神奈川県にお住いの22歳女性(流通・小売系:出版)が2022年11月頃に「紙書籍」で読んだ小説『炭酸水と犬』のレビューをご紹介します。
小説を見た感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説しておりますので、小説を見る前に面白いのか知りたい方、評価や口コミが気になっている方は参考にしてください。
目次
小説『炭酸水と犬』を読もうと思ったきっかけ
instagramで面白そうな小説を探しているときに、何度か見かけました。
表紙がとってもさっぱりしていて、炭酸のシュワっとした爽やかさも合わさり、色使いがとてもセンスが良いと感じました。
また、ニュアンスを拾ったようなデザインで、はっきりと炭酸水も犬も書かれていないのもかえって気になりました。
著者さんのお名前は初めて聞きましたが、面白そうだなと思い、この書籍の購入を決めました。
小説『炭酸水と犬』の内容
序盤にすぐ、ポリアモリー小説なのだなと思いました。
浮気ではなくて、どちらも並行して大切な恋愛のようでした。
無意識に飴と鞭を使う主人公の恋人、そんな恋人に主人公は非常に悩まされています。
他の人には悩みをあまり話さないタイプの主人公は、読者の私とだけ心を通わせてくれるようでした。
そんな彼女に幸せになって欲しくて、こちらも辛くなりながら必死に読みました。
最後の方になって、これは特殊なカップルやポリアモリーの話ではなくこじらせ過ぎた恋愛小説であるとわかります。
小説『炭酸水と犬』の作品情報
作品情報
- 出版社:KADOKAWA
- 著者:砂村かいり
- 定価:本体1,200円+税
- 発行年月:2021年03月18日
- ページ数:400ページ
- ISBN:9784041111390
- 言語:日本語
- 公式サイト:https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000285/
小説『炭酸水と犬』のあらすじ
9年付き合っている同棲中の恋人とは、結婚秒読みのはずだった。
「もうひとり、彼女ができたんだ」
恋人の突然の告白。
そして、もうひとりの彼女に引き合わされ、わたしの感情はばらばらになってゆくが――。
小説『炭酸水と犬』の読みどころをネタバレ覚悟で解説
私がネタバレ覚悟で解説したい小説『炭酸水と犬』の読みどころは大きく3つです。
この小説の読みどころ
- ヘタレな彼氏
- 優しい彼氏の弟
- 自分にもある弱い面
ヘタレな彼氏
主人公とその恋人は、一緒に暮らして長く、交際はそろそろ10年になる頃で、結婚を考える時期にきています。
主人公である彼女は、そろそろ20代を終える頃で、女性が結婚や出産に敏感になる時期です。
彼は基本いい人で、真面目で、とても気がつく人なのですが、ある日突然ひどい浮気性にかかります。
正確には、「彼女」がもう一人できたというのです。
主人公の彼女は、甘えすぎなようで律儀すぎなようにも見える変な彼氏に振り回されます。
優しい彼氏の弟
ある日突然、もう一人の「彼女」ができたと言い出す同棲中の彼氏。
ありえないような男の人ですが、この彼氏には弟さんがいます。
序盤、異様に仲が良くて主人公にブラコンと評されるこの兄弟に、私は兄の尻拭いをしなくてはたまらない弟だと認識していました。
違うぞと気が付いたのは、主人公よりも少し早いくらいでした。
かなり影が濃くて、いい人だなと好感度が高かったこの弟さんが、どんどん大きな存在になっていきます。
自分にもある弱い面
序盤にポリアモリー小説だと思い込んで読んでいた時、私は自分がポリアモリー小説を読むのが苦手なことに気がつきました。
苦しくて苦しくて、少しおかしくなってしまいそうになるのは、自分にもどこか重なるところがあるからだと気がつきました。
結果、この小説はただのこじらせ恋愛であるのですが、想いが一方通行であるときに皆が考えそうなことは似ていると思います。
どんな形でもいいから一緒にいてほしい、やっぱり自分を見てほしい、その自分の気持ちの矛盾は本当に辛いものだと思います。
小説『炭酸水と犬』を読み終わった感想
キュッと苦しい恋愛小説を全速力で読んだような心地になります。
苦しくて苦しくて、主人公の中に自分を見つけながら読み始めていくうちに、主人公よりも早くに色々気がつく場面が出てくると思います。
こちらに流れ着くと幸せになれる、そう感じた時から胸の中はとても暖かくなりました。
本物の友人のように、ただ、主人公に幸せになってほしい。
その思いを他の多くの読者と共有しながら、最後には素直さ満点の大人の恋愛へたどり着きます。
小説『炭酸水と犬』で印象に残った名言
私が小説『炭酸水と犬』を読んで特に印象に残った名言です。
「真先」のセリフ
「兄貴は一回死ね」
小説『炭酸水と犬』の評価や口コミ
他の方が小説『炭酸水と犬』を見てどう思われているのか、評価や口コミを調べてみました。
「もうひとり彼女ができたんだ」
恋人からの告白から始まる物語読んでいる私の喜怒哀楽が忙しい〜
感情の揺れ幅の表現はもちろん主人公と彼を取り巻く、彼の弟と彼のもう一人の彼女の対比も良かった。
タイトルにもハッとさせられました。
読んで良かった! pic.twitter.com/6vtANmimY7— しましまと水玉 (@shimatomizutama) November 20, 2022
先週は結局色々な事で心が整わず、読むのが今日になってしまったのですが、一気に読むことができて結果良かった。
もう、ホントにホントに大好き!
イライラ、バクバク、最後は涙で終わりました。
素敵すぎる一冊です。#炭酸水と犬 #読了 pic.twitter.com/b0kmgNUCCJ— まる (@UVaUYIX58ERYJYl) November 6, 2022
結局 #炭酸水と犬 一晩で読破しちゃったんだけど、ものすごく刺さったな... 共感は一切できないけどずっと価値観として私の中に眠っていたような気がします。どこまでも狡いけど、その狡さがいい刺激をくれた。読了後も高なって寝付けず、朝を迎えてから長い夢を見ていた感覚になりました。 pic.twitter.com/t9JbUPzYV3
— 小松 糸 (@yarn_43) October 7, 2022
おわりに
私が小説『炭酸水と犬』を読んだ感想や読みどころをネタバレ覚悟で解説してきましたが、「面白い」と感じた方はぜひ読んでください。
次に読みたいと思っている小説は『われら闇より天を見る』です。
このミス大賞で話題になっている翻訳ものです。