京都府にお住いの39歳女性(サービス系:ライター)が2023年10月頃に読んだ『正・続 まんが パレスチナ問題』のレビューをご紹介します。
本書の概要や内容をわかりやすく要約してまとめておりますので、書籍を読んで学んだことや感想、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
『正・続 まんが パレスチナ問題』を購入したきっかけ
10月にハマスのイスラエル大規模攻撃が起こった際にパレスチナ・イスラエル問題をもっと深く理解したいと感じ、基本から学べる入門書を探し購入しました。
口コミを読んで評価が高かったことも決めてです。
「まんが」と題名にありますが風刺画のようなイラストを交え解説している点を「まんが」と読んでいるだけで、コマ割りがあるストーリー漫画ではありません。
ニュースの理解度が高まる新書本を探していたので、そんな私のニーズにはピッタリでした。
『正・続 まんが パレスチナ問題』の概要
現在戦争中のパレスチナのハマスとイスラエルですが、その背景にあるパレスチナ問題を理解するには、旧約聖書からひも解く必要があります。
この本では4000年前より遡り、パレスチナ問題を理解するためには理解が必須であるユダヤ教・キリスト教・イスラム教について、2度の世界大戦とホロコースト、中東戦争を順を追って解説してくれています。
パレスチナ人とユダヤ人の少年を主人公とし彼ら2人が歴史や宗教の解説を聞き、時に対話する形式をとっているので、ニュートラルな立場で学ぶことができます。
2015年に発売されていますので、この本の中で追っている時事問題の内容は2015年のものまでです。
基本情報
- 著:山井教雄
- JP-eコード:0628833100100011000W
- 出版社:講談社
- コンテンツ公開日:2015年08月28日
『正・続 まんが パレスチナ問題』のYouTube(ユーチューブ)
『正・続 まんが パレスチナ問題』についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。
「たくみっく」チャンネルが細かく解説してくれているので、本を読む時間がない方はこちらのYouTube(ユーチューブ)動画をおすすめします。
『正・続 まんが パレスチナ問題』から学んだことの要約とまとめ
『正・続 まんが パレスチナ問題』から私が学んだポイントは大きく3つの内容です。
私が学んだこと
- 現在のイスラエルの徹底した報復攻撃など強固な姿勢は、ユダヤ人が暴力により迫害されてきた歴史によって生まれているということ
- 将来への希望の無さがテロリストを多く生んでいるということ
- ハマスは福祉部門があったり病院や孤児院の運営をしているという面があり、それ故パレスチナで支持されているということ
現在のパレスチナ・イスラエル問題を理解するにおいて、必ず押さえておかなければいけない基本的な事項が盛り込まれている本です。
イスラエルを建国したユダヤ人が信仰しているユダヤ教について、そしてキリスト教・イスラム教との違い、聖書の内容をまず解説してくれています。
そのあとに十字軍やフランス革命、2度の世界大戦とホロコーストを本書でたどることで、なぜユダヤ人によりイスラエルが現在の地に建国されたのかということが理解できるようになっています。
そして第二次世界大戦後の中東戦争から9.11、イスラエルのガザ侵攻・アラブの春とパレスチナだけではなく中東問題全体を2015年まで解説してくれています。
現在のイスラエルの徹底した報復攻撃など強固な姿勢は、ユダヤ人が暴力により迫害されてきた歴史によって生まれているということ
現在ニュースを見るとイスラエルはやりすぎではと思うような徹底的な報復攻撃をしており、なかなか戦闘休止にも合意しませんでした。
やられたら何十倍にでもして返すというような強い意志が感じられ、そこには世界の世論も付いてこないのでは?と感じもしました。
しかし過去迫害を耐え忍んだ結果がホロコーストであったユダヤ人の歴史を思えば無理もないのかもしれません。
ホロコーストで暴力には徹底した暴力でしか対抗できないという答えを導き出してしまったユダヤ人には、外の人間からの言葉はなかなか届かないのかもしれません。
将来への希望の無さがテロリストを多く生んでいるということ
将来への希望の無さ・閉塞感は、人から人生の困難に耐える力を根こそぎ奪います。
そこに宗教がからみ「殉教者」になることでしか自分の気持ちを昇華させるものがないという状態こそ、テロ行為の背景です。
壁で囲まれ行き詰っているパレスチナをはじめ、将来を描けない状態を何とかしないとテロ行為は規模を大きくする一方であるということを理解しました。
きれいごとなのかもしれませんが、そういった土地に希望を生み出す動きをしていかないと事態は改善しないのでしょう。
ハマスは福祉部門があったり病院や孤児院の運営をしているという面があり、それ故パレスチナで支持されているということ
なぜテロ集団のようなハマスがパレスチナの中で支持されているのかが疑問でしたが、そもそも福祉団体として発祥していたことは支持されている1つの要因のようです。
選挙も2006年に民主的な選挙を正攻法で勝利しており、また要求していたことも、パレスチナ難民の帰還やイスラエル入植地の撤廃など現実的な内容ではありました。
パレスチナ人にとってはハマスは身近な存在であり、テロ集団という私たちのイメージからは乖離しているのかもしれません。
『正・続 まんが パレスチナ問題』の感想
現在のイスラエルやパレスチナで今起きていることだけを見ていても、「なぜハマスはイスラエルを侵攻したのか」「なぜイスラエルは国際的世論を無視してここまで報復攻撃をやめないのか」などが疑問としてありました。
中東で起こる問題に関するニュースも何となく理解しきれない感覚がずっとありましたが、日本人にはなじみが薄い宗教的な「聖戦」「聖地」への理解がないと、このあたりの問題をしっかりとらえることはできないのだと改めて感じました。
『正・続 まんが パレスチナ問題』の評価や口コミ
他の方が『正・続 まんが パレスチナ問題』を読んでどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
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今日の世間では、パレスチナ=テロリストとしか考えられておらず、それが作り上げられた誤解であるということもなかなか理解されがたい。[パレスチナ問題]の中では、歴史的事実が列挙され問題の真相が明かされる。そうして我々の持っている蓄積された誤解の硬い皮を剥がしていくことが、著者によって行われる。1979年の段階でこの文献がニューヨークにおいて発刊された、これ事態がサイードの精神的知的勇敢さと不屈の意志を証明している。西洋発の大衆向けプロバカンダによって隠され続けている、パレスチナにある真の大義を本書は明らかにしている。サイードの著作は大きな指標となって、現在は多くの国家と国民がパレスチナに対する指示を表明することは国際社会の常識となった。多くの日本人にとってあちらの情勢は興味の対象外だが、その理由のひとつである事態の複雑さを、まるでもつれ固く結ばれた糸をほどいていくように解説している、著者の精魂こもった仕事に頭が下がる。遠くない将来において中東戦争が調停され、サイードに限らない多くのパレスチナの人々の忍耐と努力と血が正しく成就された独立国家パレスチナが誕生することを切に願う。
Amazonの口コミ
みなさん本書を読んで学んだことが多いみたいですね!
おわりに
この本は中立の立場になるように、かなり言葉を選んで書かれています。
ですので、読み終わったときには「〇〇が悪い」というどちらかに付くような感想は出てきません。
パレスチナ・イスラエルそれぞれの正義があり、苦難の歴史があります。
ですので、今ニュースで飛び込んでくる「ハマスが突然イスラエルを攻撃した」「ハマスが人質を拘束している」ということに対しても、「ハマスが悪い」で終わらせるだけではなく、もう一歩踏み込んだ見方ができています。
イスラエルが今やっていること、そして大国の意図も含め、もう少し広い視点でニュースを理解することに活かされています。