの原因となった出来事が耐え難いほどの痛みや苦痛、不快感をともなうものであった場合、その場を切り抜けて生き延びるために必要なメカニズムなのですが、それによって様々な弊害が生じます。
著者は、トラウマを癒やすための一番の早道は、「ゆっくり進むこと」だと分析したうえで、解離状態のクライアントに対して時間をかけて治療に取り組むことの重要性を語っています。
トラウマからの回復
著者は、トラウマから回復するためにまずは誰かに助けを求めることが重要だと繰り返し述べたうえで、セラピストは使うものであり、依存するものではないとしています。
また、セラピストの言うことを盲信してはならず、自分に合わないと思ったらそのセラピストとはすぐに関わらないようにするべきで、セラピーを受けること自体が敷居が高いと思うなら、トラウマに悩む人たちがお互いを助け合うために作った自助グループを利用するのもよいと結論づけています。
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』の感想
トラウマという一つのテーマに対してこれだけたくさんの見解と実例をご紹介されたところに心理学の奥深さと著者の臨床経験の凄みを感じるとともに、決して突き放すような表現を使わない語り口の優しさに、著者の人柄がよく表れていると思います。
以前から著者のブログを読んでいて、優しく、気遣いの行き届いた方だと思っていましたが、この本のあとがきで丁寧に謝辞を述べられているところにとても好感が持てました。
トラウマに悩んでいない人が純粋な読み物として読んでも幸せな気持ちになれる本だと思います。
『本気でトラウマを解消したいあなたへ』の評価や口コミ
他の方が『本気でトラウマを解消したいあなたへ』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
トラウマで悩んでいる人や医療従事者には是非読んで頂きたい本です。自分は軽度なタイプだったようで少しハズしましたが、それでもトラウマについて考察するキッカケとなりました。
AMAZONの口コミ
この本には、トラウマからの回復に大切なことが、とてもわかりやすく書かれています。
トラウマは、異常な出来事に対する、心身の正常な反応ということを知り、自分は頭も身体もおかしいと思っていたけれど、そうではなかったのだ、自分は悪くなかったのだと気づかされました。自分を責めることが少なくなり、自分のことが愛おしくなりました。
回復に大切なことは、とても簡単で、地味で、ごく普通のことで、自分一人で出来ることも多いです。なので不安になったり辛くなった時には、繰り返し本書を手に取り実践しています。
本の中にも書いてあることですが、解離癖がある私は、一度習ったこともすぐに忘れてしまいます。なので、何度も本書を読み返していますが、解離は、生き延びるために必要で身につけたメカニズムであり、自分自身を守るための素晴らしい事だったんだと、今では理解しています。
私はちえこ先生のセラピーの卒業生ですが、セラピーの復習本として、本書を活用しています。落ち込むことがあっても、読むと元気で楽な自分に戻れるからです。
身体があたたかく、呼吸が深く、肩や首がゆるんでおり、すっきりと軽く、いきいきと元気な感じがして、目がはっきりと見え、頭の中がクリアに冴えている……セラピーを受け続け、こういう心地よい身体感覚に実際なった私は、たとえ時々人生でうまく行かないことがあったとしても、もう大丈夫!と思えるようになりました。過去にどんな酷いことがあったとしても、今はこっちが普通なのです。
トラウマからの回復は、何よりまず孤立しないこと。助けてくれる人は、この世に必ず存在すること。助けを求めることは弱いことではなく強さであること。自分は一人ではないこと。自分の感覚を大切にすること等々。とても希望が持てました。
ちえこ先生のお勧めする、自助グループに通い続け、そこで出会った仲間達と、今は回復の道を一緒に歩んでいます。
トラウマを解消できた私は、ゆっくり、ゆっくり、時間をかけて、これからも自分を癒しながら、ダメな自分を嫌わないで、どんな自分でも受け入れ、自分に優しく、自分を育て、人生を楽しんで送って行きたい。そう思えるようになった、一冊です。
心の底から、ぜひおすすめします!
AMAZONの口コミ
を読んだだけで、号泣、トラウマが解放されていく体験をしました。
もし、本の内容で個人的な体験・感覚と共鳴するものがあれば、まるでセラピーを受けているかのような本と感じられるかもしれません。わたしの場合は幼い頃から自分のことを「みんなと違っていてどこかおかしい」「わたしは卑しい存在だ(後述の「自分は汚い」と感じる感覚に近いと思います)」と感じていたところがありました。
具体的なトラウマ体験の記憶もないので、なぜこのような感覚があるのか、自分でもわけがわからず過去にいろいろなセラピーを受けてきましたが、その感覚が変わることはありませんでした。
しかし、藤原さんの本の中の文章で一気にそれが解放されていきました。「自分は汚い」と感じている人がいるということ、でもそれは本人に非があるわけではなく、トラウマ体験によってもたらされたものだと書いてありました。この章を読みながら号泣しました。私が悪いわけじゃなかったのか…と深く感じました。今まで長い長い間説明ができなかった自分の感覚に共感してもらえる内容でした。そして心の緊張がスーッと抜けていった瞬間でした。この号泣体験をしてから「自分は卑しい」と感じていた感覚が嘘のようになくなりました。まさか本を読んだだけでこんなことが起こるとは自分でもびっくり体験です。
なんか生きづらいなと感じている方に、もしかしたらその答えがあるかもしれないので読んでいただきたい本になりました。
AMAZONの口コミ
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
この本からトラウマのしくみと回復への道筋を学びましたが、同時にトラウマから立ち直ることの難しさもよく理解しました。
私自身は差し迫ったトラウマを自覚していないので、この本の内容を実践して活かすのは難しいですが、著者のセラピストとしての信条や、セラピーにおけるスタンス、クライアントとの向き合い方など、著者の素晴らしさを再認識するとともに、興味深い点がたくさんあったので、著者のセラピーを受けさせていただくことに決めました。
次に読みたいと思っている本は『ソマティック心理学』です。
心理学には多岐にわたる分野があり、藤原ちえこさんのご専門はソマティック心理学だそうですが、聞き慣れない言葉だったので調べてみると、久保隆司さんという方が書かれた「ソマティック心理学」という本があるようなので、その本から心理学の奥深さを学びたいと思います。